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私の推し県境

福島県のしっぽ?細長すぎる県境

ここからは、私の「推し県境」を2カ所紹介します! まずは、福島・山形・新潟という3つの県の県境です。百聞は一見にしかず、さっそく地図を見てみましょう。

▲見づらいですが、細長く伸びているのが福島県。その上は山形県で、下は新潟県です。福島県にしっぽが生えているみたいで、かわいいと思いませんか?

新潟県と山形県の間に、福島県が割って入るような形をしていますね。

約7kmも続く、細長すぎる福島県。最も狭い部分の幅は1mもありません。ここで寝っ転がると、「頭は山形、胴体は福島、足は新潟」と3県にまたがって寝ることができます! 夢のようですね。

ところで、なぜこのような「細長すぎる福島県」が誕生したのでしょうか?

「細長すぎる福島県」の中ほどに、飯豊いいで山の山頂があります。飯豊山は五穀豊穣を祈る信仰登山が盛んで、地元の人々にとって大切な山でした。

もともと飯豊山は福島県(東蒲原郡)と山形県の県境にそびえていましたが、東蒲原郡が福島県から新潟県に移管されたことで、新潟県と山形県の県境にある山となりました。

▲福島県から新潟県に移管された東蒲原郡阿賀町

飯豊山を突然失った福島県側の人々は、黙っていませんでした。「飯豊山神社は福島県の一ノ木村(現:喜多方市)にあるから、神社の奥の院がある山頂も一ノ木村の土地だ!」と主張します。

1907年に現地調査が行われた結果、福島県側の主張が認められ、飯豊山神社の奥の院とそこへ通じる登山道は一ノ木村に属することになりました。こうして、世にも珍しい細長すぎる県境が誕生したのです。細長い部分は登山道だったのですね。

綱引きで県境が移動する!?

毎年10月の第4日曜日、長野県と静岡県の県境にある兵越ひょうごし峠で「峠の国盗り綱引き合戦」というイベントが開催されます(2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止)。

▲ここで開催される

このイベントでは、静岡県の「遠州軍」と長野県の「信州軍」が綱引きの3番勝負で対決します。勝った方が、県境ならぬ「国境」を1m相手方に広げることができます。この「国境」は行政上の県境とは異なるものなので、地図上の県境が実際に変更されることはありません。それでも、両軍は自分たちの「領土」を拡大しようと真剣に綱を引くのです。

ところで、このイベントについて、長野県側の遠山郷観光協会のホームページに次のようなことが書いてあります。

兵越峠から遠州灘までの直線距離で計算すると、信州軍が連勝を続ければ、6万5千年後に太平洋が信州にやってくることになります。

出典:峠の国盗り綱引き合戦 | 信州遠山郷

これを読んだ埼玉県民の私は、気づいてしまいました。

東京都と綱引き対決して勝ち続ければ、埼玉県も海をゲットできるぞ!

埼玉県から海までの直線距離は、最短で約14km。ということは、綱引きで勝ち続ければ、1万4千年後には念願の「海あり県」になれるのです。

東京都よ、勝負だ!

気軽に行ける県境たち

ここまで私の「推し県境」を2つ紹介しましたが、片方は険しい山道、もう片方は年1回のイベント。どちらも「県境に行こう!」と思い立ってすぐには行けません。

そこで、ここからは、東京や大阪から日帰りで行けるおもしろい県境を紹介します!

ショッピングモールの中に県境(京都・奈良)

関西にあるショッピングモール「イオンモール高の原」の中には、京都府と奈良県の県境が通っています。

▲店内には県境を示す案内がある

ほとんどの買い物客は、県境にはまったく目もくれずに通り過ぎていました。

ちなみに、奈良県側にある催事場は「平城コート」、京都府側にある催事場は「平安コート」と名付けられています。県境ならではのネーミングですね。

▲駐車場にも「京都府」「奈良県」の表示が

ショッピングを楽しみながら、気軽に県境を体感できるおすすめスポットです。最寄りの高の原駅までは、大阪難波駅から約40分で行くことができますよ!

駅のホームに県境(京都・大阪、埼玉・東京など)

JR京都線・山崎駅は、ホーム上を京都府と大阪府の「府境」が走っています。

▲ホームに府境を示す看板が。列車を降りるとすぐに、府境があなたを待っています

山崎駅までは、JR大阪駅から約30分で行くことができます。しかも、駅から府境まで歩く必要はありません。

ホーム上に県境が走っている駅には、他に西武鉄道の秋津駅(埼玉・東京)やJR日田彦山線の宝珠山駅(福岡・大分)があります。


県境のおもしろさは、この記事で紹介したような特徴的な県境だけではありません。一見何の変哲もない県境でも、県境を挟んで周囲の風景がガラッと変わったり、建物の高さが全然違ったり、道路の舗装が違ったり……。あなたの観察眼しだいで、私みたいに「わぁ県境だ! かわいいね」と知らず知らずのうちに言ってしまうかも。

参考文献

  • 浅井建爾著(2007)『知らなかった! 驚いた! 日本全国「県境」の謎』実業之日本社

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この記事を書いた人

森田 晃平

東京大学文学部に在学中。旅・駅・スイーツ・浦和レッズが好き。何気ない日常を切り取るクイズをたくさん作りたいです。よろしくお願いします!

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