こんにちは、吉田です。
私は小さい頃から読書が好きで、昨年度は100冊ほど読みました。多いと感じるか少ないと感じるかは人によって分かれるところでしょう。
さて、これだけの本を読んでいると、いい本に出会うためのコツというものが何となくわかってくるものです。細かく分ければたくさんになってしまうのですが、おおざっぱに分類すると以下の3つに分かれます。
- 3回読んで飽きないか?
- 内容を深く理解したいか?
- 本を見たとき運命を感じたか?
まず一つ目について。これは言い換えれば、図書館という知の泉で借りることができてなお、その本がほしいかということです。数回読んで飽きて、本棚で永い眠りにつくような本は、図書館で借りて読んだ方が後悔することが少ないです。
二つ目は、例えば漢検問題集など、学習したいと思ったことに関する本です。これらの本は比較的長く使用し、書き込みもするので、図書館で借りるよりも買った方がお得です。私が持っている参考書・学術書・歴史関係の本はすべてこの原則に従って集まりました。
三つ目は、要するに書店で少し眺めただけで「欲しい」と思った本は買うべきということです。言い換えれば、衝動買いへの言い訳なのですが……。
以上の原則に従って集めた本が、30冊ほどあります。どれもこれも選りすぐりの精鋭たちなのですが、今回はその中でも私が気に入っている本を3冊紹介します。皆さんの本選びの参考になれば何よりです。
『魔王』伊坂幸太郎
『ゴールデンスランバー』などの作品で有名な伊坂幸太郎の小説。
ある日会社員の安藤は自分が念じた言葉を他人に言わせる能力があることに気が付く。世間の関心が衆議院解散とファシズム的政党「未来党」に集まる中、世の流れに疑問を覚えた彼はひそかな抵抗を画策する。
この本との出会いは旅先で時間をつぶすために立ち寄った書店でした。移動時間の暇つぶしになるだろうと手に取った一冊でしたが、読み進めると面白く、一日で全部読んでしまいました。
この本では衆議院解散という身近な出来事を通して、周囲の意見に何気なく流されることへの危うさ、その危うさに気づかない大衆の愚かさ、そしてそれに逆らっていくことの難しさなどが書かれています。
この小説で発される警告に自分も心当たりがあるのがまた良いところ……。読んでいてハッとさせられるところがいくつもあります。
機会があれば続編の『モダンタイムズ』も読みたいところです。
『これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義』ウォルター・ルーウィン
「振り子の周期は重りの重さにかかわりなく一定である。重りの上に私が乗っても同じかやってみよう。」
表紙を1ページめくると現れるこの言葉に、中学生であった私は衝撃を受けました。何しろそれまで「物理学」という言葉から連想されるのは、理解不能な数式と小難しい説明の数々だったからです。
この本はマサチューセッツ工科大学でウォルター・ルーウィン教授が行った講義を書籍化したものです。振り子の他にも静電気や虹など身近な事象に潜む物理学の美しさをユーモアたっぷりに解説しています。
この本の特徴としては、数式がほとんど出てこず、また講義録なので文体はすべて話し言葉なのが特徴です。中学生の私のように、数式と小難しい説明に拒否反応を示す方でもこの本ならばすらすら読めると思います。
この本を読んだ中学生の私は感動を覚え、将来理系の分野に進むことを決めた……のかもしれない。
『ギリシア神話を知っていますか』阿刀田高
これもまた私が中学校のころに出会った本です。私は神話、特にギリシア神話を好んで読むのですが、この本はその趣味のきっかけを作った本と言えるでしょう。
神話というと一般に難しいイメージを持たれがちですが、この本はなんてことない、神話をわかりやすい表現で表しています。また、神話に関する作者自身の思い出話や予備知識が添えられていて、これは他の神話の本を読むうえでも役立ちます。
ここからは個人的な感想なのですが、ギリシア神話は登場人物がとにかく人間らしいことが特徴です。それゆえ多くの登場人物が、当然神も含めて、ミスをします。
「やるな」と言われたことをやってしまうオルフェウスやパンドラのように、そのミスの多くは現代のわれわれも犯しがちなものです。
私はギリシア神話を読みながら、こういったミスを古代ギリシア人も犯していたのだろうなぁと空想すると愉快になってくるのです。なぜなら数千年前を生きていた人々の日常生活の断片をうかがい知ることができるのですから。
私が担当する第4弾は以上となります。蔵書の紹介はめったにできないので、ついつい長くなってしまいました……。気に入った本って、そういうものですよね!?
私の蔵書は順調に増加しているので、面白い本が増えてきたら第2弾を書くかもしれません。それではさようなら。