河村です。どうも。
最近アホほど寝ています。だって眠いんだもん。今日もこんなに眠い――。
今日は「地獄」について考えていました。人を地獄に落とすことについて考えていました。
ことの起こりは金曜日。
突然ですが、僕はしりとりが好きです(火曜日にそういう記事を掲載したのでよろしくお願いします)。
それから3日後、金曜日。朝起きてQuizKnockをチェックした僕は、ある記事を見て驚愕しました。
僕抜きで面白そうなことやってる! 許さん!!!
僕がしりとり好きって知ってるでしょ! ちゃんと数日前に記事にしたでしょ! 誘えよ!
そこは譲るとして(僕は東大王出てないから)、だからって中2日でネタ被せてくる!?
おのれ伊沢! 許さん!!!
僕は伊沢を罰することにしました。天誅です(自分でも八つ当たりと気付いてはいるのですが、だからといってここで止まっては何もなすことはできませんし、記事が作れません)。
まずは、伊沢の脳から記事のネタになりそうなアイディアを盗みましょう。伊沢への罰と僕の得、一石二鳥です。
「【検証】ほふく前進でコンビニ行ってみた」とかどうです?
軽くあしらわれました。何だよ「ほふく前進でコンビニ」って。
その時僕は、ハッと気づきました。僕は伊沢には絶対勝てない。かないっこないのです。
実際に、伊沢は僕を今、軽く転がした。しりとりを企画する行動力、僕をあしらう超頭脳、いずれも僕の数段上を行っています。
これはもう許せません。これ以上伊沢を野放しにしてはいけません。
怒張する自尊心に任せ――
――僕は、伊沢を地獄へ落とすことにしました。
……ただまあ、なんだかんだ友達なので、本当にツライ地獄はかわいそう。
今回伊沢には、「小指の先を蚊にさされまくる地獄」あたりの、ショボいのに落ちてもらいます。
もちろんそんな地獄ないので、今から新しく作りましょう。
そういうわけで、本を買ってきました。
地獄は文化の中で形成されるもの。今回は地獄に関する文化を調べることで、「小指の先を蚊にさされまくり地獄(略称:指蚊地獄)」建設計画を立案します。
今回は新しい地獄を作りたいわけなので、特に初期の地獄思想、その成立過程に焦点を当てていきます。
地獄の立地
地獄ってそもそもどこにあるんでしょう? どこに作ればいいんでしょう?
現状僕は地獄の地理について「一丁目が存在すること」しか知りません。「地」獄って名前だから地中なのかな? と思って調べると、興味深い事実が明らかになりました。
田村(2015, pp.179-180)によると、日本の地獄はこの世と地続きらしいのです!
本来的な仏教における地獄は、確かに地下世界でした。ところが日本土着の思想と融合した結果、地獄は現世と水平な位置に置かれることになりました。
その証拠が「三途の川」。
川を境にこの世とあの世が分かれているということは、つまり「この世とあの世は地続き」ということなのです。
地獄は地中にない。この田村の議論は平安初期成立の『日本霊異記』を元になされていますが、地獄は地中に埋まっていないという考え方は現在でも通用するでしょう。
ということで、指蚊地獄はその辺の山に作ることとします。
考えてることが秘密基地作りレベルに下がっていますが、気にしてはいけません。
地獄へのアクセス
その辺の山を開墾し、蚊を放ったところで、次の問題。
地獄ってどうやったら行けるのでしょう?
早速アクセスを調べることにします。
以下、田村(2015,pp180-186)の議論をかいつまんで説明します。
『日本霊異記』作中、つまり初期の地獄思想において、地獄は2種類に大別されます。
1つは「死んだ時落ちる地獄」。本には「巡歴する地獄」として書かれています。こちらはいいでしょう。では、もう1つは?
答えは「この世に現れて罪人を殺す地獄」(本では「現出する地獄」と言及)。この世に出現し、悪人をむごたらしく殺すタイプの地獄です。超即効性。
また、こちらの地獄には前者と異なり、救いが全くありません(殺して終わりだから)。
『地獄少女』で言うと、依頼人が落ちるのが「巡歴する地獄」、ターゲットが落ちるのが「現出する地獄」。
地獄には2タイプのアクセスがあることが分かりました。つまり、「死んだら行く」と、「今すぐ行く」。今回は「友人をいたずら目的で落としていい地獄作り」なので、残忍な殺害と救いの無さを特徴とする「今スグタイプ」はとても選べません。
今回はオーソドックスな「死んだらタイプ」を選択しましょう。 あとは、伊沢の寿命が尽きるのをひたすら待つだけ! フハハハハ、伊沢め、待ってろよ……!
――僕は目を覚ましました。
友人を地獄に落とすようなヤツは地獄行きだ
――僕は目を覚ましました。
僕はベッドの上にいました。いつもと変わらない朝のようでした。
身体を確認したくなって上げた右手の小指の先の先、一番かゆいところを、蚊にさされていました。気付いてからはもう、かゆくて仕方がありません。
……このかゆみが消える前に、僕は伊沢に謝ろうと思いました。
あしたはげつようび。あした、僕は友達と仲直りできるでしょうか。
【きょうのふくしゅう】
参考文献
田村正彦 著(2015)『描かれる地獄 語られる地獄』三弥井書店