サイエンスコミュニケーターである須貝駿貴が、理科にまつわる情報や実験をTikTokで紹介中! Webでの連載「須貝研究室の定例ゼミ」では、動画で紹介した内容について、ちょっとだけ詳しくなれる情報をお届けしていきます。
今回の動画では、みかんを絞った汁を用いて実験を行いました。
みかんを絞ると液体が透明になった!
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「茶色っぽい液体」が透明になったのはなぜ?
▲正体は「うがい薬」だった
実験に用いた「茶色っぽい液体」の正体は、うがい薬を薄めたものでした。液体の色が消えた理由は、うがい薬に含まれるヨウ素がビタミンCと反応して無色透明のヨウ化物イオンに変化したためです。
うがい薬にはヨウ素(I2)、ヨウ化物イオン(I-)、三ヨウ化物イオン(I3-)が含まれており、液体の中で生成・分解を繰り返しています。褐色の三ヨウ化物イオンは、紫色のヨウ素が消費されると、それを補うように分解が進みます。
みかん汁に入っているビタミンCは溶液中のヨウ素に電子を与えます。その結果、ヨウ素は還元(電子を受け取る反応)されて、無色透明のヨウ化物イオンに変化します。
すると、消費されたヨウ素を補うために褐色の三ヨウ化物イオンが分解されます。ここで生成されたヨウ素もビタミンCによって還元され、無色透明のヨウ化物イオンに変化します。こうした反応が繰り返されて、溶液の色が褐色から透明に変化したのです。
すでに知っていると思っていることでも、調べるとより詳しく、正確に原理を理解できてうれしいですね。
ビタミンCはこんなところにも
ビタミンCにはアスコルビン酸という別名があり、他の物質を還元し自分自身は酸化されやすいという「還元剤」としての性質を持っています。この性質を利用して、食品が劣化して風味や色が変わることを防ぐ酸化防止剤として使われています。
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執筆協力:ハル
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