こんにちは、鞠乃です。
私は大学生活のなかで、多くの学生はあまりしないであろう経験をしました。それは「学業を1年間休み、北海道で長期インターンをする」というもの。

私の大学生活は、振り返ると自分のモットーである「やりたいことは全部やる」を貫いた5年間でした。学生のみなさんには「こんな道もあるんだな」というサンプル、社会人のみなさんには「今どき少ない猪突猛進型の若者」のエピソードとして受け取っていただければ嬉しいです。
「ポジティブな休学」という選択肢
「『会社』という肩書きを使って、何か面白いことをやろう」
その会社は、北海道が大好きな20代のメンバーが集まる、「地域にまだない新たなことにどんどん挑戦していこう」というエネルギーに溢れた場所でした。友人の紹介で出会った社長——私より2つ年上で、当時はまだ大学生だった人に誘われ、新しいもの好きな私はあっという間に興味津々に。
北海道には縁もゆかりもなければ特別な思い入れもなかったはずなのに、気づけばリモートでイベントの企画やグッズ販売に携わり始め、心の半分はいつも北海道にいるような気分でした。

しかし、しばらくしてぶつかったのが「学業との両立」という壁。学業も手を抜きたくないし、まちおこしの仕事も本気でやりたい……。
悩んでいた大学2年の年末に浮かんできたのが、挑戦のための「休学」という選択肢です。
母を説得
しかし、「休学」というのは一人で簡単に決められる選択ではありません。まずは、学費を出資してくれている母に相談しました。
予想通り、母はかなり戸惑った様子でした。私の「一度ハマったら止まらない」性格を知っているからか、「休学した勢いで大学を辞めてしまわないか」と心配されたのです。
しかし私も譲れません。あくまで「ポジティブな休学」であることを伝え続け、最後は「半年で一旦復学する」「大学は必ず卒業する」という約束で休学を認めてもらえました。大学の担任の先生も「そこまで言うのなら」と背中を押してくれました。

休学、そして北海道生活
さて、待ちに待った休学期間です。それまではリモートで顔も知らない方々とやり取りしながらの業務でしたが、ここからは北海道のまちに長期滞在し、現地の方々と直接会ってイベントや商品のアイデアを練っていきます。
初めて担当者としてイベントに参加した日には、現地の方に「鞠乃さんって実在していたんですね!」と言われてしまいました。自分が考えたグッズの実物を見たのも、北海道に行ってからが初めてです。

思えば休学前の私は、人から聞いた「地域の魅力」だけでグッズやイベントを考えるには力不足でした。
仕事の合間に各地を回り、現地の魅力を肌で感じられるようになったことで、住民の方々が誇りにしていること・観光で地域を訪れた人に伝えたいことを、グッズやイベントの企画に反映できるようになった実感があります。

どれもこれも、休学してまとまった時間を確保できたからこそ。学生なりに、表面的な理解で終わらない仕事の経験を積むことができたのは貴重でした。
半年で復学、1年通ってまた休学
母との約束通り、半年間北海道で過ごしたあとは一度大学に復学し、1年間普通の大学生に戻りました(リモートでのお手伝いは続けていました)。
その後はちょうど1年遅れで卒業する方が何かと都合が良いこともあり、もう半年間休学することに。北海道へ舞い戻ってまちおこしに取り組みつつ、今度は並行して就職活動も行いました。

「休学」が就職活動の武器に
休学というと「就職活動で不利になりそう……」と思われる方も多いかもしれません。あくまで私の場合ですが、「何のために休学して、その間に何を学んだのか」をしっかり話せれば、むしろ強みになる感触もありました。
たとえば、「人を説得する力」。休学させてもらうための母や先生との交渉はもちろん、まちおこしの活動でもチーム全体に働きかけ、プロジェクトを進める力が身につきました。
また「多様な人々とのコミュニケーションを取る力」も、休学期間に成長できたポイントです。自治体・企業の方々と信頼関係を築いていく仕事は「社会人」を先取りさせてもらえるもので、就職活動のライバルにも負けない自信を与えてくれました。
最後に
北海道生活と就職活動を終えた「大学5年目」は卒業研究に取り組み、3月には母との約束だった卒業にもこぎつけました。

大学生になってからも、ほんの1年後のような未来について「本当にこのままで良いのか」と考えることは何度もありました。しかし、そこで思い切った選択をしたとしても、今の自分にはそれを正解にしていく力があることを知ることができました。
この記事が、今、そして今後人生の岐路に立ち、大きな決断をしようとする人を勇気づけられていたらとても嬉しく思います。

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サムネイル画像出典:Wikimedia Commons Kizuna123 CC-BY-SA-4.0