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こんにちは! ライターの村上アリサです。

2016年10月2日、Webメディアとして産声を上げたQuizKnock。そこから半年後に始まったYouTubeチャンネルは、みなさまから愛され、登録者数は260万人を超えました。すっかり大きなコンテンツとなったQuizKnockは、現在10年目を迎えています

そんなQuizKnockの編集長、伊沢拓司といえば、動画冒頭のこの挨拶!

「はいどうもQui%!☆$ω@ゎです」

みなさまご存じのとおり、伊沢拓司の挨拶は聞き取れないのです。

そんな伊沢さんですが、何もはじめから聞き取れない挨拶をしていたわけではありません。YouTube最初の動画を見てみましょう。

「どうもみなさんこんにちは 東大生クイズ王の伊沢拓司です」

なんと、一言一句はっきりと聞こえるではありませんか……!

興味本位でさらに少し時代を進めてみました。こちらは最初の動画から1年経ったころの動画です。

「はいどうmクイズノクへしゅちょのいざゎですッ」

……あれ? なんだか少し早口になっているような。

そう、伊沢拓司の挨拶は少しずつ、確実に早くなっているのです。

ここで1つの疑問が生まれました。

伊沢拓司の挨拶は
いつから
“我々が聞き取れる限界”
を突破したのか

いつもQuizKnockの動画を視聴されている方の中には、もう既に気になっていたという方もいらっしゃるかと思います。今回はこの疑問を解決すべく、調査をしていきましょう!

調査方法

人間が聞き取れる限界の速度

“我々が聞き取れる限界”といっても、「私はいくら速くても聞き取れるぞ!」という人もいれば、「私はちょっと速くても聞き取れない……」という人もいるでしょう。この検証を行うためには、一般的に人間がどれくらいの速さまで日本語を聞き取れるのかを把握しておく必要があります。

そこで参考にしたのが、倍速再生が可能な機械を用いて人間の速聴能力を調べた先行研究¹⁾ です。この先行研究で使われたのは、視覚障がい者の読書ニーズに応えるために開発された録音図書再生機。点字を使わなくても「耳で読書」ができ、再生速度を必要に応じて倍速にすることで、効率的かつ快適な読書を可能にする優れた機械です。

別の先行研究²⁾ によると、倍速にした日本語音声の聞き取りやすさは以下のように示されています。

別の先行研究
・1100mora/min
→提示内容の90%以上が聞き取れる
・1400mora/min
→50%程度しか聞き取れなくなる
※1moraは、短母音を含む1音節の長さに相当し、日本語では、ほぼ「かな1文字」に相当する

mora(モーラ)とは、音の単位で、日本語ではよく「拍」と訳されます。上記にもあるとおり、1moraで日本語のほぼかな1文字に相当し、1拍が同じ時間的長さを持つことが特徴です。

例をいくつかあげますと、

  • ぼ・く → 2mora
  • わ・た・し → 3mora
  • く・い・ず・の・っ・く → 6mora
  • へ・ん・しゅ・う・ちょ・う → 6mora

というように、1つ1つのリズムが同じになるように数えられ、促音(「っ」つまる音)は1文字カウント。拗音(「ゃ・ゅ・ょ」ねじれる音)は0文字カウント。撥音(「ん」はねる音)は1文字カウントとなります。俳句や短歌を詠むときに1文字と数えるかどうかで考えるとわかりやすいかもしれません。

また、一般的に、日本語の通常の話速は8mora/secとされています。これを基準に倍率換算すると、1,100mora/minは日本語の一般的な話速の約2倍、1,400mora/minは約3倍であると考えられます。

日本語の一般的な話速は8mora/sec
これを基準に倍率換算すると……
・1100mora/min≒18.3mora/sec
→日本語の一般的な話速の約2倍
・1400mora/min≒23.3mora/sec
→日本語の一般的な話速の約3倍

このことから、3倍速(約23mora/sec)が「実用的な限界」であると言えそうです。

一方、QuizKnockの動画にも「倍速」を扱ったものがいくつかあります。

こちらの動画は、超高速で読まれるクイズを聞き取って答えるという企画。最初に問題文が100倍速で読まれ、聞き取れなかった場合3倍、2.5倍、2倍と下がっていきます。

100倍速はもちろん聞き取れません。注目していただきたいのは2問目以降。2問目でこうちゃんが3倍速では聞き取れず、2.5倍速で解答。3問目に伊沢さんが3倍速で誤答、川上さんは3倍速で聞き取れず、2倍速で解答しています。

また、こちらの動画は、お受験問題を何倍速まで答えられるのかという企画。1倍速からスタートし、成功すればその後のメンバーの挑戦に0.5倍速プラスされ、1倍速、1.5倍、2倍速と上がっていきます。

検証結果としては、2倍速まで成功。2.5倍速も話の内容を記憶することは難しいですが、一文一文、部分的にはなんとなく聞き取れるかと思います。

さらに、こちらの動画では、先ほどと同じ倍速お受験企画の3倍速に挑戦しています。3倍速になると聞き取ることがほぼ不可能。どういうお話であるのかさえ、わかりません。

このように、QuizKnockの動画からしても、やはり3倍速(23mora/sec)が聞き取れるかどうかの境目であると言えるでしょう。

限界突破の定義

以上を踏まえ、今回の調査では、伊沢拓司の挨拶が「1秒あたり23文字(3倍速相当)を超えた時点」を “聞き取れる限界を突破した” と定義します。

具体的な調査方法は以下の通りです。

# 調査対象
執筆時現在(2025年12月21日)までにYouTubeで公開されているQuizKnock(メインチャンネル)全動画のうち、伊沢拓司が出演している動画

# 調査手順
①伊沢拓司の挨拶にかかった時間を計測する
②挨拶の文字数を計数する
③1秒あたりの文字数を算出する
→23文字以上で限界突破

挨拶の秒数の計測は、ストップウォッチを用いて完全に手動で行います。当然誤差が生じますので、そこは大目に見てください。文字数は、moraの単位にならい、促音は1文字、拗音は0文字、撥音は1文字で数えます。

なにより、QuizKnockのメインチャンネルの全動画にあたるという今回の恐ろしい調査。

ちなみに、執筆時現在(2025年12月21日)、QuizKnockのメインチャンネルで公開されている動画数(Shortsを含む)は……

2177本!?

手がすくむほど膨大な数ですが、記念すべき10年目です。徹底的にやりましょう!

調査開始

Izawa's Phase 1 ~ゆっくり~

とにかく動画を古い順からあたっていきます。

初期の伊沢さんの挨拶はどの動画もゆっくりではっきりとしています。挨拶の文言も、現在のものに定まっておらず、新鮮です。

「はいどうもこんにちは 東大生クイズ王の伊沢拓司 でsssss」

こちらは、最初の動画から約1カ月後の2017年5月14日に公開された動画です。この挨拶は、かなりはっきりと聞き取れ、テロップで挨拶の最後の部分の「です」が強調されるほど。さらに、現在の挨拶と違う点として、「QuizKnock編集長」ではなく「東大生クイズ王」と言っていますね。

このようなゆったりとした伊沢さんの挨拶を聞き進めていくなか、最初に少し引っかかった動画がこちら。

「はいどもこんnちは東大生クイズ王の伊沢です」

なかなかのスピード感ではないでしょうか。こちらは2017年8月9日に公開された動画で、まだYouTubeチャンネルが発足してから約4カ月しか経っていません。

計測してみると3.03秒でした。挨拶の文字数は39文字なので、1秒あたり13文字。限界突破ラインは1秒あたり23文字ですので……まだまだですね。

Izawa's Phase 2 ~早い~

調査が最初の動画から約1年後の動画まで差しかかったころ。2018年4月1日に公開されたこちらの動画の挨拶をお聞きください。

「はいどもQuizノクへんしゅちょのいzわです」

かなり早いですよね。計測値としては1.04秒、1秒あたり22.1文字という計算になります。

気付けば23文字まであと約1文字。限界突破ももう目の前です!

次ページ:ついにその時が……!?

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この記事を書いた人

村上アリサ

関西で看護学を学んでいます。人体のしくみが好き。医療に関するテーマで、親しみやすく、楽しく学べるような記事を書いていきたいです!

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