こんにちは、QuizKnock編集部です。
2021年4月25日、東京都をはじめとした4都府県に対して、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)関連では3度目の緊急事態宣言が発出。5月12日からは対象に愛知県と福岡県が、そして16日からは北海道、岡山県、広島県が追加されました。
コロナ禍では、大学生も授業や研究、就活などで大きな変化が強いられており、アルバイトの収入減など生活基盤にも影響を受けています。今回の「東大生のホンネ」は前回に引き続き、こうした難局で東大生がどのような思いを持って過ごしているのかを紹介します。
前回の記事はこちら。
アンケート実施方法
- 実施期間:2021年1月21日〜27日
- 調査対象:現役東大生(※実施期間当時)134人
- 有効回答件数:96件
※コメントに掲載している所属は2021年1月当時のものです
「チャンスにするしかない」
「制限」や「できないこと」に目が向いてしまうことが多いコロナ禍ですが、およそ半数の東大生がこの状況をチャンスと捉えているようです。
「チャンスだと思う」と答えた理由は以下のとおり。
移動時間や人付き合いの時間が減り、創作や勉強に活用できる時間が増えたから。
チャンスにするしかない、というのが正直な意見です。精神的に辛いと思ったことは自分の新たな一面が知れたということであり、時代に身を任せがちになっていた生活に、喝が入ったことになったと思っております。
世界が一気に大きく変化できることを実際に経験することができたから。
世界が変容する真っ只中を経験できること自体に、価値を見出している意見があったことに驚きました。また、時間をより有意義に使えるようになったという意見も多数ありました。
また、もう半数の「ピンチ」だと考えている東大生の考えはこちら。
主な理由は留学ができない状況になってしまったからです。東京大学の留学環境は非常に良く提携大学も多く、高校生の時から是非とも留学しようと考えていたので残念です。
本来得られるはずだった人との関わりが減ってしまっているから。
就活が思った以上に大変だからです。業績悪化で枠が少なくなっています。
主な理由としては「海外に行けなくなったことによる機会損失」、「人との交流の制限」、「就活への影響」の3つに分けられそうです。なかには「心理的につらい」という切実なコメントもありました。
「バイト終わりのご飯がない……」リアルな悩み
「交友関係の制限」など、コロナ禍を「ピンチ」と捉えている人の意見と重複するものもありましたが、外食や収入など生活への実害も浮き彫りになりました。
バイトが終わった後にご飯を食べられない。
アルバイトのシフトが大幅に減り、収入が減ったこと。
同じ質問をQuizKnockの現役東大生にしてみたところ、同様の意見がありました。
友達と気軽に遊びに行ったり、ご飯を食べに行ったりできなくなったこと。
偶発的に起こる人との関わりが減ったこと。
また、大学生の本分である学業にもコロナ禍が影を落としています。これに対応する大学の変化にも、戸惑いの声が寄せられています。
海洋系の研究を行っていますが、実際に航海に出ることができないため、サンプリングが行えず研究が進まなくなってしまったこと。
試験や授業の進行について度々変更や通知があり、逐一それらを確認して把握するのが大変だった。
図書館などの施設利用は?
資料の収集や読書、勉強場所としても活用される図書館についてはどうでしょうか。
アンケート結果からは、郵送による資料の貸し出しサービスが提供されるなど、1度目の緊急事態宣言下と比べて利用環境が整えられていることが見受けられます。
基本的には施設が利用できなくなる前に資料を大量に持ち帰り、家でも文献をある程度調べられるようにしていた。
前回は図書館への立ち入りが完全に出来ず困っていたが、大学側が郵送での対応をしてくれた。また、オンラインで読める文献に集中することに変えた。
一方で、自習などで図書館を利用する習慣があった人にとっては、悩ましい時期でもあったようです。
あまり集中できないが、渋々家で勉強している。
こうした回答からは、慣れない状況でも自ら学習しやすい環境を作っていかなければならない難しさが伝わってきます。
「休学・退学考えた」人は9%
思い描いていた大学生活とのギャップもあるなかで、休学や退学という選択を視野に入れていた東大生は9.4%でした。「休学や退学を考えた」と回答した主な理由は以下のとおり。
十分な学習機会が与えられないことに不満を抱いていたから。
優秀なクラスメイトに出会えると考え、そのような環境に身を置きたいと思い東京大学を志望した。それがコロナ禍で友達を作ることが叶わない上、対面授業ができておらず思っていたような大学生活を送れていないから。
回答からは、求めていた学習環境を享受できないもどかしさが感じられます。
一方で大半の回答を占めていたのは、休学や退学について「考えていない」でした。研究への影響度や経済的状況を踏まえつつ、この難局を「チャンス」ととらえる姿勢にもつながっています。なかには、こんな回答もありました。
この環境でいかに対応していくかも経験であると思い、休学は考えていません。
QuizKnockの現役東大生も、休学や退学は考えていなかったようです。その理由を紹介します。
オンライン授業への対応が早く、十分な学習環境が整っているから。
オンライン中心であっても、大学・学部・学科のサポートにより十分な学習機会を得られていたから。
今回のアンケートの結果からは、大学生が研究や生活など多方面でコロナ禍の影響を受けていることがわかります。こうしたなかでも、情勢をみきわめ、建設的にとらえようとする東大生の意思も伝わってきました。
置かれている状況はさまざまですが、それぞれが思い描いていた大学生活に近づけるよう、感染症が早く収束に向かうことが望まれます。
過去の東大生アンケートの結果はこちらから。