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河村です。どうも。

勉強用に理学書を買ったところ、レジでカツアゲみたいな金額を取られました。

理学書は需要が少ないんで単価が高いんです。そういうわけなんで、みなさんもっと理学書を買ってください、よろしくお願いします。


今日は「力士」について考えていました。

というのも、こんな漫画を読んだからです。

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川田 著(2014-)『火ノ丸相撲』集英社

ザックリ言うと、大相撲を目指す小柄すぎる少年・潮火ノ丸が、その第一段階として高校相撲の頂点を狙う、というストーリーです。

(個人的にすごく推しています。こちらから立ち読みできますので是非)

この漫画を読んで思いました。僕は高校時代なにをしていたんだっけ?

全部思い起こすと楽しいこと虚しいこと悲しいこと虚しいこと虚しいこと色々ありすぎて語りきれないので、相撲に関する思い出に絞って掘り起こすことにします。


僕の原初の1ページ。

ある日曜日、僕は遅起きしてすぐ、午後の1時から相撲中継を見始めました。

身を乗り出して、その相撲中継を見ていました。取り組みの一番一番を、目に焼き付けようとさえしていました。

……相撲中継というと午後4時くらいから始まるイメージですよね。でもそれは地上波の話。

BS放送ではよく、午後1時位から下位リーグの相撲中継をやっています。それを見ていました。

地上波で流れるのはほぼ、ピラミッドの頂点・幕内の取り組みです(ちょうど午後4時くらいに始まります)。あなたの知っている力士のほとんど全員が幕内力士でしょう。

ところが彼らはピラミッドの頂点を占める者たち。彼らの下にはものすごい数の相撲取りがいます。

そんな幕内と、それからその1個下の十両に属する力士が関取です。大銀杏(力士特有のまげ)を結えます。

800px-aminishiki_toyonoshima 大銀杏

Aminishiki toyonoshima / Via .wikipedia.org

では、関取ではない、幕下以下の力士をまとめて言うと?

答えは「力士養成員」。なんだそれはという名前ですが、これは「十両になって一人前」という相撲界の考え方によるものです。

力士養成員を呼ぶときには、「○○関」と言ってはいけません。「関取」ではないからです。普通に「○○さん」と呼びます。

 

……そんな、言ってしまえばまだ一人前でない力士たちの取り組みの、果たして僕は何に見入っていたのだろうと、当時を思い返し考えました。

BSでの彼らの相撲は、トップリーグ・幕内の相撲に比べれば正直、荒く、弱く、あっけないものが多いです。下位リーグ特有のテンポの良さをもってしても、総合的な面白さで地上波放送に敵うべくもありません。

そんな相撲のどこに僕は惹かれたのか……。


とりあえず色々な相撲部屋のホームページを見ながら考えました。

すると、興味深い情報を見つけることが出来ました。

まず荒汐部屋の、引退後まで面倒を見るというポリシーのページ。
そして峰崎部屋の、引退力士インタビューのページ。

どちらも、相撲部屋の門を叩き、そして引退した力士をテーマにしています。

そうだ。関取になれなかった力士はどこにいくんだろう

親方などとして相撲界に残れるのは、実績を挙げた、いわばトップ層だけ。

力士養成員から抜け出せず、引退後に相撲と別の人生を歩み始める力士は、大勢います。大勢どころか、きっと大多数がそうです。

 

そう考えた時、なぜ僕があれほどまでにBSの中継に執心していたかに、ふと気づきました。

僕は、土俵に去来する、力士たちの決意や人生を見ていたのです。

 

幕内・十両の取り組みは、いわば「成功した力士同士による、頂点をかけた争い」。熱気、才能、努力、心技体全てがハイレベルで揃った、まさに見逃せない相撲です。

一方の幕下以下の取り組みは、いってみれば「力士として成功するための戦い」。

関取と違い、ここに出場する力士の多くは、一生を相撲に捧げることすら叶わないのでしょう。

しかし、それでも彼らは力士になった。自分が関取になれない可能性を重々知りつつも、力士という人生を選んだ。僕は、彼ら力士養成員の決意を見ていたのです。

関取となり安定をつかむにはまだ至らない状態の、未だむき出し状態の決意に、僕はどうしようもなく憧れました。

そして、そんな彼らの人生が交差していく様を追ったのです。成功する力士、廃業する力士、色々いるでしょう。そんな彼らが土俵の上で一期一会の勝負を繰り広げる、その群像劇に感情を揺さぶられたのです。

そしてついでに言えば、彼らが入れ替わり立ち替わりテンポよく土俵に登っては降りる、あの特有のさっぱりした無機質感も好きだったのだと、この記事を書きながらようやく気づきました。


今日、11月13日は九州場所の初日。今場所の新弟子検査は8人が受験したそうです。

彼らのように、僕の憧れる決意をする人が絶えないことを祈るばかりです。彼らに、あるいは相撲界に僕に出来ることと言えば、新弟子検査の要綱の周知に少しでも貢献すること、でしょうか。

……新たなる門出を祝しまして。

新弟子検査 検査項目(抄)

・23歳未満であること(以下ではない!)。ただし、相撲や格闘技の経験者は25歳未満までセーフの場合があります。

・身長167cm、体重67kg以上が必要。ただし、ズルOK。身長では頭にシリコンを入れる話が有名ですが、最近では背伸びすら見逃してくれるらしく、実際に平成25年初場所入門の爆羅騎(ばらき)は新弟子検査で7cmもの鯖読みに成功しています。

・申込先は各相撲部屋。40以上の部屋がありますので、入門なさる場合は要比較検討。

他にも内臓検診などありますが、基本的にこれだけ。この条件だけでプロスポーツ選手になれるのは相撲だけです。


……というわけで、高校時代の僕は楽しく相撲を見ていたつもりだったのですが、どうやら人生について考えていたようです。あるいは後出し的な考えなのかもしれませんがね。

あしたはげつようび。あした、僕はどんな決意のもと生きるでしょうか。


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この記事を書いた人

河村・拓哉

河村です。どうも。日頃は主にYouTubeで活動していますが、同じく「楽しいから始まる学び」に寄り添って記事も書いていきます。東大クイズ研OB。

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