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コジマの記事だと思った?はい、コジマです。

初めて人類が月に降り立ったアポロ11号が1969年の7月。この記事を書いているのが2018年2月だから、あと1年半ほどで半世紀が経つことになる。

近年の月面調査は無人探査機によるものが主流となっているが、トランプ大統領が月面基地建設へのGOサインを出したこともあり、再び有人での月面着陸が見られる日はそう遠くないかもしれない。

ところで、かつてのアポロ計画で、月面でゴルフをした宇宙飛行士がいたことをご存知だろうか。

アポロ14号に搭乗したアラン・シェパード船長その人である。動画は(ちょっと分かりにくいが)ゴルフクラブを振っている様子だ。

いろいろなスポーツが月で行われるのを妄想しつつ……今回は野球を月でやったらどうなるか考えてみよう。ムーン・リーグ、縮めてム・リーグ開幕

フィールドの環境を確認だ

まず、月面がどのような環境なのか確認しておく。

重力の大きさは地球の6分の1。ちょっとのジャンプでフワッと浮く夢の空間である。

また、大気は無いに等しいほど薄い。空気ボンベは必須だ。

野球をする上ではこの2つが大きく影響すると思われる。裏を返せば、それ以外はほとんど地球でやる野球と同じはずだ。

さて、球を投げよう

野球のプレーは投手がボールを投げるところから始まる。プロの場合、10インチ(25.4cm)の高さのマウンドから60.5フィート(18.44m)先の捕手に目がけて投げることになる。高低差があるので、投球はゆるやかに落ちながらミットに収まるわけだ。

そこで問題になるのが6分の1しかない重力だ。同じ距離から同じように投げた場合、自然落下が少ない分かなり高い位置で捕手の元に届いてしまう。四球量産。

また、空気抵抗がないため、球はそれほど減速しない。プロの投手の球の初速と終速を比較すると約92%まで減速するというから、これがないとすれば打者はかなり速く感じるだろう。

さらに、変化球はボールの回転により生じる空気の流れで軌道が曲がるのだから、月では軌道が曲がりにくいと考えられる。直球勝負が増えるかも。

ホームランも打ちたい!

打球の変化についても考えてみよう。

空気抵抗を考えない単純な状況では、打球は放物線を描いて飛んでいく。重力が6分の1だと、打球の到達高度、飛距離、打球が着地するまでの時間はそれぞれ6倍だ。

空気抵抗を全く考えない場合の打球の軌道。到達高度、滞空時間、飛距離はいずれも分母に重力加速度gがくるので、これが6分の1なら全体は6倍になる

しかも、地球上の野球の場合だと空気抵抗で球速がかなり落ちているから、実際の差はさらに大きくなる。月では空気抵抗がまったく生じないと仮定すれば、打球は水平から45度上向きに打ち上げたとき最も長く飛び(※)、打球速度(打った瞬間の打球の速さ)をプロ選手の平均から160km/hとすれば、飛距離は1210m

※空気抵抗がある場合、45度より少し低い角度で打ち上げないと飛距離が伸びない

日本のドーム球場は中堅方向の距離が約120mなので、ホームラン数を適正にするならばその10倍、面積比で100倍の大きさのフィールドでプレイする必要がある。その場合、塁間距離が274mだから走塁がちょっとした中距離走に……。9イニングもたないよ。

本塁とマウンドの間も10倍にすると、その距離は184m。先ほど挙げた球が落ちきらない問題は解消する(球が飛ぶ時間が伸びるので)が……投手からストライクゾーン見えるかな?

ム・リーグ、無・理ーグ?

とまあ、月での野球は当然地球と同じようにはいきそうにない。

しかし、打球の軌道も選手の動きも超ダイナミックになって面白そうではある。いつ実現するかな、ム・リーグ。

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この記事を書いた人

コジマ

京都大学大学院情報学研究科卒(2020年3月)※現在、新規の執筆は行っていません/Twitter→@KojimaQK

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