ごみの分別は、しっかりやろう! 於島です。
とはいえ、ごみの分別って「燃えるごみ」に「燃えないごみ」、「資源ごみ」と、区別に迷ってどう捨てればよいのかわからなくなること、よくありますよね。
そんな中、こんな町を発見しました。
それが、徳島県上勝町。なんと分別方法が45もあるらしい!
更にはごみ収集車が存在せず、ゴミステーションは町内に1ヵ所しかないようです。
▲上勝町のゴミステーションが併設するゼロ・ウェイストセンター。「?」の形は我々を呼んでいるかのようだ……。(徳島県上勝町提供)
なぜそこまで分別をするのか、どのように運用しているのか、上勝町に取材しました!
「リサイクルできるか」を考える
なぜここまで細かく分別するの?
45種類とはいったいどのように分別するのでしょうか。上勝町の分別基準を見ると、紙類だけでも段ボール、雑誌雑紙、紙カップ、紙パック、硬い紙芯など9種類に分けられています。びんも透明か茶色かそれ以外か、と色によって分別するようです。これはちょっと大変かも……。
今回の取材に応じてくれたのは、上勝町でごみに関する町民からの相談や新しい施策の普及活動等を行うゼロ・ウェイスト推進員の方です。
まず、なぜ分別方法が45種類もあるのかを聞いてみました。
担当者:多くの日本人は、「可燃」「不燃」の目でごみを見ますが、それでは資源化できる物も燃やされ、資源化は進みません。上勝町ではリサイクル「できる」「できない」を判断基準として、各素材ごとに引取先が確保できたものを資源化し、燃やす前にできるだけ救い出しています。
上勝町では2003年から、豊かな自然を継承するためにごみの再資源化を進め、埋め立てを減らす「ゼロ・ウェイスト政策」を掲げて、リサイクルに力を入れています。2018年度にはリサイクル率80.7%を達成するなど、環境にやさしい自治体として注目を集めています。
このため、ごみもリサイクルを前提として分別しているんですね。
それでも気になるのが、その分別の細かさ。同じ再生紙にリサイクルされる紙類でも雑誌雑紙、紙パック、シュレッダーくずなどのように細かく分けています。なぜここまで細分化されているのでしょうか。
担当者:生まれ変わるものが違うためです。つまり、処理工程が異なるため、分ける必要があります。都市部で分別が少ないのは、分ける行程を業者の方が行っている、あるいは資源化していないためで、上勝町は高度な分別を町民の手ですることによって処理費の削減、あるいは売却益の増加ができています。
「ごみを捨てた後」という私たちのあまり意識しないところにもお金がかかっている、ということを改めて気付かされました。そんなコストも、細かく分けることで削減できるようです。
▲ゴミステーション。多種多様な分別を行うため、コンテナなどが大量に置いてある。(徳島県上勝町提供)
ごみ処理にかかるコストにもシビアに向き合っている上勝町。ちなみに、ごみ収集車が存在しないのも「コストがかかるため」です。集落が中山間地に点在するという町の性質上、ごみを集めて回るには効率が悪く、車道がない家もあるという道路事情もあるそうです。
こうした環境で暮らすには、町民と行政、また町民同士の協力が不可欠であることがわかります。
町民はどのように分別しているのか
では、実際の町民は家ではどのようにごみを分別しているのでしょうか。45の分別の数だけごみ箱を準備するのは大変そうです。
担当者:ゴミステーションに持ち込む際に分別できるので、極端に言うと、家では生ごみと焼却以外は一緒でも構いません。自分のライフスタイルに合わせて決めることが出来ます。
なるほど! ゴミステーションが1ヵ所に集まっているからこそ、その場で分別ができる! そのため、町民自身がわかる範囲で事前に分けておけばいい、ということなんですね!
▲ゴミステーションの一画。例も書いてあるので捨て方に困らない!(徳島県上勝町提供)
しかも、このゴミステーションは年末年始以外は休まないため、自分の好きなタイミングで捨てに行くことができるようです。
最初は「少し不便なのかな?」と思っていましたが、取材をするにつれ「意外と使いやすいのかも?」と感じました。
環境を守るため、分別以外の活動も
ここまでごみ分別について聞きましたが、それ以外の環境に配慮した活動についても聞いてみました。
担当者:分別が一番注目されやすいですが、大事なのはリユース・リデュース・教育です。
まだ使えるものを自由に持ち込み・持ち帰りできるくるくるショップや、焼却ごみに混ざりやすい紙類や歯ブラシなどをきちんと分別すると生活必需品と交換できるポイントがもらえるちりつもポイントサービスなどの活動、そして町全体で教育も行っているようです。
これらの取り組みと町民の方々の協力の結果、リサイクル率80.7%という結果にもつながっているんですね。
ごみ分別は自治体によって違う
分別の細かさは、それだけ環境を大切にしているということの表れだったのですね。
上勝町のように、独自のごみの分別ルールが生まれているのは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により家庭で出るごみの処理は市区町村の仕事とされるためです。地域の事情などを踏まえて独自に収集ルールを定める、と決められているため、引っ越し先などで分別方法が変わるということもあるわけですね。
今回紹介した上勝町以外でも、ごみの分別をサポートする取り組みも進んでいます。例えば神奈川県横浜市では、細かく分別をするためのチャットボットサービスがあります。
【イーオのごみ分別案内】このごみはプラ?燃やすごみ?そんなときは、AIによって会話形式でごみの出し方を案内する「イーオのごみ分別案内」というサービスを使ってみてください!検索システムやアプリもあります。分別にお困りの際はぜひご利用ください!#横浜 #プラ対策https://t.co/jpNUeTHAfu pic.twitter.com/gUeSDmKQZy
— よこはまプラ対策 (@yokohama_pla) August 13, 2020
自分の住んでいる地域でも、形は違えど同じような取り組みは行っているはず。改めてルールを確認して、正しいごみ分別ライフを!
サムネイル利用画像:徳島県上勝町提供
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