株式会社QuizKnock立ち上げのきっかけ
――ここまで株式会社batonとサービスとしての「QuizKnock」の話をしてきましたが、株式会社QuizKnockとの関係を整理しておきたいです。
衣川 一言で「QuizKnock」といっても、動画出演メンバーのみんなのことを指して言っている人もいれば、YouTubeチャンネルやWebメディア、会社名でもあるからちょっとややこしくなっちゃってますよね。
伊沢 たしかに。成長してきた結果でもあるんですけどね。
衣川 整理をすると、サービスやグループとしての「QuizKnock」はbatonと株式会社QuizKnockが一緒に運営しています。これまでのようにメディア運営は㈱batonが担い、㈱QuizKnockはテレビ出演などのマスメディアを通じての認知拡大を担う、という役割分担をしているというとわかりやすいでしょうか。
伊沢 だから、僕を含め動画出演メンバーのみんなもbatonの社員なんですよね。
衣川 そう、今年新卒入社の鶴崎が89人目の社員になるという。
伊沢 僕が入社したときは社員が6人しかいなかったと思うと感慨深いです。でも、「みんなbatonの社員なの?」ってびっくりした人もいるかもしれないですよね。
衣川 普通は全員が株式会社QuizKnockに就職したように見えるよね。動画出演メンバーがQuizKnockの外でも活躍しやすくするために、我々がそう見せてきたようなところもあるし、完全にこっちのせいだから申し訳ないです。だからこそ、このタイミングで、みんなの社内での役割をちゃんと説明したかった。
伊沢 ㈱QuizKnockには動画出演メンバーもタレントとして所属していて、ナベプロさんと連携しながら㈱QuizKnockは彼らのタレント活動をサポートしています。「QuizKnock」の運営じゃなく、マスメディアを通じてQuizKnockをたくさんの人に知ってもらうことが自分の仕事です。
「こういう風にメディアに出してほしい」って要望したり、「こういうのはやめて」って止めたり。QuizKnockというブランドの観点から、動画出演メンバーの対外活動をコントロールする役割ですね。
衣川 QuizKnockがビジネス的に成熟してきたなかで、そのなかの広告塔を担う存在が必要だったんだけど、自分はマスメディア側の存在じゃないから伊沢に任せることにしたんだよね。あとは、会社を立ち上げて伊沢に覚悟をもってやってもらいたいという気持ちがあったかな。
伊沢 会社を立ち上げたことで、社会的責任をしっかりと負ったなと思います。おかげでQuizKnockを永続的に続けていく覚悟にもつながりました。起業した2019年はメディアでの露出も増えて、人からの需要に答えるにはどうすればいいのか考え続けて、ある種の責任感が芽生えた時期なのかと思います。
衣川 伊沢にももちろんbaton内での役割があって、それはQuizKnockの知名度向上だったり、「教育のナレッジリーダー」としての活動を担ってもらっています。
伊沢 「ナレッジリーダー」というとちょっとかっこつけた言い方ですけどね。たとえば2019年から「QK GO」という取り組みをしていて、全国の中高を無償で回って講演会やワークショップを開催しています。地方の生徒さんたちと触れ合える貴重な機会だし、僕自身も学ぶことが本当に多いんですよね。
動画出演メンバーはbatonで何をしているの?
――batonのなかで、ほかの動画に出演するメンバーがどんなことをしているかもわかりづらいかもしれません。
衣川 少し前にYahoo!さんのインタビュー記事でふくらと山本が話していたように、動画出演メンバーもタレントとしてだけではなく、batonのなかで重要な仕事もしているんだよね。
ふくらは動画のプロデューサーとして活躍してくれているし、山本は企業さんとの案件や謎解き、須貝はTwitterのプロフィールに「経営戦略部」って所属を書いてるように、会社のこれからを一緒に考えてくれている。そんなふうに、それぞれが「QuizKnock」やbatonの成長のために動いてくれてます。
――本当にそれぞれ、会社を動かす大事な役割を担っていますよね。
衣川 みんな学生のころから知っているから、すごく成長を感じます。200万人を達成したとき、ふくらの最後のコメントを見て、動画を見ている人たちのことも、一緒に働いている人たちのことも考えてくれていることが伝わって、すごく心強く感じました。
㈱QuizKnockと㈱batonのこれから
――最後に、2つの会社のこれからについてそれぞれ展望を聞きたいです。
衣川 「baton」という社名は、自分たちが知りたかったことを、次の世代につなげて、教育を変えていきたいという思いが由来になっています。QuizKnockがその筆頭となって、伊沢をはじめとするメンバーや、一緒にQuizKnockを作ってくれている学生アルバイトの視点から、これからも提供していきたいと思っています。
そして、QuizKnockを更に成長させながら、「学びを変える」ための別のサービスも生み出していきたいですね。
伊沢 これからは、「動画の登録者数やWebのアクセス数を増やす」だけじゃないところが大きくなっていく形も考えられるかなと思っています。
高校生以下を対象としたクイズ大会「WHAT」を自分たちで始めたのも、数字だけじゃない、教育やクイズなどで作り上げたい理想像があるからこそです。㈱QuizKnockのCEOとしても、batonの一員としてもチャレンジを続けていきます。
伊沢 個人的なところでいうと、2019年くらいからは本当に目の前の仕事をひたすらやってきたというのもあって、自分のクリエイティブに時間を割けなかったんですよね。もう一度しっかり勉強したくて、最近またWebで連載を始めたんです。あとは4月(2023年)に企画した、中高生向けに生成系AIとの向き合い方を伝える授業「AIと生きる未来」が5月にはもう実施できたりとか。
各所で余裕が生まれたことで、チャレンジをしようという雰囲気が高まってきてるんで、「新しいQuizKnock」が始まるイメージがすごくあります。これからが楽しみですね。
――これからQuizKnockから発信されていくコンテンツを楽しみにしていただきたいですね。
伊沢 改めてなんですが、会社を起業した身として、「衣川さんはずっとこういうことをやってきたんだな」というのが身を持ってわかることが多いし、すごいなと感じてます。このメンバーを背負ってきたわけだから。
衣川 それはうれしいね。ちなみに僕はQuizKnockの立ち上げ当時、忙しい伊沢に良いソファを譲って床で寝てたからね。伊沢も床で寝ればいいんだよということを伝えたい。
伊沢 そこか〜!(笑)
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