⚠注意⚠
イラストによる血管の表現が生々しく見える箇所があるかもしれません。苦手な方はご注意ください。
血管を描いてみよう
全体の血管の位置を確認するために、ここからは少しアナログな手段を取ります。
装置を腕に当てて血管を見つけたら、その位置をペンでなぞって記録します。少しずつ腕を動かしながら、見えた血管をどんどんつなげていきます。
こうしていけば、最後には……自分の腕の血管の全体像がわかるはず!
果たして、私の腕にはどんな血管が走っているのでしょうか。さっそく描いてみます。
静脈
静脈はやっぱり青色ですよね~。

私たちの目からは青っぽく見えますし、動脈血と比べて酸素量が少なく暗い色をしているので、イラストなどでも青色で表されることが多いイメージです。
静脈は末梢から中枢へ血液が流れているので、何となく流れに沿って末梢側(今回なら指先)から描き始めます。

人体の組織は、体のすみずみまで物質を行き渡らせるため、末梢へ行くほど細分化されます。そのため、血管も細く、分岐が多く見られます。

手のひらが描き終わり、こんな感じ。

はっきりと見えた部分は太い線で、ぼんやりと確認できた部分は細い線でなぞってみました。こうして見ると、かなりたくさんの静脈が走っているのがわかります。
ちょっとキモ……金継ぎみたいで綺麗ですよね!
さて、さらに中枢側へ進んでみましょう。次は、前腕です。


手のひらとは打って変わって、静脈の本数が少なく、すっきりとしていますね。これは、装置で確認できるのが、主に皮膚のすぐ下を走る静脈までであったためだと考えられます。
皮膚のすぐ下にある静脈なら、装置を使わずとも、肉眼で位置がわかる人もいるでしょう。プニプニと浮き出ている場合もありますね。
このような比較的浅いところを走る静脈は、皮静脈(浅静脈)と呼ばれます。採血のときに選ばれるのも、こうした皮静脈です。
一方、装置を通しても姿を現さなかった静脈もあります。こうした静脈は、筋肉の中などのより深い位置を走る深静脈であると考えられます。
また、人体の中で比較的太い血管には、しっかりと名前が付けられています。

はっきりと見える3本の静脈のうち、親指側のものが橈側皮静脈、真ん中のものが前腕正中皮静脈、小指側のものが尺側皮静脈です。前腕正中皮静脈は、やがて尺側皮静脈に合流します。
「橈側」「尺側」というのは、前腕にある2本の骨、親指側の橈骨、小指側の尺骨に由来しています。
ここで1つ、採血にまつわる豆知識を。
先ほど、皮静脈が採血でよく選択されると紹介しましたが、腕の皮静脈の中でも橈側皮静脈が優先して選択されることが多いです。
これには、尺側皮静脈付近(小指側)には正中神経が走行していることが関係しています。

尺側皮静脈とは逆側の静脈を選択し、誤って神経に針を刺して傷つけてしまうことを避ける必要があるのです。
では、もう少し上腕側へ進んでみましょう。

肘正中皮静脈が橈側と尺側の静脈を結んでいます。肘正中皮静脈も先ほど紹介した橈側皮静脈に次いで、採血でよく選択される静脈です。
上腕静脈と尺側静脈は中枢側で合流して腋窩静脈となります。ここまでほぼ独走している橈側静脈は、より中枢側へ進むと、やがて腋窩静脈と合流して鎖骨下静脈になります。
鎖骨下静脈まで来れば、あとは頸静脈と合流して心臓に流れるだけなので、心臓まであと一歩! という感じがしますね~。
手の甲側も描きます。

手の甲は皮膚が薄く、皮下脂肪も少ないため、血管が透けやすい部位です。装置で照らさずとも皮膚の上から血管の位置が見えるという方も多くいます。
また、採血のとき、多くは痛みを感じにくい肘に針を刺すことが多いですが、前腕に適切な血管がない場合には、血管の位置が確認しやすい手の甲の静脈が選択されることもあります。
腕の静脈すべて描き終わりました。私の腕の静脈の全体像がこちら!



教科書や図鑑で見た通りで感動しています。ロボット感もあってかっこよく見えます。


でも、静脈だけだとスカスカで少し寂しいですね。
そこで、教科書や図鑑を参考に、動脈の位置も予想して描いてみましょう。
動脈
動脈は赤色のペンで描いていきます。

動脈は静脈とは逆で、中枢から抹消へ血液が流れているので、流れに沿って今度は中枢側から描き始めます。

上腕には、主に1本の太い上腕動脈が走っています。

その1本から、上腕骨の周りをぐるりと囲むように上腕深動脈や、側副動脈と呼ばれる動脈に分岐します。
前腕はこんな感じです。

随分とごちゃごちゃしてきました。
上腕動脈から大きく2つの動脈に分岐します。親指側の橈骨動脈と、小指側の尺骨動脈です。
橈骨動脈は脈拍に触れられる血管であるということで有名です。
脈拍:心臓の周期的な運動によって手首などの末梢動脈に伝わる拍動。安静時の健康な成人で一般的な正常範囲は60〜100回/分。
脈拍を測り、一定の時間に拍動する回数、拍動の大きさやリズムを観察することで、心臓の活動状態や自律神経のバランスを知ることができます。
橈骨動脈は、皮下脂肪が薄く、浅い部位にあるため、脈拍が触れやすくなっています。
また、触れる部位や触れ方に個人差が比較的少ないため、正常な状態で橈骨動脈の脈拍が触れないことはほとんどないともされています。
ちなみに、橈骨動脈の脈拍の正しい触れ方があることをご存じですか?

脈拍は、示指(人差し指)・中指・薬指をそろえて指を寝かせた状態で測ります。
母指(親指)の方がすぐに測れそうに見えますが、母指では太く、測っている人自身の脈拍と測られている人の脈拍が混同してしまうことがあるため、避けるべきとされているのです。
血管地図完成
静脈を実測し、動脈を推定して描き加えた結果……


血管の地図が出来上がりました。
手の甲側の写真は……撮り忘れました。すみません(何やってんだお前ェっ!!!!)(2回目)。
実際になぞってみると、思った以上に複雑です。普段は見えないだけで、私たちはかなり精巧な配管システムを持っているようです。

自分自身が教材になれるとは嬉しいですね!
まとめ
静脈可視化装置を使ってみてわかったのは、装置の仕組みや意義だけではありません。普段は何もないように見える腕の中に、これほど複雑な構造が隠れているということも再確認できました。
人体は毎日見ているのに、見えていない部分もたくさんある。そう考えると、自分の腕一本ですら、まだまだ探検の余地がありそうです。
それではまた!

【あわせて読みたい】






