「歴史や英語が得意な人はすごい」
――子どものことから数字の本が好きだったり、数列などに興味があったりというのを聞くと、やはり昔から算数や数学が得意だったんでしょうか?
ふくら そうですね。やっぱり法則があるだとか、解き筋を見つけていく楽しさでいうと、算数や数学はほとんどパズルだから。ほかにもルールがあるものというと、英文法とか古典の助動詞とかの問題を解くのも好きでした。
▲「『have+been+過去分詞』で現在完了形と受動態になるとか……」
――逆に苦手だった教科はありましたか?
ふくら う〜ん、文系科目はあんまりできなくて、やっぱり暗記っぽいものは苦手でしたね、歴史とか。
――それでいうと、「第2次ルービックキューブブーム」で6面を揃えられるようになったときはパターンを丸ごと覚えた、という話がありましたが、パズルの暗記とはまた違うのでしょうか?
ふくら ルービックキューブで覚える量はそこまで多くないですよ。それにルービックキューブのパターンを忘れたとしても、必ずしも覚えた方法でやる必要はなくて、法則は決まっているから、その場で自分で研究してもいいんですよね。
▲「そもそもやり方がいくつもあるから、そこで考えればいい」
ふくら それと同じで、数学や物理の公式ってこの世にある真理をもとにしているから、たとえ公式を忘れたとしても本質を理解していれば導き出せるじゃないですか。でも歴史の用語とかは思い出せなければどうにもできないこともあるから。
――確かに、再現性があるかどうかというところも大きいですね。
ふくら そうなんです。僕、大学時代に塾講師とか予備校講師のバイトをしてたときによく思ったんですけど、歴史とか英語を教えてる人は本当にすごいなと思って。知らないことを聞かれたら、もう答えられないじゃないですか。
▲「歴史用語は覚えてるか覚えてないかによっちゃうことが多いから」
ふくら 僕は数学の質問で答えられないことってないと思っていて、その場で考えたら絶対いつかはわかるから。もちろん近道になる解き方はあるけど、別に「太郎くんは、りんごを何個食べました」みたいな問題で三角関数を使って解いても正解になるんですよ。やり方が違っても、間違った答えにたどり着かないっていうのは数学の好きなところです。
パズルを「見ないで解く」ができるのはなぜ?
――またルービックキューブの話になっちゃいますが、ふくらさんはYouTube動画の企画で、須貝(駿貴)さんに電話で指示してルービックキューブを解かせるとか、目の前にないパズルを解くこともやっています。これは単なる「パズルが得意」に収まらない気がするんですが……。
ふくら それはたぶん、第3次ルービックキューブブームのときに、見ずに揃えるみたいなのを軽くやっていたからな気がします。
▲第3次ブームではそんなことまで……
ふくら これもやりたくてやってたというよりは本当に暇つぶしで、ルービックキューブを解いていくときに「手順を覚えているけどなんでそうなったのかわからない」みたいなことがあるんです。だから、なんでそうなるかを確認したいなって思うわけです。
そのときにルービックキューブの実物はないんですけど、頭の中でルービックキューブを思い浮かべて、ここを動かすとこのキューブはここにきて、向きはこうなってる、みたいなのを整理していくみたいな……。
――な、なるほど……。
ふくら わかりやすく言うとなんだろう……、たとえばアイドルのダンスPVがあったら、特定のメンバーだけを追って見たりとかできるじゃないですか。
――あぁ〜! 好きなメンバーだけを目で追うこともありますね。
ふくら その感じですよね、気持ちとしては。Aメロではここにいたのに、なんかサビになったら右端に行ってるやんみたいなのとか。それと一緒ですね。
▲「その感じと同じな気がする」
――つまり、キューブのひとつひとつをアイドルのメンバーだと思うと……。
ふくら ちなみに、ルービックキューブってメンバーが何人いるかわかります?
――え〜っと、9マスが6面あるので、54人ですか?
ふくら それは正しいルービックキューブの把握の仕方ではなくて。要は黄色い面と赤い面があったとして、境界の真ん中は赤と黄色のセットなんですよね。そのキューブは2色で1人なんです。
どんなに動かしても「赤と赤」というようなパーツは生まれない。そういう意味では54人が自由に動いてるわけではないんですね。角のキューブは3色で1人だから、全部合わせると20人。厳密には見えていない真ん中のパーツがあるから、21人とも言えますけどね(笑)。
▲分解すると20個のキューブと真ん中のパーツに分かれる
――20人、21人か。そう言われると、なんか覚えられなくはない気がしてきました。
ふくら だから、僕が脳内でルービックキューブを動かしているときは、ある色のマスだけを追ってるわけじゃなくて、キューブごとに追ってるって感じですね。
▲「21人グループだと思えばいいんです」
ふくら そういう把握の仕方が正しいんだというのも、ずっとやってくといつか身につくわけです。「なんでそうなったのかわからない」っていうことも、「絶対にそうなるはず」っていうことに気づくことができる。そのフィードバック能力が身につくと、適切な見方もできるようになるわけで、これがロジカルな考え方みたいなところにつながっていく気がします。
前編ではふくらPが考えるパズルの魅力や、パズルに関する幼少期の思い出について聞きました。中編ではパズルで得た学びや「ふくら流ライフハック」など、さらにふくらPの頭の中を覗いていきます。ぜひ、次回もお楽しみに!
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