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答え・解説
正解は、エルミタージュ美術館でした。
エルミタージュ美術館は、ロシア第二の都市・サンクトペテルブルクにある美術館です。ロシア帝国の女帝・エカチェリーナ2世のコレクションをもとに、18世紀後半に設立されました。1990年には「サンクト・ペテルブルク歴史地区と関連建造物群」の一部として、世界文化遺産に登録されています。
ヒント1:猫をたくさん飼っている
エルミタージュ美術館の地下ではたくさんの猫が飼われており、「貴族猫」と呼ばれるほどの優雅な暮らしを送っています。
🐱🎉今年、5月29日は「エルミタージュの猫の日」#エルミタージュの猫 は #サンクトペテルブルク のエルミタージュ美術館の地下で飼われている猫たち
— 駐日ロシア連邦大使館 (@RusEmbassyJ) May 28, 2021
エルミタージュ美術館の約300万点にのぼる美術品をねずみから守る
エルミタージュの猫の日は、この小さな番人たちのために開催されるお祝いの日です。 pic.twitter.com/yyiLT6dfGw
18世紀初頭、ロシア帝国の首都がサンクトペテルブルクに置かれ、宮廷生活は栄華を極めました。しかしこれに伴い、やがてネズミの数も増加してしまいます。ネズミの被害に悩まされた女帝・エリザベータ(エカチェリーナ2世の2代前)は、これを退治するために猫を住まわせるよう命令しました。このときの名残で、現在も美術館の地下には猫がすんでいるのです。
猫たちはエカチェリーナ2世から「美術館の守護者」と称されたといわれており、現在でもネズミ捕りの任務をこなし続けています。
ヒント2:フランス語で「隠れ家」という意味
「エルミタージュ(Hermitage)」という単語には、フランス語で「隠れ家」という意味があります。エルミタージュとは、ロシア帝国の宮殿の別館の名前であり、この別館を改造したものが現在のエルミタージュ美術館なのです。
なぜロシアにあるのにフランス語なのでしょうか? 理由としては、ロシアが大国として成長していった18世紀には、フランスのブルボン朝が最盛期を迎えていたことが挙げられます。フランス語やフランス文化が強い影響力を持ち、ヨーロッパ全体を支配していたのです。
この影響はロシアにも波及してきました。ロシアではブルボン朝の宮廷文化が輸入・模倣され、貴族やお金持ちの間ではフランス語が日常的に用いられるようになりました。こうして、離宮もフランス語で「エルミタージュ」と呼ばれたと考えられるのです。
ヒント3:レオナルド・ダ・ヴィンチの『リッタの聖母』などを所蔵
エルミタージュ美術館には、実に300万点以上もの美術品や工芸品が所蔵されています。
中でも著名な作品のひとつが、レオナルド・ダ・ヴィンチによる『リッタの聖母』です。アントニオ・リッタ伯爵という人物から手に入れたものであることからこう呼ばれます。聖母マリアが幼いイエスに授乳する様子が、シンプルな構図ながら絶妙な光と影の表現によって描かれています。
第3ヒントで挙げたレンブラントの『ダナエ』は、ギリシア神話に登場する女性・ダナエと、最高神ゼウスとの邂逅を描いた作品です。私が書いたこちらの記事を読んでくださったという方には、覚えのあるタイトルなのではないでしょうか。『夜警』などの集団肖像画のイメージが強いレンブラントですが、元はこのような物語画を描くことを志していたそうです。
もう1点、私がお薦めしたいのが、モネの『霧のウォータールー橋』です。モネは、同じ主題を異なる季節や時間帯で描き分ける「連作」という表現方法を採っていました。中でもロンドンのウォータールー橋は、実に41枚も描かれた題材であり、現在(2024年3月)大阪で開催中の展覧会「モネ 連作の情景」でも3点が展示されています。
『霧のウォータールー橋』はそんな連作のうち1枚です。「霧の都」の異名を持つロンドンの、深い霧に閉ざされたような色合いが見事な作品となっています。
なかなかロシアの美術館に足を運ぶのは難しいご時世ですが、エルミタージュ美術館のサイトでは美術館内部の様子を体感できるバーチャルツアーを体験することができます。ここで紹介しきれなかった数々の作品を観ることができるので、ぜひアクセスしてみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ次回の「今日の一問・美術編」にも挑戦してくださいね!
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