2023年4月、QuizKnockが主催する高校生以下向けクイズ大会「KODANSHA Presents High School Quiz Battle WHAT 2023」が開催されました。
全国から1825名の精鋭が集い、3日間をかけたこの大会で見事優勝を果たしたのは、埼玉県立浦和高校2年の福田凌太郎さんです。
▲優勝した福田凌太郎さん
この記事では、激戦を勝ち抜いた福田さんへのインタビューをお届けします。「WHAT」にどのように取り組んだか、また大会中最も印象に残っていることや、クイズの魅力について教えていただきました。
▲優勝直後、こうちゃんからのインタビューでは「来年も出て2連覇したい」と力強いコメントをいただきました
昨年の悔しい気持ちをバネに
――優勝おめでとうございます。まずは、優勝したことへの感想を教えてください。
福田 ご紹介にあずかりました、福田凌太郎です。優勝できてとても嬉しいです!!
優勝賞品が欲しかったことや、昨年のリベンジに燃えていたこともあり、絶対に優勝する気持ちで参加しました。
▲表彰式の様子
――昨年の「WHAT」にも参加されていたとうかがいました。昨年参加したときの感想があれば教えてください。
福田 昨年参加した際は、まさかの1st dayの2nd stageで脱落という結果になってしまいました。
▲今年の日程。昨年も今年と同じく、1st dayでは1st stage、2nd stageと2セットの4択クイズが実施された
福田 昨年の1st dayの2nd stageは自分がとても苦手とする傾向で、解き終わったあと「どうしようもなかったな~」と絶望していました。そのあと、YouTubeで3rd dayの動画を拝見し、自分もこの舞台で早押しをしたいと強く思いました。
▲2nd dayの様子。最も手前にいるのが福田さん
――今回の大会に向けて、どんな準備をしてきましたか? 当日重要となった準備や心がけなどがあれば教えてください。
福田 2nd dayに向けては、新たにクイズの問題集を10冊ほど購入し、部活で全部押しました。本番で数問的中したので、良い対策でしたね。
3rd dayは早押しだったので、オンラインで早押しクイズをすることで、当日を意識した対策をしました。とても強い社会人の方々と一緒に押して、知らない押しをたくさん学べました。
▲大会に向けて問題集をやりこんだという福田さん
本番では友達の存在を大きく感じた
――WHATのオフライン会場での参加は初めてだと思いますが、2nd dayや3rd dayの当日はどのように過ごしましたか?
福田 2nd dayの東京会場の参加者のなかには友達も数人いたので、休憩時間は仲良く談笑していました。
▲3rd dayの休憩時間の様子
福田 3rd dayの会場に向かう電車と控え室では主に問題集を読んで過ごしていました。「WHAT」の問題チーフは森慎太郎さんだということで、彼が問題作成に携わっており、僕の1番好きな問題集である『暁王戦/翠帝戦』をずっと読んで直前対策をしていました。
実際、そこで出題されていた柄谷行人さんをFinal stageで答えていますし、かなり良い対策だったな~と思っています。当日参加者のうち7人が友達だったこともリラックスできた理由のひとつだと思います。
▲大会終了後の様子
――オンラインで参加した1st dayから、Final stageの3rd dayまでで、最も印象に残っているシーンや出来事はなんですか?
福田 そうですね。間違いなくFinal stageの1st Roundでリーチをかけた田中(律輝)くん(灘高校2年)がボタンを点けたシーンです。
館山の布良海岸で漁業に/従事する人々を描いた、明治時代の洋画家・青木繁の代表作は何?
答え:『海の幸』
僕は押された時点で「この問題の答えは『海の幸』だろうし、田中くんは絶対に答えられる問題だ」と思っていました。あのときは負けたと思って、恥ずかしながら壇上から降りてしまいました。しかし、聞こえたのは誤答のブザー。彼が誤答し5問休みとなった間に2問正解を出し、2nd Roundへの最後の切符を何とか手にすることができました。
▲1st Roundの様子
福田 あそこで田中くんが正解していたら、優勝はおろか、2nd Round進出すら果たしていません。あの1問が優勝者を決めた1問だといっても過言ではないと思うので、1番印象に残っています。
また、田中くんは僕の1番の親友で、一緒にGrand Finalで戦う約束をしていたので、それが叶わなくて複雑な気持ちになりました。また、彼の分まで絶対に勝つという気持ちにもなりました。
▲3rd day Final stageの内容
ライバルの印象的な押しは?
――大会中で特に印象深かった他のプレイヤーの押しや場面などあれば教えてください。
福田 2つ紹介します。
1つ目は1st Roundで谷垣(柊輔)くん(東大寺学園高校2年)が押していた、
長編デビュー作の『遠い山なみ/の光』は長崎とイギリスを舞台としていた、代表作に『日の名残り』『わたしを離さないで』があるノーベル賞作家は誰?答え:カズオ・イシグロ
です。まず僕はカズオ・イシグロさんのデビュー作を知らなかったので押された時点で答えが何かわかりませんでした。それだけで谷垣くんの知識の深さがうかがえて既にすごいのですが、押したポイントも早すぎますよね。作品名言い切ってないですし。
本人は別の作家だと思ってボタンを点けたらしいですが、カズオ・イシグロさんの名前が降りてきたらしいです。1回「これ」だと思って押しているときって、想定していたのと違う問題文が続いたときに軌道修正するのが難しいんですよ。とても早い押しと短時間での軌道修正を両立させることは常人には出来ないことなので本当にすごいな~と思っています。
▲本番直前の様子
福田 2つ目はGrand Finalで樋口(海馬)さん(渋谷幕張高校3年)が押していた、
熱い源泉を冷ますための/「湯もみ」が名物となっている、群馬県に位置する温泉はどこ?
答え:草津温泉
です。草津温泉の「湯もみ」は、問題文中に「名物」とある通りそれはそれは有名です。有名なフレーズや固有名詞に反応してボタンを押すというのは多くのクイズプレイヤーにできることだと僕は思っています。
ですが、その固有名詞を導く文言だけを聞いてボタンを押すというのは、優れた情報処理能力や、同じ問題を何度も押したことに裏打ちされる練度が必要です。要は誰にでもできることではありません。樋口さんが押した時点で答えはわかりましたが、良い押しすぎて、内心「はえ~」となっていました。
他にも、村瀬(勇信)くん(東大寺学園高校2年)の『スペースインベーダー』や永井(雅弥)さん(灘高校3年)の「オートフィル」あたりがすごいな~と思いました。レベルが高いですね。
▲2nd Round開始直前の様子
「楽しむこと」と「負けない気持ち」を大切に
――福田さんがクイズを始めたきっかけはなんですか?
福田 小6のときにクイズ番組に出て、クイズに興味を持つようになりました。そのあとにQuizKnockさんの動画を見るようになり、伊沢(拓司)さんのことが好きになって、彼の出版した本を読んだら競技クイズについて載っていて、そこでクイズの世界を知ってから本格的に始めた記憶があります。QuizKnockさんの影響力は本当にすごいですね。
この記事を読むほどQuizKnockさんをチェックしているけどクイズをまだしたことがない人は、もしかしたら僕以上に強いクイズプレイヤーになれるかもしれません! もし興味があればクイズをしてみることをお勧めします!!
▲Grand finalの様子
――クイズをするうえで大切にしていることや意識していることはなんですか?
福田 楽しむことです。クイズはとても楽しいので、楽しんでボタンを押しています。楽しんでいるときは調子が上がってきて、プレイングも上手になることが多いですね。
あと、誰が相手でも勝つつもりでクイズをしています。僕はよく自分よりも圧倒的に強いクイズプレイヤーとクイズをしているのですが、「絶対に負けないぞ」という気持ちでボタンを押しています。気持ちで負けないというのは大切なことだと思っています。
▲1st Roundの様子。最後の1枠をかけた緊張の場面
――最後に、これからの目標を教えてください。
福田 僕は今年、学生を対象にした「基本問題実力No.1」を決めるabcというクイズ大会で、筆記の点数が2点足りず、惜しくも1R通過を逃してしまいました。このことが今でも悔しいので、来年以降に参加する全てのabcで、予選を通過して活躍することが目標です。
欲を言えば、abc優勝を果たしたいと思っているので、これからもクイズを続けていきたいです。
――ありがとうございました!
▲大会終了後の集合写真
白熱した大会を動画でもどうぞ!
大会の模様については、QuizKnockのYouTubeチャンネルでダイジェスト動画を公開しています。ぜひ、驚異の知識量と判断力がぶつかり合う、白熱の戦いをご覧ください。
▼「WHAT2023」で実際に出題されたクイズに挑戦してみよう!
▼「WHAT2023」現地レポートはこちら
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