これまでQuizKnockでは動画や記事などを中心に、クイズの形でさまざま知識をお届けしてきました。しかし新しい知識に触れ、ものを知ることは楽しい一方で、それを覚えたり、より深く知ることは難しいもの。
そんな難しさを、デザインの力で楽しいものに変えてしまう作品を発表しているのが、デザイナーのみっけさんです。
WebメディアQuizKnockでは、「みっけのクイズパレット」と題して、そのデザインの裏側にある「ものの伝え方」に迫る連載をスタートします。素敵なデザインたちは、どのように作られているのでしょうか?
はじめまして! みっけと申します。
普段は会社員として働いていますが、TwitterやInstagramで作品を細々とアップしているデザイナーでもあります。
過去にはヴィレッジヴァンガードさんとコラボグッズを作ったり、カプセルトイを販売したりしたこともありました。
私の創作の軸のひとつとして、「見て楽しく、知って嬉しいデザイン」というのがあります。
パッと見ればデザインとして楽しくて、じっくり見れば知識として興味深い。
そんな作品を目指していたら、この度QuizKnockさんにお声がけいただきコラムを書くことになりました。今回は過去作品と一緒にデザインの裏話を紹介していきたいと思います!
「クイズに強くなりたい」から生まれたデザイン
これは、私のデザインの中でも特に反響が大きかった作品のひとつです。
「3桁の電話番号」という題材はリクエストによるものでした。
その頃ちょうどクイズにハマり、「クイズでもっと答えられるようになりたい!」と思いTwitterで「クイズで出がちだけど覚えにくい知識ってあるかな? それを作品にすれば覚えられるかも」とフォロワーさんに問いかけたのがきっかけです。
作品のモチーフは「部屋番号」。電話番号を部屋番号に置き換え、ドアの周りに番号にまつわるアイテムを置くことでより視覚的にわかりやすくしてみました。
このモチーフを選んだ理由はいくつかあって、
- 数字が馴染むモチーフであること
- 15項目前後が無理なくレイアウトできること
- 知識にまつわるアイテムが取り入れられること
- 位置で覚えられるレイアウトにできること
- 可愛くデザインできること
この要素を満たしたのが「部屋番号」というわけです。特に、
- 位置で覚えられるレイアウトにできること
これは特に大事にしています。
昔からテストを受けるときなんかに「この単語は教科書の左上に書いてあったはずだ!」と思い出すことが多く、情報の位置というのは私にとってとても重要な役割がありました。
なので、あまり複雑な配置になってしまうと思い出すときに「見たことあるけどどのあたりに書いてあったっけ……」と混乱するきっかけになってしまうため、特に覚えたい事柄をデザインするときははっきり整列させることが多いです。
そういえば、ノートの隅にとりあえず書いておいた、些細なメモがやたらと頭に残っていたりしませんか?
ああいうのも、位置として目立つから記憶に残りやすいのかな、と個人的に思っています。
先ほど紹介した「雨をあらわす日本語」は逆にランダムな配置ですが、あれは「知って便利」より「知って楽しい」知識なので少し砕けたデザインにしました。
知ったあとの知識の使い方、という目線でもデザインは変わってくるのです。
楽しく知れば楽しく思い出せる
知識とは、文字や図解のように一目見てはっきりわかるものばかりではありません。
抽象的な情報こそデザインが役に立ちます!
この作品は日本を囲む海を目で表現しています。いわゆる擬人化ですね!
日本海は夕日をモチーフにしました。日本海は日本の西側に位置しているため、海に沈む夕日といえば日本海を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? オホーツク海は流氷のイメージですね。全体的にカクカクと直線的にし、配色や目つきで冷たさを表現しました。 瀬戸内海は穏やかな海流が特徴なので穏やかそうな垂れ目にして、東シナ海は沖縄のキラキラした海をそのまま落とし込みました。 太平洋は日本海とは逆に昇る太陽をイメージしています。
「情報から受ける印象」でデザインをするのはとてもオススメです! どう表現しようか考えるのも楽しいですし、その過程を思い返すだけで得た知識もよみがえってくるので忘れにくい。一石二鳥です!
なんといっても、自分の考えがそのまま表現されるわけですから、それは作品であり、世界にひとつの資料となります。自分で作った自分のための資料なら、苦手な分野でも向き合える気がしませんか?
知識とデザインの相性の良さを感じていただけていれば幸いです。 最後に、紹介した作品にまつわるクイズを一問!
筆者プロフィール
デザインが好きな会社員。
知りたいこと、楽しいことを作品にしてSNSに投稿中。
8/28(月)には、眺めるだけで楽しく学べる『知りたいこと図鑑』がKADOKAWAより発売。