昨日、気象庁からこんな発表がありました。
世界と日本の年平均気温がこれまでの最高値を更新 ~2016年(平成28年)の世界と日本の年平均気温(速報)~
これによると日本の平均気温は、平年比+0.88℃で1898年の統計開始以来最高、世界の平均気温は、平年比+0.46℃で1891年の統計開始以来最高となったそうです。
特に、世界の最高気温は2014、2015、2016と3年連続で歴代最高を更新しています。いよいよ地球温暖化が牙をむいてきたかなという感じです。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は今後も地球の気温は上がり続けると予測しています。
さて、この記事では今年1年の日本の天気を振り返ります。
平均気温が過去最高となった今年ですが、必ずしも気温が高い日ばかりではありませんでした。たとえば1月下旬には、西日本中心に強い寒気が流れ込み四国や九州でも雪が降りました。特に、沖縄本島で観測史上はじめて雪が降りました。(実際にはみぞれですが、統計上はみぞれも雪にカウントされます)
しかし、1月下旬以外には強い寒気が流れ込むことは少なく、全国的に暖かい冬になりました。
雪といえば、東京では11月に54年ぶりに雪が降り、観測史上初めて11月に積雪を観測したことも記憶に新しいです。
今年の11月は北日本と東日本で平年より気温が低くなりました。特に北海道は寒波が押し寄せ、札幌で11月上旬としては異例の23センチの雪が積もりました。
夏はどうだったでしょうか。今年の夏は南西諸島や西日本で記録的な猛暑となりました。たとえば、屋久島では8月16日に最高気温35.4℃の猛暑日を観測しこれは同地の80年以上の観測で2度目のことでした。
本州の内陸部では最高気温が38度から39度に達する日がありましたが、今年の夏、日本で40度に到達した地点はありませんでした。これは、高温の記録を出しやすい関東地方や中部地方がそこまで猛暑にならなかったからだと思われます。しかし暑さが長続きしたため、35度以上の猛暑日の日数は九州中心にとても多くなりました。
2016年 猛暑日日数ランキング | ||
1 | 大分県日田 | 38日 |
2 | 福岡県久留米 | 35日 |
3 | 熊本県菊池 | 29日 |
4 | 大分県犬飼 | 28日 |
5 | 岐阜県多治見 | 27日 |
5 | 京都府京都 | 27日 |
5 | 福岡県朝倉 | 27日 |
一方で、北日本は多くの台風が襲来し、大変な夏でした。普通夏の間は太平洋高気圧の張り出しによって東日本・北日本に台風が直撃することは珍しいのですが、今年の夏は高気圧の張り出しが西側に偏っており、変な進路を描く台風が多く発生しました。
特に台風10号は東北地方の太平洋側に上陸した統計開始以来はじめての台風となり、岩手県と北海道に大きな大雨被害をもたらしました。
今年は25個の台風が発生し、そのうち6個が日本に上陸しました。発生数は平年並みですが上陸数は2004年の10個に次いで観測史上2番目です。
さて、統計開始以来最も気温が高い年となった2016年ですが、これにはエルニーニョ現象とラニーニャ現象が深くかかわっています。
エルニーニョ現象は南米沖の太平洋の海水温が平年より高くなる現象、ラニーニャ現象は逆に平年より低くなる現象です。エルニーニョとラニーニャは数年おきに繰り返し、遠く離れた日本を含む世界中の気象に影響を与えます。
最近では2014年から続いていた巨大なエルニーニョが今年春に終息し、秋からはラニーニャ現象が今に至るまで続いています。
エルニーニョとラニーニャが起きると日本の天気がどうなるか。厳密なことは明らかになっていませんが、一定の傾向は見出すことができます。
夏にエルニーニョが起きると日本は冷夏になりやすく、冬にエルニーニョが起きると日本は暖冬になりやすいです。ラニーニャの場合は逆に夏は猛暑・冬は厳冬になる傾向があるようです。
たしかに昨年の冬が暖かかったことはエルニーニョの特徴に合致しているようにも見えます。
2017年の天気はどうなるでしょうか? まずはこの冬の寒さが気になります。
ラニーニャ現象が続いているので全国的に寒い冬になる予想はありますが、現状を見ていると暖かい時期と寒い時期が交互に繰り返しているので全体としては平年並みになるかもしれません。また、秋から北海道では何度も大雪に見舞われていますのでこのまま北日本で大雪の傾向が続くかもしれないです。
来年の話をすると鬼が笑うのでこの辺にしておきましょう。最後に復習です。