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解説
正解は、平等院(鳳凰堂)でした。
平等院は京都府宇治市に位置する寺院で、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成遺産のひとつです。源融という人物が別荘として建てたものが、のちに藤原道長の手に渡り、それを道長の息子である藤原頼通が寺に改めたものです。
ヒント1:源頼政が武士として初めて切腹
源頼政は平安時代末期に活躍した武将です。平治の乱に際して源氏の人物として唯一平清盛に味方したことで、平氏政権下において殿上人にまで上り詰めるという、源氏としては異例の出世を果たしました。
しかし、息子の仲綱が平氏の人間に愛馬を奪われるなど不遇な扱いが続き、平氏の横暴な専制に不満を募らせた結果、後白河天皇の第三皇子であった以仁王とともに、平氏を打倒する計画を立てます。
ところがこの計画は事前に漏れ、頼政は追われる身となってしまいます。平等院に逃げ込んだ頼政は、仏が極楽浄土に導いてくれることを信じながらこの地で自刃しました。これは武士として初めての切腹だといわれており、彼が自刃したといわれる場所には「扇の芝」という庭が置かれています。
▲頼政は切腹する前、仏教における浄土の方角である西に向かって扇を置いたことから、「扇の芝」と名付けられた
ヒント2:現行の一万円札の裏面に描かれている
現行の一万円札の裏面には、鳳凰堂の屋根の上に据えられている鳳凰像が描かれています。平等院の阿弥陀堂が鳳凰堂と呼ばれるのは、この鳳凰像があることが理由のひとつです。
▲現在は保存上の観点から、境内にある博物館「ミュージアム鳳翔館」に展示されており、鳳凰堂の屋根の上にいるのは2代目である
ところで、福沢諭吉の一万円札には、2種類のデザインがあることをご存じでしょうか? 現在発行されているものは「E一万円券」といい、裏面に鳳凰が描かれていますが、その前に発行されていた「D一万円券」と呼ばれるお札は、裏面にキジが描かれており、表面のデザインも異なっています。
ちなみに今年(2024年)7月に発行予定の新一万円札の裏面には、重要文化財である東京駅の丸の内駅舎が描かれます。
ヒント3:十円硬貨の表面に描かれている
現在発行されている十円硬貨の表面には、平等院鳳凰堂が描かれています。
今「十円玉の裏面じゃない?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実は、日本の硬貨は年号が書かれている方が裏面と定められているのです。
戦前の日本の貨幣には、天皇の肖像の代わりとなる「龍紋」や、皇室のシンボルである「菊花紋章」がデザインされており、これらの紋章が描かれている側を表として扱っていました。しかし第二次世界大戦後、硬貨のデザインにこうした紋章は用いられなくなり、表裏の区別はなくなってしまいました。そこで、戦前の硬貨はいずれも紋章の裏に年号が書かれていたことから、引き続き年号が書かれている側を裏面として扱うこととしたのです。
今月(2024年1月)からNHK大河ドラマ『光る君へ』の放送が始まりましたが、『源氏物語』の終盤は「宇治十帖」と呼ばれ、平等院がある宇治が舞台となっています。もしかするとドラマにも、平等院が登場するかもしれませんね!
解説を最後まで読んでくださりありがとうございました。ぜひ次回の「今日の一問・社会編」にも挑戦してください!
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