\ 連載「クイズを味わう」 /
「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。
毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!
クイズ制作の仕事をしていると、「いいクイズって何ですか?」と尋ねられることがある。
質問の意図は人によってさまざまだ。純粋な疑問の場合もあるし、「ただ事実を羅列しているだけなのに、いいとか悪いとかあるんですか?」というニュアンスを含んでいる場合もある。
クイズにいいとか悪いとかはある(少なくともわたしはそう確信している)。でも、どういうものがいいクイズで、どういうものが悪いクイズなのかを言うのはとても難しい。
良さにもいろいろあるし、悪さにもいろいろある。嘘を含んでいたら良くないけれど、「いいクイズって……」という質問をする人が聞きたいのは、そういう答えではないような気がする。
わたしはたいてい、「作り手の目が保存されているクイズは、いいクイズだと感じますね」と答える。
ということで、今回の問題はこちら。

『水津康夫のクイズ全書』は、1992年に出版されたクイズ本だ。クイズを趣味とする人の間ではそれなりによく知られている。
水津康夫さんはかつて『史上最強のクイズ王決定戦』などでクイズ王として活躍した方で、本業は校閲者だという。
この問題の答えは「小野妹子」。飛鳥時代に最初の遣隋使として中国に渡り、「日出づる処の天子」の国書を届けた、あの小野妹子である。
いけばなの流派である池坊は、京都のお寺・六角堂の代々の住職が家元を兼ねており、その初代が小野妹子であるとされている。
答えを知らずにこの問題を見ると、何やらマニアックな知識を問われているように感じる。わからないなと思って答えを見ると、「小野妹子」とあって、そういう意図だったのか! と驚く。
あるいは、答えを知っていれば、「何という名で知られている」というあたりの言葉遣いがうまく作用して、「実は小野妹子なんですよね」と、満足して答えられるようになっている。そういうふうにこの事実に出会った作り手のまなざしが、この問題には保存されているように感じるのだ。
わたしが「目が保存されている」というのは、このような意味においてだ。30年以上経っても、たしかに意図の伝わる目の確かさ。これが「いいクイズ」のひとつの形ではないだろうか。
(文・井口凜)
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