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こんにちは! ハルです。慶應義塾大学で有機化学を学んでいます。

皆さんは小学校で習ったリトマス紙、覚えていますか? 

小学校理科の思い出がよみがえる

水溶液が酸性だと青→赤、塩基性だと赤→青に変化する性質があるあの紙です。けれど、どうして色が変わるのでしょう。その仕組みについては習いませんでした。

※小学校で習ったアルカリ性は、ここでは塩基性と同じと考えて問題ありません。

この記事では、リトマス紙が溶液の液性によって色を変える原理を解説していきます。

目次

酸性と塩基性って何?
色の変化は色素の構造の変化
 ・そもそも「リトマス」とは
 ・環境によって色素の構造が変化する
 ・わかりやすい色にされている
おわりに

酸性と塩基性って何?

リトマス紙の色が変化する原理を解説する前に、酸性と塩基性について知識を整理します。

まず、酸性とは水溶液の中に水素イオン(H+が多く存在している状態、塩基性とは水溶液の中に水酸化物イオン(OH-が多く存在している状態を指します。

酸性ではH+が、塩基性ではOH-がより多く、中性では同程度である

色の変化は色素の構造の変化

そもそも「リトマス」とは

リトマス紙は、リトマスゴケというコケから抽出したリトマスという物質を紙に染み込ませたものです(現在は人工的に作られることが多い)。

リトマス。黒っぽい紫色をしている。
via Wikimedia Commons BXXXD CC BY-SA 3.0

リトマスは複数種類の色素の混合物であり、その中のアゾリトミンという色素がリトマス紙の色の変化をもたらします。

環境によって色素の構造が変化する

それでは、どうしてリトマス紙は色が変わるのでしょうか?

結論から言えば、「色素の構造が変化するから」というのが答えです。アゾリトミンは、酸性条件では周囲に多くある水素イオン(H+)を受け取る一方で、塩基性条件ではH+が離れて分子の構造が変化します。

水溶液にある水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)が、アゾリトミンに変化をもたらします。それぞれの水溶液中では次のような変化が起こっています。

この構造の変化により、色が変わるのです。

わかりやすい色にされている

さて、この色素・アゾリトミンは通常、暗赤色という色をしています。しかし、実験で使うリトマス紙は、赤と青の2種類です。この違いは、リトマス紙を作る過程で生まれます。

赤色のリトマス紙を作るときには酸を添加し、青色のリトマス紙を作るときには塩基を添加することで紙の色を変化させています。

おわりに

リトマス紙の色が変化する理由は、色素(アゾリトミン)の分子が酸性と塩基性で構造が変わるからでした。なおこのアゾリトミンですが、正確な構造が未だによくわかっていません(2021年7月現在)。

小学校理科で登場する内容であっても、化学の世界にはまだまだ未知があふれています。あなたのギモンも追究することで新しい発見につながるかもしれませんよ。

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この記事を書いた人

ハル

慶應義塾大学で有機化学を学んでいます、ハルです。クイズ研究会所属。「知ったことを人に話したくなる」「日常が面白くなる」記事を目標に執筆していきます。よろしくお願いします。

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