「『渋谷』って何と読む?」と訊かれれば、ほとんどの人は「しぶや」と答えるのではないでしょうか。他にも「深谷(ふかや)」「四谷(よつや)」など、「谷」を「や」と読む例はたくさんあります。
では、この「や」は「谷」の音読み・訓読みのどちらでしょうか? 「たに」が訓読みだから、やっぱり音読み?
しかし残念。調べようと思って辞書を引いても、訓読みの「たに」と音読みの「コク」しか載っていないかもしれません。実はこの「や」は常用漢字表には載っていない訓読みなのです。
東日本と西日本で違う?
実は「〇谷」を「〇や」と読むのは、東日本に特徴的なことで、西日本では「〇たに」と読むのが普通です。たとえば関ジャニ∞の「渋谷すばる」さんは「しぶたに」と読みますし、大阪には「渋谷(しぶたに)高校」という高校があります。
※渋谷さんは年内でジャニーズ事務所を退社、関ジャニ∞は2018年7月15日より6人体制で活動予定。
前に挙げた「深谷」(埼玉県)や「四谷」(東京都)も東日本の地名ですよね。
東日本特有の「谷(や)」については、湿地を意味する方言「やち」「やつ」と同じ語源ではないかとされていますが、どうもはっきりしないようです。
「がや」とも読む?
ところで、同じく東京の地名「世田谷」は「せたがや」と読みます。まさか、「谷」は「がや」とも読むの……? ややこしすぎる……!
……もちろんそんなことはなく、「世田ヶ谷」が縮まっただけのこと。同じような例に「熊谷(くまがや)」(埼玉県)などがありますね。
***
「谷」を「や」と読むのは当たり前のようで、実は当たり前じゃなかったんですね。ほかにもよく考えてみると当たり前じゃない読み方もたくさんあります。あれ? と思ったら調べてみると良いかもしれません。
余談ですが、筆者は「熊谷さん」に出会ったときに思わず緊張してしまいます。何故なら、知り合いに「くまがや」さんも「くまがい」さんも「くまがえ」さんもいるから。一体どれが正解なんだ……! 調べてみると「くまたに」さんなどもいるそうで、名字は奥深すぎますね。