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どうも。大阪で生まれて21年経ちました。松井です。

皆さんは「神戸ルミナリエ」というイベントをご存じですか? 毎年冬に神戸で開催される、関西最大級のイルミネーションイベントです。

新型コロナウイルス感染症の拡大による中断を経て4年ぶりに開催された昨年(2024年)の神戸ルミナリエでは、実に200万人を超える来場者が訪れました。 毎年冬になると関西では神戸ルミナリエのニュースが流れるようになり「本格的に冬が始まったのだな」と感じますね。

そんな冬の神戸を明るく照らすイベントが生まれたのは、今から30年前の1995年に起こった阪神・淡路大震災がきっかけでした。

阪神・淡路大震災とは

1995年1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生しました。

神戸の一部地域では震度7に達するなど、西日本を中心に非常に強い地震が観測されました。しかも、早朝の地震だったこともあり、朝から火を使う市場や商店などから火事が発生し、神戸の街が火に包まれてしまいました。結果として死者は6,000人以上、負傷者は43,000人以上に上り、戦後最大級の被害となったのです。

▲震災の影響で崩壊した高速道路と転落しそうになった観光バス via Wikimedia Commons 野田知明 CC BY-SA 4.0

未曾有の大災害からおよそ1年後の1995年12月、震災の犠牲になった方への慰霊と鎮魂の思いを込めて、第1回神戸ルミナリエが行われました。今年で30回目を迎えるこのイベントは、犠牲者への慰霊と鎮魂だけでなく、残された人々の心の傷を癒し、被災者へ「希望」を与え続けているのです。

▲今年の開催期間は1月24日〜2月2日

震災がきっかけで始まった・普及したもの

先ほど紹介した神戸ルミナリエ以外にも、阪神・淡路大震災をきっかけに日本で始まった・広まったものはたくさんあります。今回の記事では、そのいくつかを紹介します。

目次

ドクターヘリ
やさしい日本語
カセットコンロ
「ボランティア」の普及
災害用伝言ダイヤル

ドクターヘリ

ドクターヘリとは、お医者さんをいち早く救急現場に送って機内で患者の応急処置ができるよう、医療機器などを搭載したヘリコプターのことです。今では当たり前のように災害現場などで使用されていますが、国内でドクターヘリが本格運用されるようになった阪神・淡路大震災がきっかけです。

阪神・淡路大震災では多くの地域で道路が寸断され、救急車などが被災地へ行けないという状態になりました。消防防災ヘリ(山間部での消火活動など、広く防災活動に用いられるヘリコプター)の出動はあったものの、震災当日に搬送された傷病者はたった1人、3日間の合計でも17人と非常に少ないものでした。

この反省から、災害時には人命救助を専門とするヘリコプターが必要との声が高まり、試験運用を経て2001年から本格的にドクターヘリが運用されるようになりました。 ドクターヘリが大活躍したのは2011年の東日本大震災。18機が震災現場に出動し、孤立した医療機関から160人以上を搬送するなどの活躍を見せました。

やさしい日本語

もし災害が発生したら、僕たちは地方公共団体などの情報を基に行動をします。しかし阪神・淡路大震災では日本語があまり得意でない外国人居住者に情報が行き届きませんでした

これを受けて、外国人に対しても迅速かつ正確に情報を伝えるという目的で「やさしい日本語」が考案されました。

たとえば、以下の文を「やさしい日本語」に書き直すと、こうなります。

やさしい日本語は、

  • 簡単な言葉が使われている
  • 一文が短く、文構造が簡単である
  • 文節で区切って余白が入れられている
  • すべての漢字にルビが振ってある

などが特徴として挙げられます。

カセットコンロ

鍋料理をするときにお世話になることも多いカセットコンロも、阪神・淡路大震災を経て変化しています。

阪神淡路大震災での避難生活では、カセット式のガスコンロが使用されていました。しかし、メーカーによってガスボンベの規格(サイズや部品など)に差があり「このボンベはこのメーカーのカセットコンロには使えない」などの不便が生じていました。これを受けて、1998年に日本工業規格が改訂され、どのメーカーのカセットコンロでも同じガスボンベが使用できるようになったのです。

「ボランティア」の普及

阪神・淡路大震災が発生した後、全国各地から一年間で140万人ほどのボランティアの人たちが被災地に赴きました。活動内容も、救援物資の搬出・搬入や炊き出し、がれきの撤去や被災者のこころのケアなど多岐にわたりました。

こうした一連の出来事から、震災が起こった1995年は「ボランティア元年」と呼ばれるようになり、災害でのボランティアの重要性が注目されるようになりました。また震災から3年後の1998年にはNPO法(特定非営利活動促進法)が成立し、NPOが法人としてさまざまな取引ができるようになったことで、ボランティア団体に対する信頼が増し、地位向上につながりました。

災害用伝言ダイヤル

阪神・淡路大震災では情報のインフラも滞りました。震災後には285,000回線ほどの電話が不通になり、復旧に2週間近く要するということになってしまいました。

情報のインフラが滞ることで被災者は、家族や知人の安否などの知りたい情報が手に入らなくなります。こうした教訓から、「災害用伝言ダイヤル171」が生まれました。

災害用伝言ダイヤルは簡単にいうと、自身の電話番号を用いて30秒までのメッセージをやり取りできる共通のダイヤルです。例として、AさんとBさんの間でメッセージをやり取りするとします。

このとき、伝言を残す(録音する)側は「171+1+Aさんの電話番号」を、伝言を聴く(再生する)側は「171+2+Aさんの電話番号」を指定して録音・再生をします。つまり、Aさんの電話番号が「共通のパスワード」のような役割を果たします。このシステムを使うことで、電話が全くつながらない場合でも、公衆電話や携帯電話から家族や知人の安否を確認することができるのです。


▲「Aさんの電話番号」の部分がすべて「Bさんの電話番号」に置き換わってもOK(タップで拡大できます)

災害用伝言ダイヤルは震度6弱以上の地震が発生した際に提供されるサービスですが、平常時でも、毎月1日と15日など特定のタイミングで体験利用ができます。身の回りの人と「鍵となる電話番号(Aさんの電話番号)」を共有したり、事前に体験利用したりなど、身の回りの人の安否を確認するという防災意識を普段から持っておきましょう。

ちなみに、インターネットを利用してテキスト形式で伝言を登録できる「災害用伝言版(web171)」いうサービスもあります。災害用伝言ダイヤルに登録されたメッセージを確認することもできるので、こちらもぜひ確認してみてください。

おわりに

災害は何の前触れもなく突然発生し、さまざまなものに大きな被害をもたらします。そして、突然発生するからこそ、「あのときこうすればよかった」と反省することも数多く出てくると思います。

この記事では、阪神・淡路大震災に関する反省と、その反省を後にどのように生かしたかを中心に取り上げました。今を生きる僕たちができることは「反省を知る」こと、そしてまた、起こってしまうかもしれない災害に備えて反省を生かすことだと思います。

第30回神戸ルミナリエのテーマは「30年の光、永遠に輝く希望」。未来永劫「希望」という光が神戸を、日本を、そして世界を明るく照らしてくれることを祈っています。

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この記事を書いた人

松井一将

松井一将(マツイカズマサ)と申します。京都大学で美学・美術を勉強しています。クイズもしています。読者の皆さんの人生にちょっとした豊かさを与えられるような記事を書ければと思います。よろしくお願いします!

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