QuizKnock

アプリで記事をもっと見やすく

インストールする

カテゴリ

ログイン
PR
株式会社JERA

\ 連載「クイズを味わう」 /

「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。

毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!

今回取り上げるクイズはこちら。


『倍倍FIGHT!』 も『とくべチュ、して』も、いずれも近年のアイドルシーンを語るうえで欠かせないヒット曲です。アイドルに詳しくない人も、テレビ番組やSNSなどで、曲を耳にしたり、パフォーマンスを目にしたりしたことがあると思います。

これらの曲に「振り付け」という点で槙田紗子という1人の人物が関わっていること、しかも彼女もアイドルだった経歴を持っているということは、誰もが素直に驚かされる事実でしょう。

この事実、どう切り取る?

この事実からクイズを作ろうと考えたとき、どんな問題文になるでしょうか。たとえば次のように、答えが人の名前になる問題文が作れそうです。

かつてはアイドルグループPASSPO☆に所属していた、CANDY TUNEの『倍倍FIGHT!』や=LOVEの『とくべチュ、して』といった近年のヒット曲で振り付けを担当した人物は誰?

これでも、問題文は成立しています。しかし、この問い方で評価できるのは「槙田紗子」という名前を正確に記憶していた人だけです。「2曲の振り付けが同一人物によるものだ」と知っていても、名前が出てこなければ正解になりません。つまり、この問題は、驚きそのものではなく「正確な記憶」を評価する問題になっているのです。

その点、今回取り上げる問題が選択したのは「どのような役割でしょう?」というアプローチです。「役割」を問うことで、「驚きの事実」そのものへ目を向けた構造になっているのです。こうすれば、人の名前まではしっかり思い出せなくても、事実さえ知っていれば正解できます。

また、たとえこの事実自体を知らなくても、アイドルシーンに詳しい人であれば「元アイドル」「ヒット曲の制作」というヒントから、「振り付け」を選択肢の一つとして考え、正解に辿り着くこともできるかもしれません。そういった絶妙なバランスがこの問い方ひとつで成立しています。

「ペーパークイズ」の良さを生かす

さらに見逃せないのが、この問題が「ペーパークイズ」として出題された点です。 ペーパークイズは、解答者全員が落ち着いて全文を読み、平等に思考を巡らせられる形式です。もし早押しクイズだったら、問題文で先に登場するグループのファンが有利になったり、つい曲名を答えたくなったりするかもしれません。

この問い方とペーパークイズという形式は、「最近のヒット曲の振り付けを、同一人物が手がけている」という純粋な驚きと向き合う上で、まさに見事な噛み合わせといえるのです。

クイズの出題者は、ひとつの題材から「どこ」を「どう」切り取るかを自由に選べます。今回の出題者は「名前」ではなく「役割」を切り取り、それに対して独自の問い方を選び抜きました。たったひとつの切り取り方と問い方の工夫で、クイズはここまで印象が変わってくる。そんな作問の奥深さを実感させてくれる、見事な一問です。

(文・倉門怜央)

今回の問題が収録されている本

AQLサポーターズオープン4記録集(クイズ宅配便で販売中)


「クイズを味わう」は毎週金曜日のお昼に更新予定です。Xのハッシュタグ「#クイズを味わう」で感想をお寄せください。次回もお楽しみに!

【前回の記事はこちら】

【あわせて読みたい】

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

関連記事

この記事を書いた人

クイズを味わう

毎週金曜日のお昼に連載記事を更新中! 毎回1問、世の中のさまざまなクイズを取り上げて「いいクイズ」「おもしろいクイズ」の秘密に迫ります。

クイズを味わうの記事一覧へ