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こんにちは、松林です。突然ですが、私はある現象の研究を専門としています。それはーー

▲「超伝導」です!

QuizKnockでは主に須貝さんの専門分野であることで知られ、しばしばその素晴らしさが熱弁されていることでおなじみです。

▲「超伝導」について熱弁する様子を見たい方はこちら

 この「超伝導」という現象は、病院のMRI検査リニアモーターカーなどのさまざまな技術に応用されています。

病院で行われるMRI検査は、強い磁石を使って身体の中の状態を見る検査です。「病院で実際に検査を受けたことがある」という方も多いのではないでしょうか?

▲筒のような機械に入るあの検査

また、リニアモーターカーは、磁石を用いて浮遊しながら移動する、次世代の交通手段です。日本では、東京から大阪までを結ぶ「リニア中央新幹線」が計画されており、これが実現すると東京と大阪が約1時間で結ばれるとされています。

▲リニアモーターカー via Wikimedia Commons Saruno Hirobano CC BY-SA 3.0

このようにさまざまな応用がされている超伝導ですが、「超伝導という言葉を聞いたことはあるけど、その凄さについて実はあまり知らない……」という人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、意外と知られていない超伝導がどのようなものか見ていきましょう!

「超伝導」とは?

超伝導」とは一体どのような現象なのでしょうか? それはずばり「特定の物質を非常に低温にしたとき、電流が非常に流れやすくなる」現象のことです。この「低温」というのは、生活で見るような温度よりもはるかに低い温度で、マイナス100℃よりもはるかに低い温度のことです。

では、「電流が流れやすい」ことのメリットは何なのでしょうか? 電流が流れやすいということには、

  • 特定の物質に電気を少し流すだけで、非常に大きな電流がその物質に流れ続ける
  • 電流が流れるときのエネルギーの損失が非常に小さくなる
といったメリットがあります。

様々な技術のもとになる「超伝導磁石」

超伝導が利用されている技術の代表例として「超伝導磁石」をご紹介します。

そもそも「電磁石」とは、下の画像のように、導線をらせん状に巻いたものです。巻いた導線に電流を流すと、画像のようにN極とS極が生まれて磁石になります。

▲導線を巻いて作る電磁石。プラス極とマイナス極を繋いで電流を流すと、N極とS極が生まれて磁石になる

実は、この電磁石の強さは導線に流す電流が大きいほど大きくなります。つまり、先ほど説明したような「超伝導によって生じる非常に大きな電流」を導線に流すことで、強力な磁石を実現することができるのです。このような「超伝導を用いた強力な磁石」のことを超伝導磁石といい、この仕組みがリニアモーターカーMRI検査などの技術に利用されています。

超伝導磁石の役割

では、「超伝導磁石」は最初に挙げたMRI検査やリニアモーターカーにどのように応用されているのでしょうか?

MRI検査では、巨大な磁場を身体にかけて、身体の反応をデータ化しています。そのため、強力な磁石を装置に使用する必要があり、ここで超伝導磁石が利用されます。

非常に強い磁石を用いるので、例えばネックレスや指輪などの金属製品を身につけてMRI検査を受けると、これらの製品が磁石に反応してしまい非常に危険です。


リニアモーターカーでは、実は列車の車体は地面についておらず、浮遊しながら前進することで非常に大きい速度を実現しています。この「浮遊する力」と「前進する力」を生み出すのが超伝導磁石です。

磁石では、同じ極どうしを近づけると反発する力が、違う極どうしを近づけると引き合う力が働きます。超伝導磁石でも同じように、反発する力と引き合う力が働きます。超伝導磁石は非常に強い磁石なので、上手く磁石を設置することで「反発する力」と「引き合う力」が重い車体を動かすわけです。

超伝導って便利! だけど……

ここまでのことを聞くと、「超伝導ってとても便利!」と思った方も多いかもしれません。確かにめちゃくちゃ便利な超伝導ですが、1つ大きな欠点があります。

それは、「実生活では体感できないようなとても低い温度でしか実現できない」ということです。実際にMRI装置などでは、マイナス250℃よりも低いような極低温をキープしないといけないため、液体ヘリウムなどを用いて低温を保持しています。この液体ヘリウムは、高価であったり取り扱いが難しいなど、使用する上での負担もあります。

このように、超伝導には取り扱いや条件の難しさなどがありますが、エネルギー問題の解決などにも応用できることから、非常に魅力的な技術であり、現在もその研究が進んでいます。極低温でなくとも超伝導が実現するような物質の発見が、今の人類の夢にもなっているのです!

では、最後にクイズです!

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この記事を書いた人

松林 陸

京都大学大学院理学研究科・修士1年の松林 陸です。普段は大学のサークルでクイズをしています。 大学では物理学を専攻しています。好きなものはクイズと旅行と科学。読者の方の日々に「ちょっとした学び」が生まれるような記事を書けるように頑張ります。

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