こんにちは。ライターの一等兵です。
今年は、日本のアニメ映画にとって非常に重要な年になりました。なんといっても新海誠監督の『君の名は。』の大ヒットです。
これまで歴代の興行収入の上位に入るアニメ映画と言えば、ジブリかディズニーか……といった情勢でしたが、これまであまり知られていなかった新海監督作品の突然の(!)メガヒットは、これからのアニメ映画界の勢力図を塗り替えることになるかもしれませんね。
もちろん、今年日本の映画館で公開されたアニメ映画は『君の名は。』だけではありません。他にも数多くのヒット作、話題作がありました。今回は、簡単なクイズを交えながらいくつかのタイトルを振り返ってみましょう。アニメ好き・映画好きのかたは、全問正解目指して頑張ってみてください(クイズだけやりたい! という人は文章を読み飛ばして下にスクロールしてね)。
目次
『君の名は。』
2016年のアニメ映画を振り返るうえで絶対に欠かせないのはやはり『君の名は。』でしょう。今年日本で公開された映画のなかでダントツトップの興行収入を稼ぎ出し、これまでは知る人ぞ知るアニメ監督であった新海誠さんの大出世作となりました。
美麗な作画、RADWIMPSが手がける劇中歌、ストーリー上の巧妙な仕掛けによって彩られた瀧と三葉の物語に多くの人が涙したのではないでしょうか。新海監督は次回作の制作に取り掛かることもすでに宣言しているようです。待ち遠しいですね。
『聲の形』
『君の名は。』ほどではありませんが、こちらも大ヒットを記録した大今良時(おおいまよしとき)原作の『聲の形』。聴覚障害を背負ったキャラクターを登場させることで、少年少女たちのコミュニケーションをめぐる葛藤を残酷なまでに描き出すストーリーが大きな話題となりました。
私たちがふだんあまり気にせず行っているコミュニケーション手段の選択(声なのか、身振りなのか、それともLINEやメールの文字を通じてなのか……)が、特定の人を無視し、傷つけることの選択になってしまうこと、ときには反対に、特定の人との距離を縮めてその人の「声」に耳を傾ける選択にもなるということ。
私たちが他人と関わるときには大なり小なり問題となるコミュニケーションの複雑さと、ときにその複雑さのなかから生まれる感動を、音ではなく「形」を通してしか人々の「声」を聴くことができないキャラクターを題材とすることで問いかける作品になっています。
『ズートピア』
今年、ディズニーのアニメ映画でもっともヒットした作品といえば『ズートピア』。
人間の社会に根深く残る「差別」をめぐる 非常に複雑な問題を、警官を目指すウサギのジュディと詐欺師のニックが動物たちの理想の都市「ズートピア」を舞台に繰り広げる エンターテイメントへと見事に昇華した作品です。
重たいテーマ、難しい問題をそれと意識させることなく、分かりやすい題材で表現しようとしているところが大きな特徴です。
『レッドタートル ある島の物語』
ジブリが初めて海外の監督を起用して日仏合作で制作した『レッドタートル』という作品も今年公開されました。
残念ながら興行収入はあまり振るわなかったのですが、そのクオリティは高く評価されていてアニメ界のアカデミー賞ともいわれる「アニー賞」になんと5部門でノミネート。『君の名は。』もいくつかの部門にノミネートしていますが、『レッドタートル』の5部門には及ばないというのだから面白いですね(ちなみに、最多ノミネートは『ズートピア』の11部門)。
映画のあらすじは、命からがら無人島にたどり着いたものの、そこから脱出することもできずに途方に暮れている男のところに、ある日ひとりの女が現れるというものなのですが、驚きなのはこれが「無声」映画、つまりは「台詞なし」の映画だということです。美しいヴィジュアルと音楽でジブリがどんな物語をつくりあげたのか。ちょっと気になってきませんか?
『この世界の片隅に』
クラウドファンディングで制作費をかき集めるところからスタートして、いまや大ヒット作になっている『この世界の片隅に』は、こうの史代原作で2016年の11月に公開されました。
第二次世界大戦末期、広島の呉(くれ)という軍港のある街で「すずさん」が過ごす日常を描いたこの映画は、そのクオリティの高さがSNSを中心とする口コミで大きな話題となり、当初の予定よりも大きく規模を拡大して上映されています。
戦争そのものではなく、戦争によって様々なかたちでずたずたに断ち切られながらも、幾度も裁ち直され、淡々と続いていく「世界の片隅」の風景が丹念に描かれることで、観ている人々がそれぞれの仕方で強く訴えかけられる映画になっています。2017年に入ってからも拡大上映が続けられていくようですし、2016年のアニメ映画を語るうえで欠かせない作品のひとつとなるのは間違いないでしょう。
ここまで、いささか淡白な紹介したが、で2016年のアニメ映画を何本か振り返ってきました。もし興味が出たものがあれば、ぜひご覧になってみてください。
本音を言えば一本ずつだらだらと紹介していきたいのはやまやまなのですが……、スペースも限られているので、もしまた機会があれば……(あるのか?)。ということで、今回紹介した5本の映画についてのクイズです。ちょっとむずかしいかも?
単なる紹介だけというのもアレなので、ライターの個人的な振り返りを少しだけ。今年は質の高い作品も、エンタメとして優れた作品も数多く出てきた当たり年だったのかな、と思います。この記事では手堅い作品ばかりを挙げていますが、ライターの趣味に偏らせて5本挙げるとしたら、ここでも挙げた『聲の形』、『この世界の片隅に』のほかに、key原作の『Planetarian ~星の人~』、『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』、『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』といったところでしょうか。感想まで書き始めるとどこまでも長い記事になってしまうので、これもまた別の機会があれば……(泣)。
一方、来年も楽しみな映画はアニメかどうかを問わずたくさんあります! アニメ映画の紹介なのでそこから少しだけ(相変わらず偏った趣味にのっとって)挙げるなら応援上映の勢いが大変話題になった『KING OF PRISM』の新作、様々なトラブルに見舞われた結果公開時期が大きくずれ込んでいた伊藤計劃原作の『虐殺器官』、『逃げ恥』も大ヒットした星野源が声優を務める『夜は短し歩けよ乙女』、そしてなんといっても2016年に大ヒットした『シン・ゴジラ』を受けての、アニメ劇場版『GODZILLA』……、さらに弐瓶勉原作の『BLAME!』も公開予定です。
ああ、駄目ですね。タイトルだけ並べても何も伝わらないですよね。どの映画にもみなさんがきっと面白そうだと興味を持ってくれそうなポイントがたくさんあるのです。その魅力をもっとコンパクトに伝えられたらよいのですが、今回はここで締めさせて頂きます。もし反響があれば似たような記事を書かせて貰える機会も増えるとは思うのですが(泣)。それではまた別の記事でお会いしましょう。