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はじめまして! 大塚澄佳すみかと申します。2年ほど前からQuizKnockで働いており、現在は社員としてクイズ制作や動画校閲などの仕事をしています。500問耐久クイズなどにも関わっており、今年(2023年)は問題の統括を担当しています!

▲去年は作問をしていました

大学に入学したての4月、何気ない気持ちで参加したクイズサークルの新歓イベントですっかりクイズの面白さに魅了され、そこからはずっとクイズ一色の大学生活を送っていました。クイズ大会に定期的に参加していたのはもちろんのこと、「第3回早押女王決定戦」では大会の運営側として大会長を務めたことも。

社会人になった今でも、仕事の日だろうが休みの日だろうが、寝ても覚めてもクイズのことばかりを考えているくらいクイズが大好きな私。今回は、そんな私の思い出の1問についての話をさせていただこうと思います。

「クイズ」は大好き。でも、

「早押しクイズ」が苦手だ。

「誤答するのが怖い」という気持ちが周りに比べて強いんだと思う。「これだ!!!!」と本当に確信を持てたポイントでしかボタンを押すことができない。 確信を持ってボタンを押したはずの場面でも、実際は周りよりもコンマ数秒遅れていてボタンを点けられないということも普段からかなり多くある。

しかし私は、それでも早押しクイズが大好きだった。大好きだったからこそ、憧れの舞台に立つことを諦められなかった。

大学1年生のときに見たクイズ大会「abc the17th」がずっと、ずっと忘れられなかった。

ずっと憧れていた大会「abc」

abcは大学4年生以下を対象とする日本最大級の競技クイズ大会だ。この大会を目標として日々鍛錬を積んでいる学生は少なくなく、毎年ハイレベルで白熱した早押しの勝負が繰り広げられる。

大学1年生の終わりごろ、初めてabcに参加した。壇上で行われているクイズのすさまじさ、カッコいい舞台装置、初心者でも上級者でも楽しめる工夫がなされた問題群。私にとっては、すべてがまぶしくて、衝撃的だった。

それからは「自分もこのabcという大会の舞台に立ちたい」という一心でクイズに没頭した

abcの壇上に立つには、ペーパークイズで行われる予選を通過する必要がある。その壁は高く厚く、大学3年生までは力及ばず通過を果たすことはできなかった。しかし、ラストチャンスであった大学4年生のときの「abc the20th」で、私は遂にその念願を果たした。

やっと手が届いた、その壇上で

ずっと憧れていた舞台に立てるという事実に感極まり、目が潤んだ。自分の持てる力をすべて出し切ろう、そして、できる限りこの時間を楽しもうと思った

早押しクイズが始まる。

(写真提供:abc/EQIDEN実行委員会)

序盤で1問正解することができたものの、その後は周りのスピードに置いていかれるかたちとなってしまい、気がつけば残り勝ち抜け枠はあと1つとなっていた。

しかし、まだ私にも勝ち抜けのチャンスが大いにある状況だったため、諦めずに1問1問に向き合おうと考えていた。

問読みに意識を集中させる。

問題。

「読み切り作品の『ル/

まだ核となりそうな情報がほとんど出ていない。しかし、目の前の問題に対して無我夢中だった私は、自分の感覚を信じてボタンを押し、迷うことなく1つの答えを口にしていた。

「藤本タツキ!」

正解音が鳴った。同時に客席からの大きな拍手が耳に届いた。

(写真提供:abc/EQIDEN実行委員会)

「読み切り作品」といえば、一話完結の漫画作品を指すことが多い言葉だ。

世の中には数え切れないほどの読み切り作品が存在する。しかし、私が「読み切り作品」と聞いて想起した作品は1つだけだった。それが、大会の前年に発表され大きな話題となった藤本タツキ先生の読み切り漫画『ルックバック』だ。

この『ルックバック』や藤本タツキ先生は、大会に向けての対策の過程で「今回のabcで出題される可能性が高い題材」として自分の中にストックしていたものだったのだ。

早押しが苦手なら、知識量や対策量で周りに勝てばいい。

自分にとってはラストチャンスであったこの大会に向けて積み重ねた対策が、しっかりと早押しでの正解に繋がった。

早押しクイズが苦手な自分が、この日に出題されたこの問題における「理想のスラッシュ」で正解をもぎ取れたという事実は、ただの1つの正解以上に大きな意味を持つものだったと思う。

惜しくも勝ち抜けは果たせなかったものの、ずっと夢見ていた舞台で渾身の正解を出すことができたというだけで、自分にとっては上出来すぎる学生クイズ人生の幕引きだった。

クイズに魅せられて

たとえ「早押し」が苦手であっても、クイズと真摯に向き合い続けていればちゃんと報われる瞬間が訪れるものですね。こういう嬉しい正解を1つでも多くできるよう、今後も精進していきたいものです。

クイズには、途轍とてつもなく強力で、不思議な魅力があります。それこそ私が生活のほとんどを乗っ取られてしまうくらいには。この先、私と同じようにクイズを面白がってくれる人が増えていったら、それ以上に嬉しいことはありません。

これを読んでくださった皆さん、特に今まで「早押しクイズって難しそう……」と苦手意識を抱えていた皆さんに、少しでも「クイズをやること」に対して興味を持っていただけていたら幸いです。

「思い出のクイズ」のバックナンバーはこちらから。

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QuizKnock編集部

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