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こんにちは。大学では歴史地理学を専攻しています、ライターの田又です。

早速ですが、タイトルにもなっているクイズをみなさんに出題します! 2つの選択肢から選んでみてください!

日本一が2つ? まさか同率!?
二択クイズで両方正解? なにかのミスかな?

このように思った方もいるかもしれません。

なんとこのクイズ、問題文の解釈の仕方によって2通りの正解が導き出せるんです!

まずは公園の数が日本一多い都道府県と考えて、正解は東京都

国土交通省のデータによれば、2025年3月末時点で東京都には8,907カ所の都市公園が存在しています。

しかし、このクイズにはもうひとつの正解があります。

山形県に、なんと「日本一公園」とも呼ばれる公園が存在するのです。

▲「日本一公園」と聞いて頭に浮かぶイメージ

でも、どんな公園なのか、何が「日本一」なのか、本当にそんな不思議な名前の公園が存在するのか......疑問は尽きないので、実際に現地へ行ってみることにしました!

日本一公園に行ってみよう

やってきたのは日本一公園の最寄り駅、山形県西村山郡大江町の左沢あてらざわ駅。山形市から延びる左沢線の終点で、難読駅名としても有名です。

▲大江町の位置と初見では絶対に読めない駅名標

左沢駅から日本一公園までは、徒歩でおよそ20分の距離です。途中からは登山道に変わり、それを進んでいくと......

本当にあった! 日本一公園!

▲登山道の途中に堂々と立つ看板

「日本一公園」の由来は?

先程の看板から5分ほど歩いて見える風景がこちら!

あいにくの曇天でしたが、最上川を望む良い景色!! そして、この公園から見える眺めこそが「日本一」の由来とされています。

現地にあった看板によれば、昭和初期に付近で行われた道路工事の際、工事関係者がこの場所からの眺望を日本一の景色だと叫んだことが「日本一公園」という名称の由来になったそうです。

▲日本一公園から見えるもの

日本一公園(楯山公園/左沢楯山城史跡公園)は、中世から江戸時代前期にかけて存在した山城やまじろの跡地を活用して整備された公園で、城跡が「左沢楯山城跡」として国の史跡に指定されています。

さらに、左沢楯山城跡および日本一公園は国選定重要文化的景観「最上川の流通・往来及び左沢町場の景観」に含まれています。

「文化的景観」は「地域らしさ」のあらわれ

さて、日本一公園が含まれている「文化的景観」とはどのようなものなのでしょうか?

単に「景観」という言葉は、「自然物と人工物から織りなされる眺め」という意味でよく使われ、先ほど公園の説明に登場した「風景」「景色」「眺望」といった言葉とほとんど同じ意味といえます。

▲京都の「景観条例」は有名ですね(京都市東山区で撮影)

一方で、「文化的景観」は、ある場所の「地域らしさ」を見出すための見方などと説明されます。

地形や地質、気候といった風土の中で、生活生業お祭りなどのさまざまな人の営みが影響し合うことによって、どんな場所でも特有の「地域らしさ」が形成されていきますが、そのすべてが目に見えるわけではありません。

目に見える形になっていたとしても、地域に住む人たちにとっては「当たり前」になってしまっていて、「地域らしさ」に気づきにくいということもあります。

そこで登場するのが「文化的景観」の見方なのです。せっかくなので、左沢をモデルに「地域らしさ」を見つけるトレーニングをしてみましょう!

左沢の「地域らしさ」を探る

山を下りて到着した、左沢の街並みがこちらです。写真を見てどんな「地域らしさ」に気づきますか?

▲ゴールデンウィーク中にもかかわらず観光客は私だけ

もちろん、どんな些細な気づきでも全部正解です! 比較的見つけやすいものを挙げるとこのようになります。

写真1枚切り取っただけでも、たくさんの発見があったかと思います。

この地域について解説すると、江戸時代前期に左沢楯山城に代わって築かれた小漆川城というお城の城下町で、細長い地割はその時の名残です。当時は最上川を用いた舟運が盛んであったことから、商店といった商業に関係する施設が多く建てられました。

城下町に由来する道路の中には、昭和前期の大火などを機に拡張されて現代に至るものもあります。画面右側に見える消防設備も、大火に関連して整備されたものかもしれません。

「重要文化的景観」に選定されるには

最後に、法律に関して少し解説します。

文化的景観は、文化財保護法という法律によって「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの」と規定されています。少し私の意訳が入りますが、「日本のどこにでもありそうな景観だが、ある地域にしかないもの」と言い換えられるかもしれません。

その上、重要文化的景観に選定されるためには、保存活用計画を作成し、都道府県または市町村が保存のために必要な措置を講じていると認められなくてはなりません。

今回見てきた日本一公園や左沢の街並み、最上川や左沢駅などは、すべて国選定重要文化的景観「最上川の流通・往来及び左沢町場の景観」に含まれています(もちろん紹介できていない要素もまだまだあります)。

めまぐるしく変化する現代の中で、さまざまな構成要素からなる文化的景観を保存活用していくためには、調査によって「地域らしさ」を描き出すことに加えて、そうした「地域らしさ」を広く知ってもらうことが重要になります。

文化財保護法(1950年成立)に「文化的景観」の項目が加えられたのは2004年のことで、比較的新しい制度です。この記事が、みなさんのお住まいの地域・ゆかりのある地域の「地域らしさ」に気づくきっかけになれば、私にとっても地域にとっても非常に嬉しいです。

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この記事を書いた人

田又春哉

京都府立大学4年の田又春哉(たまた・はるや)です。群馬県太田市出身。歴史地理学を学んでいます。京都府立大学クイズ研究会(桂葉会)5代目会長。好きなものは群馬県と旅行。

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