こんにちは、服部です。
日本円のお札には、様々な工夫がなされています。「そういう話ならだいたい知っているよ!」という方もいらっしゃるでしょう。
では、「お札の端にでっぱりがあること」は知っていますか?
よく見ると印刷されているこの黒い線。存在にすら気付いていなかった方も多いのでは?
理由はバリアフリー
この黒い線は、視覚などに障がいを負った方々が、お札の種類を区別できるようにつけられたものです。
お札の上で指を動かしていくと、黒線の部分だけが出っ張っているような感触があるでしょう。この出っ張りの形状がお札の額面によって異なっていて、お札がどの種類かわかるようになっています。
額面によって形状が違う
たとえば、千円札には横棒が、5千円札には正八角形が、1万円札にはL字のような線が入っています。
これらの印は、それぞれのお札の右下・左下の両方に入れられています。みなさんも、目を瞑って財布から取り出して、どのお札か当ててみてください。
それでも使いやすさには欠ける?
実際に触ってみた方は、お札を区別できたでしょうか。すぐに出来たという方はかなり凄いと思います。慣れるまではみなさん苦戦するものでしょう。このほかに、左下のつるつるしたホログラムや、紙の横の長さなどから区別する方法も使われています。
しかし、そうやって触って区別できたとしても、まだまだ不便なことはあります。レジで何枚かお札を出すときに、1枚ずつ指を這わせているのでは時間がかかるでしょう。視覚障がい者の支払いが簡単になるような工夫は、まだまだ足りていないのです。
ユーロはもっとはっきりした違いを作っている
進んでいる諸外国の例を見てみましょう。たとえば、ヨーロッパで使われている「ユーロ」のお札は、種類ごとに大きさが全然異なります。額面が大きくなるほど、お札のサイズもどんどん大きくなります。
電子マネーというバリアフリーもある
紙のお札の話ばかりしてきましたが、近年では電子マネーのバリアフリー化への貢献にも期待がかかっています。カード1枚、スマホ1台タッチするだけでどこでも支払いができるようになれば、そもそもお札を区別する必要がなくなります。
ただし、こうした便利さを視覚障がい者がスムーズに享受できるようになるにも、それはそれで「カードの種類の区別しやすさ」、「チャージや残高確認のための音声操作」、「多くの種類のカードやスマホを読み取れる端末の設置」といった条件が必要です。
バリアフリーと簡単そうに口にしますが、注意しなければならない点はたくさんあります。紙幣や硬貨でもキャッシュレスでも、支払い手段に障がい者への配慮が加えられていくかどうか、注目していきたいですね。