解説
正解は滋賀県でした。
ヒント1:積雪の世界記録「11m82cm」
伊吹山は滋賀県の米原市と岐阜県の揖斐川町にまたがる、標高1377mの山です。古くから信仰の対象として知られており、『古事記』や『日本書紀』にはヤマトタケルノミコトがこの山の荒ぶる神の祟りを受けて命を落としたとの記述があります。また薬草など植物の種類にも富んでおり、藤原実方の和歌にも詠まれた「伊吹もぐさ」が有名です。
かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを 藤原実方
▲藤原実方の和歌と「伊吹もぐさ」。伊吹山は多くの和歌の歌枕になっている
そんな伊吹山で世界一の積雪量が記録されたのは、1927年2月14日のこと。当時は超音波を用いた測定機器などなかったため、長さ3mほどの「雪尺」という物差しを継ぎ足して計測したそう。
伊吹山は若狭湾と伊勢湾に挟まれた、本州でも最も狭い部分に位置しています。そのため若狭湾で発生した雪雲が、季節風に乗って太平洋側に抜ける際、山にぶつかる形で大雪をもたらすのだと考えられています。ただし近年は温暖化の影響もあり、降雪量はかつてと比べて減少傾向にあります。
▲伊吹山周辺で雪が降るしくみ
ヒント2:松尾芭蕉のお墓があるお寺
大津市にある義仲寺は、源平合戦で有名な木曽義仲を供養するために建てられた寺院です。
松尾芭蕉は周辺の景色を大変気に入っていたことから度々この寺を訪れており、大阪でその生涯を閉じた際には、生前の遺言でここに墓が建てられました。境内には芭蕉の辞世の句である「旅に病て夢は枯野をかけめぐる」など、数多くの句牌が立っており、俳句をたしなむ人をはじめ多くの人が訪れています。
▲義仲寺にある芭蕉のお墓
また滋賀県には、芭蕉が暮らした草庵・幻住庵があるほか、現在の草津市では俳諧の祖として知られる山崎宗鑑、野洲市では芭蕉の師匠である北村季吟が生まれており、俳句ゆかりの人物と深い関わりがあります。
ヒント3:日本最大の湖「琵琶湖」
琵琶湖は言わずと知れた日本最大の湖で、楽器の琵琶に似た形をしていることから名づけられました。その面積は約670㎢と、実に滋賀県の面積の6分の1を占めます。関西地方の人々の生活を支えていることから「近畿の水がめ」とも呼ばれています。
ところで私を含む京都府民は、滋賀県民をからかうと「琵琶湖の水止めたろか」と返されるのがお決まりです(もちろんジョークです)。京都市の飲料水の99%を支えている琵琶湖ですから、水の供給がなくなるとさぞ困るのでは……と思いきや、琵琶湖と京都を結ぶ水路「琵琶湖疏水」を管理しているのは京都市なので、滋賀県側に水を止める権限はありません。
と、最後は滋賀をからかって終わってしまいましたが、あくまでもこれはジョークです。京都と滋賀だけでなく、どの都道府県にも魅力があります。皆さんもぜひいろいろな都道府県を訪れて、それぞれが持つ魅力を見つけてみてはいかがでしょうか。
解説を最後まで読んでくださりありがとうございました。ぜひ次回の「今日の一問・社会編」にも挑戦してください!
画像出典
いずれも画像をトリミングしています。
・ヒント画像1(伊吹山) via Wikimedia Commons Alpsdake CC BY-SA 3.0
・ヒント画像3(琵琶湖) via Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
・解説画像(芭蕉の墓) via Wikimedia Commons Earthbound1960 CC BY-SA 4.0
【前回の「社会編」はこちら】
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