なぜ「首相」と「大統領」が生まれたの?
なぜ「首相のいる国」と「大統領のいる国」があるのか? 歴史をたどると、どちらも「王様」に関係している。
首相は、“王に代わって政治を引き受ける役割”として育ったポジションだ。「首相」というシステムが確立されたイギリスは、長らく国王が実権を握っていた国。時代とともに国王の仕事が議会へ移っていく過程で首相が登場したので、1人に権力を集中させるのではなく、ゆるやかに議会と協力しながら動く形になっている。

一方の大統領は、いわば「任期付きの王様」として発明された仕組みだ。18世紀、イギリスの専制への反発から独立したアメリカは、「王様のいない」「人民の意思で指導者が選ばれる」国をつくろうとした。それでも国をまとめるには、誰かが強いリーダーシップを持つ必要もある。そこで生まれたのが「期限付きで、選び直せる王様の代わり」すなわち大統領だ※3。
首相と大統領が両方いる国
ここまで日本(首相)とアメリカ(大統領)の例を見てきたが、世界には「首相と大統領、両方いる国」もある。その代表格がフランスだ。大統領は外交や安全保障、首相は主に国内の政務を担当し、職務を効率的に分担できるメリットがある。※4

もっとも、ここで例に挙げたフランスは大統領に首相の任命権があり、実質的には大統領に権力が集中している。必ずしも両者が対等な関係ではないという点には注意が必要だ。こうした体制は「半大統領制」と呼ばれている。
「首相と大統領」の境があいまいに?
近年では「首相が“大統領化”している」という議論もある。仕組みの上では首相のまま、実態として1人のトップに権力が集まっていく……という話で、専門用語では「presidentialization(大統領制化)」という。政治学の重要な研究テーマだ。
日本でも、2014年の内閣人事局の設置などが「大統領制化」の一例とみられている。幹部官僚の人事を、首相直轄の機関である「内閣官房」が管理することになり、「出世できるかどうかは首相官邸の意向しだい」という空気が官僚の間で広がったともいわれているのだ。これが「大統領」レベルと言えるかはともかく、首相のリーダーシップが強化されたことには違いない。
ニュースで「〇〇首相」「▲▲大統領」の情報を見かけたら、まずは肩書に注目。そして、動向が「首相らしいか」「大統領っぽいか」まで考えてみると、ニュースがいっそう面白くなるはずだ。
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※3^アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンは望めば「王」になれる立場にあったとされるが、それを断り、大統領3期目の就任も固辞して退いた。このことから「大統領は2期まで」という慣例が生まれ、のちに合衆国憲法(修正第22条)でも正式なルールになっている。
※4^ただし2人の所属政党が異なる“ねじれ”状態が起き、政権運営が苦しくなることも。これをフランス語では「コアビタシオン」(「同居」という意味)と呼んだりする。
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【画像出典(画像を一部加工しています)】
指名を受ける高市首相:Wikimedia Commons 内閣広報室 / Cabinet Public Affairs Office CC BY 4.0
閣議後の記念撮影:Wikimedia Commons 内閣官房内閣広報室 CC BY 4.0
ルコルニュ首相:Wikimedia Commons © Patrice Normand/Leextra via opale CC BY-SA 4.0










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