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こんにちは、服部です。

僕は愛知県の出身で、大学に合格してから東京に引っ越しました。最近になって、この2つの地域で住所の形式が違うんじゃないか、と気付きました。

愛知の実家周辺の住所は、「〇〇市〇〇町××××番地」と、地名の後にすぐ桁の多い番地がつきます。一方で、東京の住所は「世田谷区〇〇町〇丁目△番◇号」など、町名+桁の少ない丁・番・号で構成されていることが多いのです。

郊外に多い! 大きい番地の例

実際に、大きい数字の番地は郊外に多いようです。たとえば、長野にある軽井沢町役場の住所を調べてみると「長野県佐久郡軽井沢町大字長倉2381番地1」と、4桁の番地でした。

軽井沢町役場 / Via Google map

みなさんの実家や下宿の住所はどちらのパターンですか? 京都や北海道の住所は特殊なのでどちらでもないかもしれませんが、だいたいの人はどちらかに分類されると思います。

これらの違いは果たして何なのでしょうか。

違いは「地番」か「住居表示」か

結論から言えば、都市部にみられる「〇丁目△番◇号」という住所と、郊外にみられる丁目等のつかない「××××番地」という住所は、その性質からして別物であることが多いのです。

「××××番地」という住所は「地番」

末尾につく「番地」という言葉が表すように、桁数が多い番地が町名のすぐ後ろについている住所は、土地を区別するためのものです。明治時代に、土地の価格にもとづいて税金を徴収する「地租改正」という政策が行われたことは、日本史でも習うと思います。このときに付けられた土地の番号をそのまま引き継いで、住所として使っている例がたくさんあります。

しかし、建物が増えたり、街並みが広がってゆくにつれ、地番のままでは郵便配達や緊急通報などに支障が出始めます。というのも、地番というのは明治時代に付けられて以来、道路や河川の改修、土地の分割や合併が繰り返され、昭和の中頃にはとても複雑なものになっていたのです。

たとえば画像のように、21-2番地を売却や贈与などのために分割してできた土地には、その時点で最も新しい番号の「21-9」が付けられることがあります。逆に、土地を合併すると欠番が生じることもあり、地番は次第に飛び飛びになっていきます。

また、そもそもの話ですが、桁数が多い地番では、誰だって方向や位置感覚がつかみづらいものです。

「〇丁目△番◇号」という住所は「住居表示」

わかりにくくなった地番をどうするか。1962年には、多くの建物が並ぶ都市部に対して、「〇丁目△番◇号」といったような整理された「住居表示」を適用する法律ができました。

これは、住居1つ1つの出入り口に対して決まったルールに従い番号を割り当てるものです。地図上でも探しやすく、郵便配達などに非常に便利でした。住居表示が導入された地域では、明治時代から使われてきた「地番」は不動産登記などで使うのみとなっています。

都市では、こうした「住居表示」を導入している地域が多いために、住所に桁数の多い番地があまりみられないのです。ただし、「古くからの地名を残したい」という理由から、東京都港区や千代田区などでも、住居表示が未実施の区域があります。

まさかの5桁の土地

ちなみに、今回調べたなかで最も大きい数字は、静岡県浜松市西区篠原町にありました。その数なんと“27409”!

静岡県浜松市西区篠原町27409 / Via Google map

おわりに

多くの自治体は、どの地区に住居表示を導入しているかを一覧形式で広く知らせています。「〇〇市 住居表示」などと検索すると各地の公式ホームページが出てくるので、みなさんの自宅や実家などが当てはまるかどうか確認してみてください。

◇参考文献

  • 今尾恵介(2017)『番地の謎』光文社
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この記事を書いた人

Kosuke Hattori

東大経済学部を卒業しました。各記事が学びと発見への新たな入口になればと思います。よろしくお願いいたします。

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