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ベートーヴェンのスゴいところ4選(続き)

3.「芸術家」の意識を根づかせた

ベートーヴェンが活躍する少し前、モーツァルトらの時代には、「宮廷音楽家(宮廷作曲家)」という役職が存在しました。

▲こんな部屋で弾いてたんでしょうか(イメージ)

宮廷音楽家は、宮廷で雇われている身であるため、主に宮廷に出入りする貴族のために作品を書き貴族を満足させるような作品を完成させることを要求されていました。当時の作曲家は、このような宮廷作曲家が大半でした。

王様の喜ぶ曲が一番デス!

ところが、ベートーヴェンはどこの宮廷にも属さず、貴族の支援を受けながらフリーランスの作曲家として活動を続けたのです。

これまでの「作曲家は宮廷か教会に就職して生計を立てる」という当時の常識を打ち破ったこの活動方法は、作曲家が一人の「芸術家」であるという意識を生む大きなきっかけとなりました。

私は自由な曲を作る!

4.現代まで残る、たくさんの新しい取り組み

楽譜を読んだとき、「♩= 60 」などの表記を見たことはありませんか? これはメトロノーム記号と呼ばれる速度表示で、実はベートーヴェンはメトロノーム活用の第一人者でもあるのです。

▲メトロノーム記号 via Wikimedia Commons Cdang CC BY-SA 4.0(画像を一部加工しています)

信じられないかもしれませんが、それまでの楽譜には「普通くらい」「ゆっくり」「快活に」のような、ものすごくアバウトな指示しか書かれていませんでした。当然、演奏者によってその解釈は異なり、作曲家が意図するより速く演奏する人もいれば、遅く演奏する人もいました。それが当然であり、それで良いとされていたのです。

今日は気分がいい! ガンガン飛ばすぜ!
「快活に」と書いてしまったし、仕方あるまい……。

しかし、ベートーヴェンはメトロノーム記号ではっきりと速度を指定することによって、自分が理想とする演奏速度を演奏者に極めて正確に伝えようとしました。これは、晩年ベートーヴェンを悩ませた難聴や、元々メトロノームの開発者と親交があったことなど、さまざまなことが影響していると考えられます。

そして現在、彼はそんなメトロノームの形をしたお墓の下に眠っているのです。

▲想像以上にちゃんとメトロノームの形 via Wikimedia Commons Steve Wilson CC BY-SA 2.0

また、それまでイタリア語で書くことが普通であった速度表示に、母語(彼の場合はドイツ語)を用いたのもベートーヴェンが初めてとされることがあります。ベートーヴェン以降は、ドイツの曲はドイツ語で、フランスの曲はフランス語でさまざまな指示が書かれることが増えました。

おかげで、日本人の音楽学生である私は何種類もの言語の音楽用語を覚える羽目になり、大変苦労しています。なんとかしてください。
文句言わずにきちんと覚えてください。

ベートーヴェンのスゴい曲、実際に聴いてみよう

さて、こうして長々とベートーヴェンについて語ってきましたが、後世まで評価される理由がしっかりとありましたね。

この記事を読んでいる皆さんも、そろそろベートーヴェンの作品が聴きたくなってきたのではないでしょうか?

少しばかりですが、記事の最後にベートーヴェンの楽曲が聴けるリンクを貼っておきたいと思います。

それでは、才能と魅力に溢れたベートーヴェンの世界を、どうぞゆっくりとお楽しみください。

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この記事を書いた人

はぶき りさ

東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学別科オルガン専修を経て、同大学音楽学部器楽科オルガン専攻3年。世界で何千年も生き続けている「音楽」という文化に、少しでも興味を持ってもらえるような記事を書けたらと思います。よろしくお願いします。

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