ものを知ったり、新たに学んだりすることを、デザインの力で楽しいものに変えてしまう作品を発表し続けている、デザイナーのみっけさん。
WebメディアQuizKnockでは「みっけのクイズパレット」と題し、デザインの裏側にある「ものの伝え方」「デザインの秘訣」などに迫る連載をお届けしています。
▲前回の記事はこちら!
今回は、創作そのもののスタート地点「ネタ探し」のお話。何か作品を作りたいと思っても、ネタがなければ始まりません。たくさんの作品をハイペースで発表し続けているみっけさんは、一体どのようにしてネタを探しているのでしょうか……?
文:みっけ
こんにちは、みっけです。
連載も第7回を迎えました。もしこの連載を読んで「デザインを作ってみたい!」と思っていただけていれば嬉しいです。
しかし、「じゃあ何を作るか」となるとなかなか思いつかないかもしれません。すでに作りたいものがあればいいのですが、イラストや小説のように「かきたいものができたからかく!」というわかりやすいきっかけは(個人的には)ほとんどありません。
そんなスタンスの私ですが、この数年間週に2枚ほどは必ず作品をSNSにアップし続けています。
なぜコンスタントに作品を作り続けられるのか? 今回は、私が「デザインを作る前にやっていること」、簡単に言えば「ネタ探し」の方法を2つお教えしたいと思います!
1. すべてに関心を持つ
自己暗示って大事です。
「やればできる!」とか「絶対に勝つ!」とか、強い気持ちが勇気や底力を引き出してくれることはあると思います。
そんな感じで、「日常の全てが面白いんだ!」と思い込むようにしています。そうすることで、普段気にならなかったことに興味が湧いてきて、創作意欲が引き出される気がしています。
たとえば、学校や会社へ行く途中。毎日同じ風景を見続けていると全てが無になるというか、目に見えるものはたくさんあるはずなのに「何もない」ように感じてしまいませんか?
そのひとつひとつに関心を持ってみれば、何でもない景色が宝の山に見えてきます。
こんな感じで、目に見えるものひとつひとつに関心を寄せると、今まで興味のなかったものに興味が持てたり、疑問を感じたり、新しいアイデアのきっかけが生まれたりします。
たとえばこれは、エレベーターに乗ったとき、閉まる直前に乗り込んできた人のために慌てて押したボタンが「閉」でとても申し訳なかった思い出があり、慌てがちな自分でも間違えないボタンってできないかな? と思い作ったデザインです。
当たり前に思っていたようなもののデザインを自分で考えてみると、「やっぱり元のデザインが一番だな」といかに洗練されたデザインであったかを知ることができたりしますし、「自分のデザイン、特許取れるんじゃない!?」と大発明までできちゃうかもしれません!
そしてこれは、「カプセルトイ」を「カプセル
ただ、「すべてに関心を持つ」モードを続けているとめちゃくちゃ疲れるので、時間や心に余裕のあるときにやってみるといいですよ!
2. 買い物は2周
買い物というと大体「目的のものを買うため」か「欲しいものがないか探す」ためにお店を回ると思います。
それだけだともったいない!
先ほどは「普段の景色からアイデアを生み出す」方法でしたが、今回は「スルーしていた商品からアイデアを生み出す」方法です。
欲しい商品や好みの商品って、無意識でも目に入るものです。でも欲しくない商品や好みじゃない商品ってしっかり見ますか?
1周目は買い物のために、2周目はアイデアのために、お店を回ってみてください。1周目には見えていなかった商品が見えてくると思います。
こんな感じで、商品のいいところに気付けたり、面白い発見があったり、自分の好みの分析ができたりします。ただ、2周目に商品の新たな魅力に気付いてしまい、買うものが増えちゃうかも……? それもまたいい出会いかもしれませんね!
このデザインは、先ほど紹介した方法から生まれたものです。雑貨屋さんでルームフレグランスを見たとき「細い棒が複数刺さったビジュアルはルームフレグランスならではの形状だな。他に何か近いものがあるかな。」と思い、ネタとしてストックしていました。
そこから「弦楽器も細い線が複数あるから、組み合わせられるかも」と思い、作りました。
ちなみに「商品からアイデアを生み出す方法」は、商品のデザインを真似するためではなく、新しい考え方を身に付け次のデザインを考える力を養うために行ってください。
なんとなく目に入っただけのデザインはうっすら記憶に残ってしまい、自分が元々持っていたアイデアや思いついたアイデアだと思い込み、それを使って無意識に「パクリデザイン」を作り出してしまうことがあります。
こうやってしっかり記憶に留めておくのも、「無意識パクリ」の防止につながるんじゃないかと思います。
いかがでしたでしょうか。
2つの方法に共通して言えるのは「見ていなかったものをちゃんと見てみる」ということです。
アイデアは「当たり前」からは生まれません。何にでも興味を持ち、疑問を持つことで新しい発想が生まれます。
デザインを始めてみる前に、ぜひ普段の景色を改めて見渡してみてください。
最後に1問!
筆者プロフィール
デザインが好きな会社員。
知りたいこと、楽しいことを作品にしてSNSに投稿中。
昨年(2023年)11月22日には、眺めるだけで楽しく学べる『見て楽しむ ことば図鑑』が幻冬舎より発売。