この記事では、QuizKnockの動画が大好きなチャンイケが、オススメの動画をピックアップして紹介します。
QuizKnocKのYouTubeチャンネルにアップされた「1本の不思議な動画」と出会ったチャンイケが、徐々にその動画の恐ろしさに気づく、というホラー味溢れるストーリーとなっています。
どうぞお楽しみください。
※この物語はフィクションです。
「はぁー、今日はめっちゃ頑張った! よし、動画観るかー」
仕事終わりにQuizKnockの動画を観るのが日課だ。
最新の動画やお気に入りの動画をチェックしては、あれこれと思いを馳せる。
「こうちゃん平常運転だなー」
「こんなうまく問題作れるようになりたいなー」
「僕だったらここでこんな感じに振る舞うなー」
毎晩ぐるぐると考える。なんと幸せなひとときだろうか……。
「ピーンポーン」
動画もいよいよ大詰めというところで、インターホンが鳴った。もう22時だぞ。
「誰だろう? こんな時間に……」
スペースキーを押して動画を止め、しぶしぶ玄関へ向かう。
「はーい」
「こんな時間にごめんねー。実は明日エレベーター工事があって、午前中エレベーター使えないんだ」
お隣さんだった。引っ越したての僕にいろいろ教えてくれる、優しい男性だ。僕が昼間家を空けている間に工事の連絡が入ったらしく、僕に伝えてくれたのだ。
「そうなんですかー。どうもありがとうございます。いつも助かります」
僕は深々と礼を言って部屋に戻り、パソコン画面に向かった。
「……あれ?」
動画が止まっていない。スペースキーの押しが甘かったのだろうか。
しかも、動画そのものに、妙な違和感を覚えた。
「なんか、薄い……」
いつもより山本さん、伊沢さん、川上さんの姿が少し薄い。
アプリはちゃんと起動するから、パソコン自体に問題はなさそうだ。
ということは過去にアップされた動画ということになるが、こんな動画あったっけ?
「いつもより頑張ったから、疲れて目がかすんでいただけかもしれない」
目を擦っていると、いつのまにかさっきより伊沢さんが薄くなっている。机に足をドンと乗せている。純粋にマナーが悪い。
しばらく動画を見ていると、法則性がわかった。早押しクイズに正解すると、他2人が薄くなり、誤答すると自分が薄くなるのだ。
私は恐る恐る、動画の続きを観た。
「問題。もともとはエミちゃん/」
伊沢さん(と思われる)が押した。解答に詰まっている。ボタンを押してから5秒後、答えが発された。
「えいこさん」
無情に響く不正解の音。
と、その瞬間、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
伊沢さん(と思われる)が、断末魔のような叫び声と共に消えた。正解は「ジバニャン」だった。
残ったのは、山本さんと川上さん。
消えたくないからと、どんどん早押しが加速する。
「問題。遠近法/」
山本さんが答える。
「消失点!」
「問題。恐れられているものも正体が分かれば/」
川上さんが答える。
「枯れ尾花」
そんなところで正解できるのか。
問題こそゆっくりおどろおどろしく読まれているものの、冒頭しか読まれていない。しかも、ボタンを押したときに「答えは確実にこれだ」という確信を持った笑みをうっすらと浮かべている。
私は恐怖心に慄きながら、動画を観ていった。そして……
「問題。食べ物/」
押したのは山本さん(かどうか、すぐにはわからないほど薄い)。答えはすぐに発された。
「消え物!!」
正解音が鳴り響くと同時に、川上さんの姿が消えた。
まだ「食べ物」という一般名詞しか発されていないのに正解できるなんて……。
この問題が天王山であることがわかっていても、そしてこれまでの問題に「幽霊」「消える」など、ホラーに関する言葉が含まれていたという法則を導き出せたとしても、あの押しは早すぎる。畏敬の意味での怖さもあった。
その後、「今日の一問」のコーナーで、身の毛もよだつ出来事が起こった。
誰もいないのに、伊沢さんの声が聞こえる……!
志なかば(優勝を目指す途中)で消えてしまった、その無念が「今日の一問」に乗り移ったのだろうか……。
◇
「……ん、あれ?」
ふと気が付くと、ベッドの上で横になっていた。伊沢さんの「今日の一問」を聞いてから今までの記憶がない。
後日、動画に出演した3人に話を聞いたところ、3人とも、自身の姿が消えたどころか、薄くなった記憶すらないらしい。
じゃあ、あの動画はなんだったんだ……?
「存在感が薄くならないように、毎日自分をアピールしよう」
そんなことを、教えてくれたような気がした。
今回紹介した動画はこちら
私と同じ恐怖を味わいたい方は、こちらの動画をご覧ください。