こんにちは。ライターのTakeruです。今月から大学院に進学し、経済学を学んでいます。
新しい環境で慣れない日々を過ごしていますが、今から修了後の進路についてもしっかり考えなくてはいけません。もし就職するのならどこにしようかな?
情報通信業やコンサルティング業界に興味はあるけど、証券会社や銀行に勤めるのも面白そう。いやでも官公庁も魅力的だなぁ……などと悩んでいるうちに、ここで1つの疑問が頭を支配します。
なんで「銀行」のことを「金行」とは言わないの……?
将来への悩みと比べたら些細なものですが、気になったら解決するまで調べずにはいられません。
ということで、今週の「気になることば」のテーマは「銀行」です。
「銀行」という名前にはあの有名人も関わっていた!
日本ではじめて「銀行」という言葉が使われたのは、1872年(明治5年)に制定された国立銀行条例です。
江戸時代にも、金・銀・銭貨の交換だけでなく預金・貸付・為替なども扱った、両替商と呼ばれる商人が銀行のような役割を果たしました。しかし、この条例の参照となったアメリカの法律に書かれた「Bank」にあたる言葉は存在しませんでした。
この「Bank」という言葉を日本語に翻訳するにあたり学者たちが協議を重ねたところ「お金(金銀)を扱う店」ということから、中国語で「店」を意味する「行」を用いた「金行」と「銀行」の2案が有力になりました。
なんと「金行」の提案者は、2021年大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一ともいわれています。彼はこの条例制定にも取り組んでいました。
しかし、三井財閥の中興の祖とされる三野村利左衛門が渋沢の提案に対して「交換には銀を含む」と答えたこと、そしてなにより語呂が良かったことから「銀行」と呼ばれることになったようです。
また、中国でも1860年代には既に「Bank」を「銀行」と翻訳しています。発想としては日本と同じく「お金を扱う店」ですが、「銀」を用いるのは長らく中国では銀貨が農村にまで広く流通していたためです。
江戸時代の日本でも、江戸では金貨が用いられていましたが、経済の中心地となった大坂や京都では銀貨が主に使われていたことから「銀行」となった説もあります。
お昼の連載「気になることば」では、読者のみなさんの気になる言葉も紹介していきます。気になっている言葉があったら、#QK気になることば で教えてください!
……そういえば、何かとても大事なことについて考えていた気がするけど忘れちゃったし、疑問も解消できて良い気分だからお昼寝でもしようかな。