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日本精工株式会社(NSK)

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【解説】

正解は「黒曜石」でした。

▲黒曜石の原石 via Wikimedia Commons Pekachu, CC-BY-SA 4.0(画像をトリミングしています)

「黒曜石」とは、火山のマグマが急速に冷え固まってできた火山岩の一種です。火山岩は含まれる鉱物の種類から、大きく「流紋岩りゅうもんがん」「安山岩あんざんがん」「玄武岩げんぶがん」の3つに分類されますが、黒曜石は流紋岩や安山岩に近い組成をしています。

流紋岩や安山岩は白っぽい火山岩ですが、黒曜石はその名の通り主に黒色の岩石です。この色の違いは、溶岩が冷え固まるスピードの違いによるものです。黒曜石はほかの火山岩に比べて急速に冷えて硬くなるため、ほとんどの鉱物が結晶になる前にガラス化してしまい、その内部で磁鉄鉱などの黒い鉱物が結晶化した結果、全体が黒く見えるようになるのです。

火山の多い日本にも黒曜石を拾える場所が各地にあり、長野県の和田わだや、東京都・伊豆諸島の神津こうづなどが産地として有名です。

▲黒い層になった黒曜石が見られる神津島の露頭

各地で採取でき、鋭い切れ味を持つ特徴から、黒曜石は古くから石器の材料として用いられてきました。旧石器時代には動物の皮や肉を切るためのナイフなどに利用され、縄文時代になると、石鏃せきぞく(石でできた矢じり)や石錐せきすい(石でできた穴開け用のドリル)にも使われるようになります。

黒曜石の石器には、国宝に指定されているものもあります。北海道にある日本最大級の黒曜石産地・赤石あかいしのふもとに位置する白滝しらたき遺跡群から出土した石器の一部は、昨年(2023年)に旧石器時代の資料としてはじめて国宝に指定されました。

▲現代の研究者が白滝産黒曜石で作った尖頭器。質の高い白滝の黒曜石は、サハリンから新潟県にまで流通していました。

また、ゲーム・『Minecraft』(マイクラ)にも、黒曜石のブロックが登場します。ゲーム内では、ダイヤモンドのツルハシなどを使わないと採掘できないほど硬い黒曜石ですが、解説したとおり現実の黒曜石はガラス質でもろく、普通の鹿の角などをハンマーとして用いることで簡単に加工できます

僕は大学で考古学を専攻していますが、以前研究室で実施していた遺跡の発掘調査に、地元の小学校の子どもたちが体験授業で来たことがありました。その場で掘り出した黒曜石の破片をその子たちに見せてあげたところ、「マイクラに出てくるやつだ!」と大喜びされたことがとても印象に残っています。今の子たちは黒曜石をマイクラで覚えるんですね……!


最後まで読んでいただきありがとうございます。ぜひ次回の「今日の一問 理科編」にも挑戦してくださいね!

【前回の理科編はこちら】

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この記事を書いた人

東北大学大学院文学研究科・修士1年の楠です。 サークルでクイズをやったり、小説を書いたりしています。専門は考古学(主に平安時代の土師器)で、長期休み中は発掘調査であちこちに行っています。 「日常がクイズになり、クイズが日常になる」記事を書けるよう精進します。ご期待下さい!

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