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第26回・「ちょっとした雑談」みたいなクイズ【クイズを味わう】

クイズを味わう

第26回・「ちょっとした雑談」みたいなクイズ【クイズを味わう】

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\ 連載「クイズを味わう」 /

「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。

毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!


電車で文庫本を読んでいる人を見かけると、つい何を読んでいるのか気になってページをちらっとのぞいてしまうことがある。

さすがに見知らぬ人に声をかけるようなまねはしないけれど、読んだことのある本なら「いいね〜」と思ったり、知らない本だったら「へ〜おもしろそうですね」と思ったりする。隣の人のゲーム画面もまたしかり。

悪い癖だと思いつつ、誰かと同じ経験をしている、あるいはしていないことがわかる瞬間が楽しくて、なかなかやめられない。

クイズという趣味を持つと、こうして「自分と同じ経験をした人」を見つけたいがために問題を作って、人に出したくなってしまう瞬間がある。ジャズが題材の漫画『BLUE GIANT』の劇場版を観ていたく感激し、本筋とはさほど関係ない……でも印象には残るおかしな場面を取り出して、同じように覚えている人がいたらうれしいな、と思って作ったのだったと思う。

もっとも、この問題は映画を観ていなくても、多少ジャズの歴史に通じている人なら答えられるようにヒントを散りばめてある。独りよがりなクイズは、あまり出来のいいものにならないことが多いからだ。

それでも、作ってしまうときは作ってしまう。

泊まりがけで大阪・関西万博へ行ったあと、思わず「できてしまった」クイズ、という紹介が適切かもしれない。

「QuizKnockがスペシャルサポーターをやっているし、一応行っておくかねえ」くらいの気持ちで向かった万博だったが、あくびをかみ殺しながらこのアナウンスを聞いた瞬間に「今から向かうのは非日常の空間なのだ」と芯から感じさせられた。ただの録音放送なのに、猛暑のなか数時間並んだパビリオンと同じくらい記憶に残るものがあったのだ。

こうした記憶は、自分の中で消化するだけでは終わらせたくない。今度のランチで、同僚との雑談のネタにしようか。いや、自分の拙い話術では「あの『いよいよ』が超よくってですね〜」と切り出したところで「あっ、そう」で終わってしまいそうだ……。

雑談でも済ませられる話をわざわざクイズの形にしたのは、出題者と解答者が同じ経験をしたことがあるかどうかを、ちょっと奥ゆかしい形で確かめられるから、かもしれない。こちらはしたり顔で「こないだ、超いい経験があって! ねえ!」なんて言わずに済むし、答えてくれる人も知っていれば「そうだよね」、知らなくても「へ〜」とただの1問として流せる。

クイズはある面でお笑いの「あるあるネタ」のようなもの、ただしおもしろさも毒も少し控えめで、そのぶん通じなくてもお互い傷つきすぎない……といったら、クイズのことをいいようにとらえすぎだろうか。

結果、万博へ足を運ばなかった人にはおよそ見当もつかない難問ができあがったのは、我ながらいかがなものかと思う。それでもいざ出題してみると、万博に何度も通って思い入れのある人が自信たっぷりに答えてくれた。「たぶん、2025年8月以降に限ったアナウンスだと思うんですけど?」と、問題文のつくりの甘さへの指摘まで添えて。

ばつが悪かったけれど、このときばかりはわたしと同じ経験をして、わたしよりちゃんと記憶している人がいる、ということのうれしさが勝っていたような気がする。

(文・カタヤマ)


「クイズを味わう」は毎週金曜日のお昼に更新予定です。Xのハッシュタグ「#クイズを味わう」で感想をお寄せください。次回もお楽しみに!

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