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こんにちは、朱野です。ファッションが好きです。好きが高じて、ロンドン芸大でファッション・スタディーズの修士課程を修めてしまいました。

わたしはおしゃれをしたり服を作ったりするのと同じくらい、ファッションの話をするのが好きです。そこでふと思いました。サッカー好きがサッカー選手の魅力を語るように、ファッション好きはファッションデザイナーの魅力を語ってもいいじゃない、と。

そこで今回は、みなさんも一度は名前を聞いたことがあろうフランスのファッションブランド「シャネル」の創業者、ガブリエル・“ココ”・シャネルの魅力をお話しします。

IMG_Chanel

"Coco Chanel" by plumsaplomb is marked with CC PDM 1.0

ファッションブランドとしての「シャネル」が今も世界的に人気を誇っているのはもちろん、シャネル本人にまつわる本や映画も数多く制作されています。

今年(2021年)はシャネルが87歳で亡くなってから、ちょうど50年。シャネルの代名詞的香水「シャネル N°5」誕生から100周年でもあります。そんなメモリアルイヤーを記念し、今夏にはドキュメンタリー映画『ココ・シャネル 時代と闘った女』の公開も控えています。

▲『ココ・シャネル 時代と闘った女』劇場予告編

私が考えるシャネルの魅力は3つ。

  1. デザイナーとしての魅力
  2. 新しい女性像を体現した存在としての魅力
  3. 彼女が生きた時代や環境によって形成された魅力

シャネルは、デザイナーとして時代の先端のファッションを提案したのはもちろん、彼女自身の人柄や生き様もとてもユニークだったことから、今でも世界中でその名が知られているのです。

時を超えて人々を魅了し続けるシャネル。その理由を詳しく見ていきましょう。

デザイナーとしてのシャネルの魅力

シャネルは間違いなくファッション史上最も重要なデザイナーのひとりです。それはどうしてでしょう?

その理由として最もよく挙がるのが

  • ファッションを使って女性を解放したから
  • ファッションにイノベーションをもたらしたから

の2点です。

シャネルがデザイナーとして活躍しはじめたのは1910年代。帽子屋としてキャリアをスタートし、1913年にはブティックをオープン。洋服の販売を始めます。

この頃、西洋社会は大きな変革の中にありました。1914年に第一次世界大戦が勃発すると、労働力不足を補うため、女性も会社や工場で働きはじめます。

それまでの女性服といえば、スカートは長く、ウエストはコルセットで縛られ、たくさんの装飾が施されたものが主流でした。しかしそうした服は動きにくく、仕事の邪魔になってしまいます。戦時中の物資不足の影響もあり、女性たちはよりシンプルで機能的な服装を求めるようになりました。

こうした社会で活躍する女性たちのための機能的な服をデザインしたのがシャネルだったのです。ゆとりを持たせたウエストや膝丈まで短くなったスカートによって、女性たちは文字通り、コルセットから解放されました。

また、それまで女性用鞄というとハンドバッグしかありませんでしたが、シャネルは両手を使えるショルダーバッグを提案しました。女性のためのパンツルックを最初に提案したのもシャネルだといわれています。

こうした機能的な服を作るため、シャネルはそれまでのファッションにはなかった画期的なデザインを次々と取り入れます。

IMG_Chanel

▲ジャージー素材を用いたシャネルの初期のデザイン

例えば、それまで男性用下着にしか使われてこなかったジャージー素材を、彼女は高級仕立服であるオートクチュールに使いました。また、それまで喪服のイメージが強かった黒を、モダンでおしゃれな女性のための色として普段着に取り入れました。

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▲シャネルスーツは現在もブランドを代表するスタイルのひとつ。男性服用の素材だったツイードを、女性服に初めて用いたのもシャネルでした / "Gabrielle “Coco” Chanel day suit and Licensed copy" by Museum at FIT is licensed under CC BY-SA 2.0

ここで紹介したのはシャネルの功績のほんの一部に過ぎませんが、これだけでも、シャネルがファッションの世界にとってどれだけ偉大な存在か、おわかりいただけると思います。

次ページ:シャネルの逆転人生。孤児院から「私が流行」になるまでとその華麗なる交友関係とは……?

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この記事を書いた人

朱野

ロンドン芸術大学での修士課程を終え、Master of Artsになりました。日本ではまだ馴染みの薄いファッションの学術研究の面白さを、みなさんとシェアできれば嬉しいです。ちなみにロンドンにも美味しい食べ物たくさんあります。

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