コジマです。
早速問題。次のうち、スキージャンプのジャンプ台を横から見たときの正しい図はどれ?
実は……?
スキージャンプといえば、どうしても③のような台からこんな軌道を描いて飛ぶイメージがある。
ところがどっこい、問題の正解は①、ジャンパーは下向きに飛び出すのだ。細かい規格はジャンプ台ごとに異なるが、札幌オリンピックで使われた大倉山ジャンプ台では、最大斜度35度の斜面で勢いをつけ、下向き11度で飛び出すように設計されている。
こんな角度で100m以上も飛ぶとはちょっと信じがたい。上の図みたいに上向きに飛び出したらダメなのか? むしろそちらのほうが飛べるのでは?
上向きだとどうなる?
直感だとこのほうが距離が出そうな気がするが、実はそうではない。しかも我々はその現象を見たことがある。
板に勢いがついた状態で上向きに飛び出すと、板の慣性で身体が後ろに回ってしまうのだ。これでは当然、うまく飛ぶことは出来ない。
これは、モーグルのコースにあるジャンプ台をイメージすると分かりやすい。モーグル競技のジャンプでは、多くの選手が後ろ向きに一回転している。
これを避けるため、スキージャンプは下向きに飛び出す。だから、普通に飛ぶだけでは当然すぐに着地してしまう。飛び出しと共に姿勢を作り、風の流れに乗って着地を遅らせるのが、この競技で長距離を飛ぶ上でのポイントなのだ。
調べてみると、スキージャンプには90年弱の歴史があり、当初は文字通り「ジャンプ」して腕をグルグル回しながら飛んでいたらしい。当時の飛距離はせいぜい2~30mだったという。
(参考:今と昔で飛距離が5倍に!スキージャンプの進化の歴史がすごい!)
それから、より長距離を飛べるようにスキー板、ユニフォーム、姿勢などが改良され、今の「風に乗って飛ぶスキージャンプ」に変化してきた。90年前の人が現代のスキージャンプを見たら全く別の競技に見えるはずだ。
なお、スキージャンプという競技がなぜ生まれたのかは定かでないらしい。あんな高いところから滑り降りるの絶対怖いと思うんだけど……、と何故フグを食べたのかに似た疑問を抱く。