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株式会社JERA

「~」つきの表記は1970年代には存在していた!

さっそく、自動販売機を手がける富士電機に、「〜」が使われるようになった時期について聞いてみました。

富士電機担当者かなり以前より使用されております。お客様のホームーページの写真(1970年代)でも見られます。ただ、申し訳ございません。正確な年度についてはわかりかねます。

50年近く前から「あったか〜い/つめた〜い」の表記が使われていたとは! 確かにコカ・コーラの1970年代の自販機からは、「つめた〜い」の表記が確認できました。

▲右の自販機には「つめた〜いお飲物」の表記がある(コカ・コーラ公式Facebookページより)

しかし、同社も「〜」が使われ始めた理由までは「わかりかねる」といいます。それでも、2つの可能性を教えてくれました。

富士電機担当者

  • 「つめたい」より「つめた~い」の方が、やさしい(ゆるい)感じがする
  • 冷温の表示部は横広でスペースがあり、表現上文字数が多い方がわかりやすく良い。「COLD→つめたい→つめた~い」
から増えていったのではないかと思われます。

ここまでの取材で挙げられた「〜」から受ける印象のほかにも、文字数が多いほうがわかりやすいという実用的な理由も挙げられました。

各社の回答を総合すると、「あったか~い/つめた~い」の表記が使われ始めたのは50年近く前のことで、「~」を使った表記が多く使われているのは、

  • 子供から大人まで幅広い年齢層が理解できるから
  • やさしい、ゆるい、情緒的な感じがするから
  • 文字数が多い方がわかりやすいから

という理由があることがわかりました! 結果的に、「〜」の表記を使うメーカーが増え、「普及しているから」という理由で広がっていったのだと考えられます。気づけばここまでたどり着くのにたくさんの取材をしていました。思えば遠くまで来ました……。

アイコンだけの自販機が気になる

ちなみに冒頭で紹介した、「テキストなし」の自販機「acure」についても取材してみました。

「acure」はJR東日本の駅などを中心に設置されている自動販売機で、マークや色つきのボタンのみという一風変わった温冷表記をしています。その理由を、「acure」を提供するJR東日本クロスステーション(以下、JR-Cross)に伺いました。

▲「acure」の自販機

同社は2014年に、商品選択のボタンを押しやすいように大きくした「おもてなし自販機」と呼ばれる独自の自販機(製造は富士電機)を開発しました。このとき、従来はシールで掲示していた価格や温冷表記などの情報は、大きくしたボタンの中に集約され、デジタル表記になりました。これにより、シールが剥がれるリスクがなくなり、紙の使用を減らすことにもつながっているそうです。

こうした経緯から担当者は、文字を使わない「雪や炎のアイコン」や「青や赤の色」の表記は、ボタンの面積に表示できる情報が限られていることや、日本語がわからない海外からの利用者にも「温冷」を伝えやすいことから採用されたといいます。

同社の自販機を製造する富士電機によると、アイコンを用いた自販機が登場したことで、文字を用いた表記の自販機の製造は減っているそうです。ただし、「過渡期のタイミングかと思われます」とのことで、まだ「あったか〜い/つめた〜い」の時代は続くようです。

▲これからボタンにも注目したくなる

それでも、駅ナカでは特にアイコン表記の自販機をよく見かける印象があります。JR-Crossの担当者は、駅ナカには比較的新しい自販機が設置される傾向があるため、最近登場したアイコン表記の自販機が多く設置され、目に付きやすいのではないかと話します。駅ナカの自販機は、一般的な街中の自販機と比べて利用者数が圧倒的に多いため、耐用年数も短くなるのだそうです。

JR-Cross担当者:街中の自販機が一般的に月7万円程度の売上と言われているところ、東京駅の新幹線改札内コンコースに設置されている自販機では月500万円を超える売上を記録したこともあります。

最大で70倍も売上に違いがあるとは驚きです。温冷表記の取材から、思わぬ情報を得ることもできました。

「あったか〜い」には3つの理由があった!

今回は、自動販売機の温冷表記に「~」が使用されている理由を探ってみました! 飲料メーカー、自動販売機製造の業界団体、自動販売機メーカーに取材したところ、

  • 子供から大人まで幅広い年齢層が理解できるから
  • やさしい、ゆるい、情緒的な感じがするから
  • 文字数が多い方がわかりやすいから

という3つの理由がありました。また、業界内でガイドラインが制定されたことで、「あったか〜い/つめた〜い」や「あたたかい/つめたい」などの一定の表現に揃えられていることもわかりました。最近では、これに加え、アイコンや色でのデジタル温冷表記も増えてきています。

普段何気なく利用している自動販売機ですが、たくさんのことが考えられて今ある温冷表記になっていることがわかりました。 たしかに、「あったか~い/つめた~い」と「~」が使われていると、ほんわかした気分になりますよね! 特に冬に「あったか~い」を見たときはなおさらです。

皆さんも今後自動販売機を使用する際には、どんな温冷表記が使われているか、ぜひ見てみてくださいね!

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この記事を書いた人

胡桃

慶應義塾大学大学院修士課程2年の胡桃です。心理学を学んでいます。心理学の面白さを伝えられる記事や、日常の中のふとした疑問を楽しみながら解決できる記事を書くことが目標です。写真撮影とディズニーが大好き。記事を通して一緒に楽しく学んでいきましょう!

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