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自己流対処法の効果はある?

緊張しやすいのは生まれつきというのを聞いて、果たして本当に克服できるのか不安になってまた緊張してきました。ここからはかすかに震える声で、先生に効果的な対処法を聞いていきます。

私は緊張して声が震えるのを抑えるために、次のような対処法を実際にとってきたのですが、これらは効果があるといえるでしょうか?

▲最後の声出し中には絶対に遭遇されたくない

これはどうやって編み出したんですか?

自分がリラックスできそうと感じたものや、緊張の対処法としてよく耳にするものを取り入れていました。

なるほど。効果的なものもあれば、そうでないものもありますね。上からみていきましょう。

本番前に深呼吸をする

まず、深呼吸は悪くないですよ。副交感神経を優位にするために、ゆっくり呼吸することは重要なので、これはよく使われる方法です。実際、効果はありましたか?

話しはじめは落ち着くことができるのですが、時間が経過するにつれてだんだんと緊張が高まってしまい、結局いつも通り声は震えていました。

ずっと深呼吸するわけにはいきませんもんね。

相手の顔を食べ物に例える

これはよく聞きますが、「聞き手の顔をジャガイモだと思い込む」という方法です。発表のときの私の視界はジャガイモ畑並みでしたが、効果はあるのでしょうか?

これはいい方法ですよ。ただ、全員をジャガイモだと思うよりはもっと具体的に観察する方がいいです。例えばラジオのアナウンサーがリスナーに実況中継するように、目で見た相手の容姿をすべて細かく捉えると、具体的な観察の結果が出ますよね。そういった方法の方がオススメです。

本番前に声出しをする

これはちなみにどういった感じで声出しするんですか?

あーーっ!!」といった感じでとにかくたくさん声を出すのですが、正直、あまり効果を感じられたことはないです……。

そうですね、これは実はいい方法ではありません。本人が不安を和らげるつもりで行う事前練習やリハーサルのしすぎはあまりよくなくて、やりすぎな場合が多いんです。ですので事前練習はしすぎない、するとしても1回くらい、そしてその後は本番のことは忘れとけ、というのが治療でもよくお伝えしていることです。

そうだったんですね! 声出し含め、入念に準備した方がいいと思っていました。

あとは反省のしすぎもよくないので、1人反省会は5分程度で行うのがオススメです。

そうなんですね! 1人反省会よくやってました……。

緊張したらどうしたらいいの?

では、実際に緊張したらどのような対処法をとるとよいのでしょうか?

緊張の症状を緩和するには、認知、行動、注意のバランスをとることが大事です。

私もそうだったんですが、緊張して声が震えるなどの症状が出たとき、「緊張がバレたら恥ずかしい」とか「変に思われそう」とか、心配になる人が多いんです。

でもよく考えてみると、そうした症状は生きるための反応なんだし、知られたってよくないですか? このように、症状を気づかれてはいけないではなく、「気づかれてもいいや」と考えるのが認知のバランスをとるということです。

なるほど、気づかれてもいいという発想はありませんでした! 行動のバランスをとるとはどのようなものでしょうか?

例えば手が震えないようにと力を入れてしまっては、余計に震えてしまいます。そこで適度に力を抜くというのが行動のバランスです。

では最後の1つである、注意のバランスとはどのようなものですか?

人前で緊張してしまう人の多くは、自分の顔が赤くなっているのではないか、声が震えているのではないか、などと自分がどう見られているかに注意が向いています。注意を自分に向けすぎず、相手に向けるようにしましょうというのが注意のバランスです。

先ほどの相手の顔を食べ物に例える対処法は、注意のバランスが十分にとれていなかったということでしょうか?

そうです。相手の細かなところまで見ることで、注意のバランスに繋がります。最初は難しいかもしれませんが、親しい人と話すときに意識するなどして、だんだんと練習していくことが大切です。

認知、行動、注意のバランスを柔軟にとれるよう、鍛錬します……! そしていつか緊張しない人になりたいです!

でも、緊張しやすいことが悪いわけではないですよ。感受性が豊かな人は緊張しやすいという話をしましたが、不安に敏感ということは幸福感にも敏感だといえます。つまり、ちょっとした幸せも大きな幸せに感じられるということです。

なるほど!

緊張が0になるといいなと思うときもあるかもしれませんが、僕としては緊張しやすい自分でいい、そこで感じられる幸せもあると思うことも大切かなと思います。それに緊張は0でも100でもダメで、大事な場面である程度のパフォーマンスを出すためには、ある程度の緊張も重要です。

先生はどうやって克服したの?

冒頭で先生もかつてはあがり性だったと仰っていましたが、どのように克服したのでしょうか?

私の場合、あがり性の程度は深刻ではなかったかもしれませんが、人間関係のハードルを上げすぎてはいけないと思えるようになったことが大きいと思います。

そのように思い至るまでの背景には、どのようなご経験があったのでしょうか?

アメリカに留学していたんですが、留学当初、英語を喋るには流暢でなければならないと考えすぎてなかなか喋ることができませんでした。

でも緊張しない人は流暢でないめちゃくちゃな英語でも、楽しくコミュニケーションをとっているわけです。そういうのを見て、別にたどたどしい英語でもいいんだ、人間関係は完璧にこなさなくてもいいんだ、と思えるようになった面もありますね。

先生のご経験も、認知のバランスが重要だったんですね。

あがり性の悪循環にはまってしまうとなかなか抜け出すことが難しいです。毎日がしんどいという状況が続いていて、実際に日常生活に支障があるという場合は、ぜひお早めに治療のご相談に来てみてください。

ありがとうございました!

緊張は悪いことばかりじゃなかった!

私は緊張しやすい自分が嫌だったのですが、清水先生の「感受性が豊かだから、小さな幸福も敏感に感じ取れる」というお話を聞いて少し気持ちが楽になりました。緊張しやすい自分でもいいという、とても心強いお話ですね!

とはいえ、緊張してしまう、緊張して症状が出て困る、というのも実際のところ。そんなときは認知、行動、注意のバランスをとる対処法を試してみてください。私もこれから待ち受ける発表や面接では早速この方法を取り入れていきます。ちょっとずつ鍛錬していけば、声の震えに打ち勝つ日も近いに違いない!!

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この記事を書いた人

皐月

筑波大学で国際関係学を専攻しています。皆様の心に残る楽しい学びをお届けできれば幸いです。よろしくお願いします!

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