\ 連載「クイズを味わう」 /
「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。
毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!
今回取り上げるクイズはこちら。

過去に、正解が「Ado」になるこんなクイズを作ったことがありました。
この問題を作るとき、まず前半に「ファントムシータのプロデュースを行っている」という最近のAdoの活動を置くことを決めました。アイドルシーンやAdoの近況をしっかりチェックしている人ならすぐ反応できるだろうと考えての配置です。
そうなると後半には、それと対になるかたちで、過去の話題や、多くの人によく知られていることがらを組み込みたくなります。Adoの活動は多岐にわたりますが、なかでもデビュー曲『うっせぇわ』が最も知られているでしょう。後半の軸は『うっせぇわ』にして、問題文を作ります。
▲この曲がきっかけでAdoを知ったという人もたくさんいるはず
問題文を作るにあたって、「過去のAdo」をどう書くかは、とても悩みました。たとえば「代表曲に『うっせぇわ』がある」とすると、『唱』も『踊』も『阿修羅ちゃん』も代表曲といえるのに、なぜ『うっせぇわ』だけ? という不自然さが残ります。
では、事実に即して「2020年にデビュー曲『うっせぇわ』をリリースした」と書くのはどうか。西暦の情報から過去の情報であることは確実に伝えられますが、それでは少し味気ないように感じました。
せっかくなら、『うっせぇわ』が世に出た頃の社会の空気ごと伝えられないだろうか。
そう考えていたとき、「コロナ禍」という言葉が降ってきました。
「コロナ禍」。一見ギョッとするような、強い言葉です。でもこの一語を置くことで、単に「2020年」という数字を伝える代わりに、「あの時代の空気」がふわっと立ち上がってくる。前半の「最近のAdo」と対比させて、「あの頃のAdo」の姿をくっきりと呼び起こすことができたのではないかと思っています。
そしてこの「コロナ禍」という言葉をクイズの問題文に配置した瞬間、わたしはあの日々がもう歴史として語れる距離にあるのだということにも気づきました。どこへ行くにもマスクを着けたり、毎日ニュースで感染者数が報じられるのを見たりしていたあの生活は、ついこの間のことだったはずなのに、もう「コロナ禍に」の一言で過去の話とまとめることができてしまう。あの頃の日常は、いつの間にか歴史の一ページになりつつあるのです。もちろん、今わたしたちが当たり前に過ごしているこの日常も。
いまわたしたちが送っているこの日常は、未来から見たらどんな言葉で語られ、クイズの問題文の中ではどんな言葉で表現されるのでしょうか。このクイズを作りながら、そんなことを考えていました。
(文・倉門怜央)
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