こんにちは、長尾です。
皆さんは永世中立国とはどのような国か説明することができますか?
おそらく多くの人が社会の授業で耳にしたことはあると思いますが、説明するのは難しいですよね。「永久に中立」ということで、日本のように戦力を持たず、武力行使を行わない国をイメージする人もいるかと思います。
しかし、永世中立国にも軍隊があり、武力行使が禁止されているわけではありません。
今回は永世中立国が具体的にどのような国なのかをお話しします。
永世中立国って何?
永世中立国とは、自ら戦争を始めないこと、ほかの国家間のいかなる戦争にも参加せず中立を守ることが国際的に承認されている国家のことです。スイスやオーストリアがこの立場にあります。
中立を保つため、他国と軍事同盟を結んだり、集団安全保障条約の当事国となることはできません。しかし、憲法で戦争放棄・戦力不保持が規定されている日本とは違い、軍備を保持し、武力を行使することが認められています(ただし、自国の防衛や他国から自国の中立を守るためであれば、という条件が付きます)。
永世中立国の意外な一面 「武装中立」
スイスやオーストリアは永世中立国であるのと同時に、武装中立国であるとも言われています。中立という立場にありながらも、軍備を保有しているためです。
今回はスイスの例を見ていきましょう。
スイスでは国民皆兵制度が導入されており、18歳から34歳までの男性に兵役が義務付けられています。それぞれの家庭に武器が支給されており、有事の際にはすぐに出動できるようになっています。また、2006年まで住宅に核シェルターを建てることが義務付けられていたこともあり、スイス国民800万人全員が収容できるほどの核シェルターが確保されています。
このような軍備は防衛のためにあります。
スイスはドイツ、フランス、イタリア、オーストリアの4カ国に囲まれています。もし他国同士が戦争を始めれば、その真ん中に位置するスイスは危険に晒されてしまいます。このような危険の中でも中立を保ち国を守るために、軍事力は必要なのです。
実際にスイスは第二次世界大戦の時代も、武装中立を維持することで、戦禍に見舞われることはありませんでした。
おわりに
さまざまな国の歴史や立場について知ると今の国際関係がさらによくわかるようになります。ニュースで気になる国などがあれば調べてみると、意外な一面があって面白いですよ。