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味の素㈱×QuizKnock 高校生・大学生向けクイズ大会開催決定!
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連載「伊沢拓司の低倍速プレイリスト
音楽好きの伊沢拓司が、さまざまな楽曲の「ある一部分」に着目してあれこれ言うエッセイ。倍速視聴が浸透しているいま、あえて“ゆっくり”考察と妄想を広げていきます。

QuizKnockは今日がちょうど仕事納めで、あと3日もすれば2023年も終わる。うん十年連続うん十回めの「激動の一年」であろうが、年末年始くらいはせめて穏やかに過ごしたいものだ。

私個人としても、今年は久しぶりに31日が休みになった。ここ数年は生放送に出ており、それはそれで「年末に仕事してる高揚感」を楽しんではいたのだが、休みというのはそれ自体が幸せなのだから勝てるはずがない。出る側ではなく見る側として、年末特番をダラダラと眺める予定だ。

▲街には年末年始の空気がただよう(写真はイメージ)

日本の年末はやはり歌であり、『紅白歌合戦』である。私の出演する『逃走中』も見てほしいが、悔しいかな紅白のパワーは認めざるを得ないのだ。

歌は様々な場面に入り込む力があり、本来は無関係な出来事や場面を、聴覚を起点として思い起こさせる。映像にも記録されていないような何気ない日常を、鮮明に呼び起こす力が音楽にはあるのだ。

本来ならば無関係にも思える、音楽と思い出のリンク。「この曲を聴いたら必ずアレを思い出しちゃうんだよね〜」というアレが、きっと今年の記憶でも起こるのだろう。

ゆえに今回は、そんな「今年を振り返る歌詞」を選んでみたい。今年起こった出来事をいつしか思い出すような、なんなら強制的に思い出させてくれるような歌詞をいくつかピックアップした。

とはいえ、流行曲を並べても意味がないので、コンセプトとしては「年が明ける瞬間に聴いていたい曲」としよう。今年ってこんな年だったな、と思えるような、楽しく意義深いフレーズを選んだつもりである。

正直、先日お披露目されたゴールデンボンバー『女々しくて2023流行語ver.』にだいぶ集約されてしまっている気がするが……行く年の名残を惜しみ、来る年につながるような、そんなフレーズたちをお楽しみいただきたい。

2023年のできごとを振り返ろう

やはり今年は野球のニュースが多かった。WBC優勝の盛り上がりが、一年を通して継続した感じさえする。国民的英雄である大谷翔平の活躍に、ラーズ・ヌートバーの「ペッパーミルポーズ」大流行……挙げればキリがない。

私自身も大谷翔平特番のMCを3年ほど務めているが、年々増す注目度と裏切ることのない活躍に毎年興奮している。一方で、あまりにも期待が大きすぎて、ひとりの人間が背負うにはあまりにHIGH PRESSUREなのでは……と感じなくもない。

我々応援者に出来ることは、崇め奉らない距離感で、活躍を楽しませていただき、話の種にするくらいのものだろう。ゆりやんレトリィバァが『Bad Bitch 美学 Remix』で見せたパンチラインが、私の好きな温度感だった。これくらいふてぶてしく思っていたって、全然いい。

でもでもごめんね全員お断り
結ばれてるの Shohei Ohtani

Awich, NENE, LANA, MaRI, AI & YURIYAN RETRIEVER『Bad Bitch 美学 Remix』
(作詞:AI,Awich,Chaki Zulu,LANA,MaRI,NENE,YURIYAN RETRIEVER)

ペッパーミルポーズは、「ひき肉です!」と並んで二大流行ポーズにまで上り詰めたと言えよう。中学生向けの講演会でひき肉連打ダダ滑りを経験した私としては、ペッパーミルくらいは美味しく料理して盛り上げていきたいところだ。

実は、そんな二大ポーズが一挙登場する有名曲がある。

あの『キテレツ大百科』の主題歌『お料理行進曲』だ。しかも「丸く握れ」と、両ポーズに共通するコツまで指示してくれている。ひき肉→ミンチの変換は、挨拶がボンジュールのグループなので許容範囲だろう。チョンマゲかつ棒状のものを携帯しているコロ助は、まさに流行の最先端だったのだ。

炒めよう ミンチ 塩・コショウで
混ぜたなら ポテト 丸く握れ

YUKA『お料理行進曲』(作詞:森雪之丞)

そういえば塩の魔人こと岩井勇気の結婚報道も話題となった。いくらなんでも奇跡的一致が起こりすぎている。

……となると、残り短い今年のうちに最後のひとバズりを狙うなら、やるべきは「ポテトポーズ」で決まりだ。残念ながらマックフライポテトが品薄になったのは昨年のことだが、サムライマックは今年も人気だったのだから、ポテトを刀みたいな感じで抜けばポーズ完成である。ぜひ自己責任でやっていただきたい。

野球といえば、流行語大賞を取った阪神タイガースの「A.R.E.アレ」も外せないだろう。

長らく達成されなかった日本一、岡田彰布監督の口癖を願掛けのように使ったこの言葉遊びは、「共通の符丁を使っている」ことによる連帯感が流行の鍵だったように思う。私はこのフレーズを意識するあまり、『神っぽいな』をまっすぐ聴けなくなって困っているのだが。

その髪型 その目 その口元
その香水 その服 そのメイク
アレっぽいな

ピノキオピー『神っぽいな』(作詞:ピノキオピー)

ちなみに、現在阪神タイガースの公式グッズショップが発売するファッションアイテムの中には、人とはまず被らないであろうアクセサリーがいくつか売られている。お値段はなんと500万円。「アレっぽいな」と言われない首元を目指すなら、差のつくアイテムはマストバイであろう。結局A.R.E.っぽくはなるんだけど。

ちなみに『神っぽいな』には、大量の「ぅ」が登場するが、これも今年のトレンドだ。『千鳥の鬼レンチャン』で独特の歌唱を披露したほいけんたさんが、子どもたちのヒーローになった。T.M.Revolutionの『HIGH PRESSURE』(2度目の登場)を歌う際、高音程の「が」をか細い歌声で「ぐぅ」と発する様が大バズリしたのだ。今『HIGH PRESSURE』というだけでも面白いのに、それが子ども達にウケたのだからいよいよトレンドの予測など不可能である。

実は私も今年ほいさんのショー&伊沢講演会」という謎のジョイントイベントを行ったのだが、子どもたちののめり込みようは圧倒的であった。ウケすぎてだいぶ時間が押したほどである。

とはいえ、メインでウケているのは『神っぽいな』を好きな世代からちょっと離れたゾーンだ。ゆえに、よりおすすめしたいのは小学生に人気のコンテンツである。そう『Cheers!デリシャスパーティプリキュア』だ。

ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~のメロディ
ユニゾンしちゃうよ
お腹すいたらNon-Stop 待ちきれない

Machico『Cheers!デリシャスパーティプリキュア』(作詞:マイクスギヤマ)

こんなにピッタリの曲はそうそうないだろう。小学生向けのアニメで、かつ「ぅ」の三連発。過激に最高である。

ほいさんのレパートリー……は難しいだろうが、クラスで一番おもしろい人になりたい小学生諸氏は、ぜひこちらのものまねを取得していただきたいところだ。曲の中でも特に低い音程の部分なので裏声は大変に難しいが、勢いで押し切ろう。

子どもたちの視点、忘れていないだろうか

そんな無邪気な子どもたちを守るべく、4月にはこども家庭庁が立ち上がった。ホームページには「こどものみなさんへ」と題したコーナーがあり、子どもが有する権利についてやさしく解説がされている。親がその代理を務めることも多いだろうが、すべての親がそうしてくれるわけでもなしに、やはり子どもたち自身が自らの権利を知ることはとても大事であろう。

私自身も小・中・高と学校を訪問する機会が多く、夏休みの少年少女向けにクイズづくりのワークショップをやったりもした。子どもたちの視点に立ってコンテンツを作ろうとするたびに陥るのは、「あれ、俺が子どもの頃はこれどうやって考えてたっけ……?」という自問自答である。

じゃあお前は子どもの頃この問題できたのかよ?」と無邪気に問われたらどうしよう。正直、自信はない。無理難題を子どもたちに強いている可能性はあるな、と時折不安になるのだ。

私は子供に生まれないでよかったと
胸をなで下ろしています。

伊武雅刀『子供達を責めないで』(日本語詞:秋元康)

伊武雅刀が演説する名曲『子供達を責めないで』は、秋元康の書いた数多の作品にあって特に傑作と言えるもののひとつだ。逆説的に子どもへの愛を歌った、国語力を要する1曲である。実際、chatGPTに感想を言わせてみたら、ネガティブなものしか出てこなかった。

生成AIが急速に広まった2023年、子ども「に」生まれてしまった子どもたちが大人になるというのは、この曲が理解できるような知を身につける、ということなのかもしれない。大人な私ができることは、こんな連載くらいだけど。

そうした「知を伝える」ための歩みを、今年もQuizKnockは続けてきた。こんな連載、と言いつつも、そのあたりはしっかり実現してきたつもりである。

しかし、今年のニュース番組で中心を占めたのは、そんなことを言っていられないくらい、苛烈なまでの真摯さを求められる世界の課題だった。大人の責任として避けて通ることのできない、紛争の話題である。

2023年を語るうえで、避けては通れない話題

次ページ:楽しいことばかりではなかった2023年、今だから聴きたい曲、読み返したい歌詞がある

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この記事を書いた人

伊沢拓司

QuizKnockCEO、発起人/東大経済学部卒、大学院中退。「クイズで知った面白い事」「クイズで出会った面白い人」をもっと広げたい! と思いスタートしました。高校生クイズ2連覇という肩書で、有難いことにテレビ等への出演機会を頂いてます。記事は「丁寧でカルトだが親しめる」が目標です。

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