ルール④ 「鳴く」こと
麻雀中に「ポン」や「チー」という発声を聞いたことがある人もいると思います。これらは副露と呼ばれ、これを行うことを「鳴く」などと言ったりします。副露については大きく3種類あるので、説明していきます。
1.ポン
ポンは「自分が2枚持っている牌を誰かが捨てた時、それをもらうこと」です。例えば自分は22と持っていて、誰かが2を捨てたら「ポン」と発声することで、それを獲得できます。
2.チー
チーは「34を持ってる時の5や、五七を持ってる時の六、みたいに、あと1つで並びが完成する牌を左側の席の人が捨てたとき、それをもらうこと」です。自分が45を持っていたら、3か6を左側の人が捨てた時、「チー」と発声することで、それを獲得できます。チーはポンと違い、左側の人からしかできないので、注意が必要です。
▲鳴いた牌は横にしておく、また、誰から鳴いたかによって横にする牌が変わる
3.カン
カンはポンやチーとは異なり、同じ種類の牌を4枚使用することで成立します。カンには暗カンと明カンの2種類があります。暗カンは自分の手牌に4枚同じ牌があるときに、明カンは同じ牌を3枚持っているときに他の人がその牌を捨てた場合や、すでにポンしている牌を引いてきた場合にできます。
カンするとドラ(後述)が増えるほか、カンが成立したタイミングで王牌という特別な場所から1枚ツモって捨てることができます。この牌を「リンシャン牌」といい、これがアガリ牌となった場合、「嶺上開花」という役がつきます。(役については後述します)
ルール⑤ 役をざっと覚えよう
麻雀において最も大事な概念だと思うのが「役」です。
先ほどから「決められた形を作るゲーム」と書いてきましたが、正確に言うと麻雀は「役を作るゲーム」と言えます。役が多ければ多いほどもらえる点数は高くなりますし、逆に決められた形でも役がないとアガることができません。
役の一覧はこちらです。現時点で全てを覚える必要はないので、表をざっと眺めてみてください。
表に書いてある「
ここからは、頻出の役を抜き出して解説していきます。
1. 立直
ずっと言っていた「リーチ」、これは役のひとつなんです。
リーチできる条件は「テンパイしていること」と「門前であること」の2つ。メンゼンとは、鳴いていない状態のことです。リーチは基本かつ強力な役なので、麻雀を始めたばかりの方はリーチを狙いにいくことから始めると良いでしょう。
ちなみにリーチしてアガると「裏ドラ」を見ることができます。ドラについては別のところで解説しますが、ざっくりいうと、ドラを持っていると自分の点が高くなります。
2. 役牌
麻雀には数字が書かれた牌(数牌)と漢字が書かれた牌(字牌)の2種類があります。後者は3枚集めるだけで役になることがあります。このように、3枚集めるだけで役になる牌を「役牌」と言います。
役牌は5種類あります。白、發、中の「三元牌」と、自風、場風の「風牌」です。
白、發、中は3枚あればいつでも役になるのに対し、風牌は状況によります。例えば東場の南家なら、東と南は役牌ですが、西と北は役牌ではないので、西と北はポンしたら役が無くなってしまいます。ちなみに東場の東家における東、南場の南家における南は「連風牌」と呼ばれ、3枚持っていると役を2つ持った状態になるので強力です。
東場:対局が始まって、4人が1度ずつ親を行うまでの場。
東家:それぞれの局における親のこと。
南家:親から見て右のプレイヤー(下家)。
3. 断么九
タンヤオは、マンズ、ピンズ、ソーズの2〜8の牌だけを使って作る役です。例えば123とか九九九とかがあると成立しません。
こんな感じならタンヤオが成立します。ちなみにこちらは鳴いても成立するので、
上の図のような形でもOKです。
4. 一盃口
一盃口は「334455」や「⑥⑥⑦⑦⑧⑧」みたいに、同じ並びの3枚が2組あると成立します。こちらは鳴くと役ではなくなってしまうので、
「112233⑤⑥⑦七八九西西」では成立しますが、
「123⑤⑥⑦七八九西西 123」や、「112233七八九西西 ⑤⑥⑦」では成立しません(鳴いて揃えたメンツは、スペースを空けて表記しています)。
5. 三色同順
三色同順は、マンズ、ピンズ、ソーズ全てで同じ数字の並びがある役です。
例えば「345789③④⑤三四五九九」みたいな感じで、この場合345③④⑤三四五の部分が該当します。
こちらは鳴くと二翻から一翻に下がります。鳴いている状態で「三色同順」を成立させると、ちょっと役の価値が下がるというわけです。
このように役には「鳴いたら不成立」「鳴いても成立」「鳴いたら翻数が1つ下がる」の3種類があります。鳴く前に、自分の手に役があるのか確認しましょう。表にも載せてあります!
また、役は複合し、複合するだけどんどん点数が高くなるので、積極的に複数の役をつけていきたいですね。
練習問題2
ここでは少し復習として、役についての問題を解いてみましょう。役の表を見ながら考えてみてください。
問題1:次の牌姿で「八」をロンしてアガった。この時成立している役を全て答えよ。ただしリーチはしていないものとする。
ぱっと見「もしかして2〜8の牌しかない?」と気づいた方、正解です。こちらは「タンヤオ」ですね。また、「667788」が目につくかなと。こちらは「一盃口」ですね。そして後2つあります。1つは「三色同順」。マンズ、ピンズ、ソーズすべてで「678」の並びがありますよね。
残り1つはちょっと難しいですが「平和」です。平和の成立条件は
①アタマが役牌ではない
②待ちがリャンメン待ち(待ちの形のひとつ、例えば四五→三六待ちみたいに、くっついている2枚以上の牌の両端が待ちになっている形)になっている
③構成されているメンツが全てシュンツ(連番の数字)
という3つです。こちらは覚えるのが難しいですが、実は点数計算のことを覚えると意味がわかるので、後でまた説明しましょう。
今回は平和の条件を全て満たしているので、平和が成立します。平和は基本的な役の1つで、高頻度で登場します。
ということでまとめると、答えは「平和、一盃口、タンヤオ、三色同順」でした!
問題2:次の牌姿で西が打たれました。こちらはアガることはできますか? リーチはしていません。
今回のアガリ牌は東と西です。じゃあ西が出たならロンってできる! と思いきや、これはできません。役がないからです。
逆に東が出た場合ならロンでアガることができます。東場なので、東が役牌だからですね。ちなみに西をツモった場合は「ツモ」の役でアガることができます。
問題3:次の牌姿で一が打たれました。こちらはアガることができますか?
こちらは③④⑤の部分が鳴かれている状態ですね。こちらの牌姿、アガリ牌は一応一と四なんですが、すでに鳴いてしまっているため、役としては「タンヤオ」にするしかありません。
そのため、一に対してロンすることはできず、一をツモったとしてもアガることはできません。逆に四が出たり、四をツモったりしたらタンヤオが成立するので、アガることができます。
ドラが大事
麻雀にはドラという概念があります。これ以前のコーナーでもちょっと解説で登場していました。ドラは「持っていると点数が高くなる牌」です。
こちらをご覧ください。
▲ゲーム中の麻雀卓を上から見た図、1枚牌がめくれている
不自然にめくれている牌が1つありますよね。こちらが「ドラ表示牌」です。ドラ表示牌の「次」の牌がドラになります。
2がめくれていれば3、⑤がめくれていれば⑥みたいな感じです。九がめくれていたら、一がドラになります。
字牌がめくれている場合には「東→南→西→北→東→……」「白→發→中→白→……」という順番で考えます。
東がめくれていたら南、北がめくれていたら東、發がめくれていたら中、という感じですね。
ドラは1枚持つごとに、役を1つ持っているのと同じくらい点数が高くなります。
例えば「リーチ・平和・タンヤオ・一盃口」は、ロンアガりすると8000点です。ところが「リーチ・平和・ドラ・ドラ」もロンアガリすると8000点です。 もしリーチ・平和だけなら2000点なので、めちゃくちゃ点数が上がっていることがわかると思います。
ドラは通常のドラの他に「赤ドラ」「裏ドラ」「カンドラ」があります。
赤ドラは5⑤五に1枚ずつ入れられている牌です(ルールによってはもっと入っている場合も)。赤く塗られているため赤ドラと呼びます。
▲こんなやつ
裏ドラはリーチをしてアガった人が見る権利があるドラです。リーチ宣言牌の裏の牌をめくり、それを表示牌とします。裏ドラの存在はリーチという役がめちゃくちゃ強いことを象徴しています。
カンドラは前述のカンを行うと現れるドラです。通常のドラの横の牌をめくってドラ表示牌にします。カンをするとドラが増えて、自分も相手も打点(アガったときの点数)が上がる可能性があるので、ハイリスクハイリターンです。
2枚めくれたドラ表示牌が同じだった場合、2枚分の効果を得られます。例えば通常のドラ表示牌とカンによって新しくめくれたドラ表示牌が両方「④」だった場合、⑤は1枚あるだけで通常のドラの2枚分の効果を発揮します。さらにこれが赤ドラでもあった場合、3枚分の効果になります。
ドラは大切にしましょう!
対局の流れ
ここまで話してきて、「ゲームはどうやって進むの?」という疑問が湧いてくる頃かなと思います。ということで、ゲームの大まかな流れを説明していきたいと思います。
①どこの席に座るかを決める
麻雀は4人で席を囲んでやるゲームなので、まずはどこの席に座るかを決めます。細かい決め方はいろいろありますが、東南西北の牌を裏にして混ぜ、掴んだ牌の席に着く、とかで決めます。ネット麻雀などではランダムに決められます。
②東一局から南四局まで
一般的なルールである
③親がアガれば「連チャン」
先ほどの説明を聞くと「麻雀は一回につき8局やるのかなあ」と思う人が多そうですが、これ実は不正確。正確には「最低8局やる」です。
ある局で親(一番最初に牌を捨てる人)がアガった場合、あるいは親がテンパイした状態で誰もアガらなかった場合、もう一回その人が親をやります。親はもらえる点数が高いので、どんどん連チャンして点数を稼いでいきましょう!
④本場という概念
親が連チャンしたり、誰もアガらずにその局が終わる(流局)と、「本場」が1つ増えます。これが1つついていると、アガった時にプラス300点されます。
ロンアガリなら牌を切ってしまった人がプラス300支払い、ツモアガリなら100点ずつ多く支払います。2つ付いたら600点、3つ付いたら900点と、増えていきます。これは「子がアガる」ことでゼロに戻ります。逆に、子がアガるまでは親が変わっても本場は増え続けます。
フリテン
最後にフリテンというややこしい概念を説明していきたいと思います。
フリテンとはざっくり、「すでにアガリ牌が捨ててある状態」のことです。この状態ではロンアガリできず、ツモアガリしかできなくなります。フリテンに気づかずロンって言って、自分の手牌を倒しちゃう(他の人に見せてしまう)と、罰則を受ける場合もあるので要注意!!
フリテンは「連帯責任」です。例えば
三四五234②②④⑤⑥⑦⑧
という牌姿のとき、アガリ牌は③⑥⑨です。このとき、自分の捨て牌に⑨が捨てられていたとしたら、⑨ではもちろんのこと、③でも⑥でもロンアガリできません。自分のアガリ牌が何かをちゃんと把握していないと、気づかないうちにフリテンになっちゃう場合があるので気をつけよう!
▲フリテンは「連帯責任」!
フリテンは細かく分けると3つあります。ただ、大抵の場合は①だけ覚えていればなんとかなります!
①普通のフリテン
上で説明した、自分の捨て牌に自分のアガリ牌がある状態のことです。フリテンといったら普通はこれを指すことが多いです。
②リーチ後見逃し
リーチしてから自分のアガリ牌を他人が切ったとき、ロンと言わず見逃すと、以降はフリテンになります。このルールがないと、狙い撃ちができてしまいますからね。リーチ後は人の切った牌を見逃さないようにしましょう!
③同巡内フリテン
自分が牌を捨ててから、自分が次の牌をツモるまでの間に、誰かが自分のアガリ牌を捨てて見逃した場合、フリテンになります。
例えば
三四五②②④⑤⑥⑦⑧ 234
の場合、待ちとなっている牌は③⑥⑨です。ただし、③⑥はタンヤオがつくのでアガれますが⑨は役なしでアガることができません。ここで、自分の下家(右の人)が⑨を切ったとします。前述の通り役がないのでここで「ロン!」と言ってアガることはできませんが、たとえ役がなくとも自分のアガリ牌のひとつが打たれてそれを見逃しているので、次に自分が新しい牌をツモるまでロンアガリできません。なので、その次の対面(前の人)が⑥を切っても、ロンできないということになります。
麻雀を楽しんで!!!
一旦ここまでのことを理解していれば、麻雀は普通に楽しむことができると思います! ルールは複雑に感じるかもしれませんが、慣れてくると「感覚で」覚えてくるので大丈夫です!!
(麻雀にはほかにも「点数計算」という大事な要素がありますが、少々複雑ですし、覚えなくても最初は大丈夫なのでまた別の機会で!)
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