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こんにちは、新ライターの望月(もちづき)です。パリ国立高等音楽院に在籍、フランスで生活しながら音楽を勉強しているヴァイオリン弾きです。これからどうぞよろしくお願いします。                               

さて、みなさんは「弦楽器」と聞いて何を思い浮かべますか? ヴァイオリンやギターなど、弦楽器はたくさんありますが、「コントラバス」という楽器はご存知でしょうか。

画面左がヴァイオリン、右がコントラバスです。隣のヴァイオリンと比べてとても大きいですよね。実はこの楽器、全長180cmから大きいものでは2m近くあります。コントラバスはなぜこんなに大きいのでしょうか?

コントラバスは低い音域担当

コントラバスは、「ヴァイオリン属」に属する(※)楽器です。ヴァイオリン属の楽器は全部で4種類あり、それぞれ出せる音域が異なります。音域の高いほうから順に、「ヴァイオリン」「ヴィオラ」「チェロ」「コントラバス」となっていて、ヴァイオリンの一番高い音とコントラバスの一番低い音では約6オクターブの差があります。

このようにコントラバスは弦楽器の中で一番低い音を出す楽器なのです。

※コントラバスは成り立ちの観点からヴィオール属にも分類される場合もありますが、今回はわかりやすくするためヴァイオリン属としています。

弦の長さと音の高さ

では、何が音域の違いを生み出しているのでしょうか。

弦楽器の音は、中央に張ってある弦が振動し、その振動が周りの木の部分を伝って空気を揺らすことで、私たちの耳に音として届きます。そしてこの音の高さは弦の長さや太さによって変わり、短く/細くすると高く長く/太くすると低くなります。

ヴァイオリンを例にとってみてみましょう。

ヴァイオリンを演奏するとき、片手で弦を押さえて弾きます。弦を押さえることによって、響く弦の長さが変わり、異なる高さの音が出ます。

また、写真からわかるように、張られた4本の弦の太さはまちまちです。太さが変わると、音の高さも変わります。太さの異なる4本の弦を指で押さえることで、さまざまな高さの音を出しているのです。

ヴァイオリンでもっと低い音を出すには?

ヴァイオリンで、コントラバスの音域を出すには、どのくらい弦を伸ばせばよいのでしょうか。

  • ヴァイオリンの弦の長さは約320mm
  • 音を1オクターブ下げるには、もとの長さの2倍必要
  • ヴァイオリンとコントラバスの、それぞれの一番細い弦を指で押さえずに出した音には、約3オクターブの差がある

これらの条件をもとに、計算してみましょう。

約320mm×23=約2560mm=約256cm! 皆さんの身長を優に超えるのではないでしょうか?

実際のコントラバスの弦は、長さ1m程度。太さや張力を変え、ヴァイオリンの3オクターブ下の音を出せるようになっています。とはいえ、1mの弦を張るために、あんなに大きくなってしまうわけです。

おわりに

弦の長さで音の高さは変化しますが、それだけでは同じ曲を誰が弾いても一緒、ということになってしまいます。皆さんが話すとき声のトーンに気持ちが出るのと同じように、演奏家は楽器を通して音に感情を乗せ、音で聴き手に話しかけます。

複数人で弾いているときは奏者同士も音で対話しています。言葉のない音楽も、音を通して奏者がしゃべっていると思うと少し面白く聴こえるかもしれません。

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この記事を書いた人

望月

パリ国立高等音楽院修士1年に在学中のヴァイオリン弾き。パリ在住。日本から約1万km離れたこの地から、クラシック音楽やフランスのことを少しでも身近に感じてもらえるような記事をお届けできたらと思っています。

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