シャンディガフ(2杯目)を飲みながら考える
「飲みやすい」という要素から攻める場合、「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」=ちょっとした大人の真似事、みたいな意味合いになるだろう。ランデヴとは有り体に言えばデートのことだ。
とはいえ、これはあまりしっくりこない。その後の歌詞が、相手により真剣になることを求めているからだ。
どうやら通り一遍のシャンディガフ知識だけでは通用しなさそうだ。もうひとつの大ヒント、『うる星やつら』という作品のことも含めて考える必要がある。
思案の最中、酒で血流が回ってきたからだろうか。両者の交点に、重大な発見があった。
ジンジャーエールである。シャンディガフに含まれるジンジャーエールこそ、両者をつなぐキーアイテムなのだ。
ジンジャーエールという言葉には、当然ながら「神社」が含まれている。
▲まさかのダジャレ回でした
日本古来の、神聖な場所である神社は……当然、鬼と相性が悪い。ラムちゃんは鬼であるのだから、神社を避けるだろう。
ゆえに、ジンジャーエールをビールで薄めて飲んでいるのだ。
ビールをジンジャーエールで割るのではなく、ジンジャーエールをビールで割るという、発想の転換。1:1で割るという行為は、二人だからこそ大丈夫だということを暗示しているのだ!!!
ただし、ちょっと気になるところがひとつある。ジンジャーエールを用いるカクテルは、他にあるのだ。
オペレーターというカクテルは、白ワインとジンジャーエール1:1。別にこっちでも良い。単に薄めることを主眼に置くなら、ジンバックやラムバックなどもある。「シャンディガフである意味」がないのだ。
こうなると、説としてまだ足りない。中のお酒との関連もないとなると困った……ビールとラムちゃんの結びつきとかもないし……おや?
ラムちゃん……?
ラム酒……?
そうか! お酒と関係あるじゃん、ラムちゃん。
そういえば、寂しそうに見ていたじゃないかラムちゃん。
▲バカルディラムちゃん
ごめんごめん、とりあえずラムバックを飲むね。
▲3杯目
ラムの甘い香りと、甘口のジンジャーエールがマッチしている。シャンディガフとの比較は難しいが、こちらもおいしいお酒である。
お酒が回ってきたようです
では、なぜラムちゃんなのにビールのお酒なのか。
正直、両者の相性は悪い。ラムとビールが合わさるカクテルを私は知らない。クイズ王の俺が言うんだから間違いない。
ゆえに、「シャンディ・ランデヴ」という言葉は不穏に聞こえてくる。
ラムではなくて、ビールとのランデヴ。これは裏切り、浮気である。
主人公・諸星あたるは天性の浮気性を持つ男。こんなことは作中でもよくあるのだが、それへの積もり積もった怒りが「冗談じゃあない」という単語ににじみ出たのだろう。
これはラムちゃんがかわいそうだ。第一、ラムだって美味しいことはさっき確認したじゃないか。なんなら、ラムのほうが美味しい可能性だってあるぞ。
一応比較検証のために、ラムを使った代表的なカクテルであるモヒートと、
▲確認ですけど、仕事、ですよね……???
ラムをビールで代用したカクテル・モヒートビールを飲む。
▲もうだめだ
うん、どっちも美味しい。だからラムちゃん、気にすることはないよ。他人からの好感度より、自分で自分を愛することだ。
それより、流石に業務中の飲酒量として限界を超えつつあり、私の好感度を気にしたほうが良さそうである。
あくまで、あくまで仕事で飲んでいるが、俺も社会人。少量でも酒は酒だ。
というより、アルコール度数が低かったとて、あたるやラムら高校生にとっては立派にお酒、大人の飲み物である。
……となると、だ。
シャンディガフは、たとえ度数が低くとも、彼らにとって十分に大人の象徴なのではないか。
しかも、「大人過ぎないお酒」が、二人のそう遠くない未来をイメージさせるかもしれない。「その時」という歌詞の距離感は、これくらいがちょうどフィットするのだ。
さんざんよそ見をしてきたが、いちばんの解答に巡り会えた。
シャンディガフというお酒には、「もう腹をくくって、私のことを大切にしてよ」という未来への気持ちが込められていたのだ。
紆余曲折あったが、ようやく良いアイディアに巡り会えた。私はお酒の本質を見失っていたのかもしれない。大切なのは度数ではなく、体験だ。
仕事にかこつけて飲んでいる場合ではなかった。若者が未来を考えているのだ、私もちゃんと現実と向き合うべきであろう。
そうだ。職場で飲むのではなく、飲むべきところで飲むべきである!!!
今日は、早退!!
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