\ 連載「クイズを味わう」 /
「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。
毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!
今回取り上げるクイズはこちら。

この問題は、わたしが大学4年生のときに出場した「abc」(日本最大級の学生クイズ大会)で出題されたものです。
「フレスコ」が答えになる問題は学生クイズの世界では頻出で、私も何十回と見てきたはずでした。にもかかわらず、この問題文を見た瞬間、わたしは目が覚めるような思いがしました。
それまでよくあったのは、
イタリア語で「新鮮な」という意味がある、壁に塗った漆喰が乾く前に上から絵を描く技法を指す言葉は何でしょう?
といった問題。「〇〇語で『〇〇』という意味がある〜、」という問題は「語源問題」などと呼ばれ、クイズをしているとよく出会う、一種のテンプレートです。
ところが、何十回も目にしてきたはずの「『新鮮な』という意味がある」という説明が、英語の「fresh」にも通じることに、わたしは長らく気づけていませんでした。「新鮮な=フレスコ(fresco)」「fresh=新鮮な」は当たり前のように知っていたのに、「フレスコ」と「fresh」を結びつけて考えたことは一度もなかったのです。この問題文は、その結びつきをたった一言で示してくれました。
この問題は、従来の問題に何か斬新な情報を付け加えているわけではありません。それでも既知の事実の見せ方を変えただけで、これほどの驚きを生み出せるのだということに、わたしは強く心を動かされました。その驚きは、新しさへの驚きではなく、見慣れたはずの問題がまったく違って見えるという驚きです。
新しい題材、新しい切り口を見つければ、「良いクイズ」が生まれる可能性は広がります。反面、多くのクイズプレイヤーが見慣れて「新しくなくなった」問題は価値を失ったようにも見えてしまう、ともいえます。
そんな中で出会った「フレスコ」の一問は、おなじみの問題から題材を大きく変えずとも「新鮮に」見せられる、見せ方次第でもう一度命を吹き込める、というもうひとつのやり方を教えてくれました。
見慣れたテーマなのに「おもしろい」「新しい」と感じるものと出会ったとき、そこには隠れた工夫があるかもしれません。
(文・倉門怜央)
今回の問題が収録されている本
abc the21st/EQIDEN2023 公式問題集(BOOTHで販売中)
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