あなたは年齢や身長を聞かれたときにその数をごまかしたことはありませんか?
このように実際よりも数を多くいったり少なくいったりしてごまかすことを慣用句で「サバを読む」といいます。
「あの芸能人は2歳サバを読んでいる」などとニュースなどで目にすることも多いのではないでしょうか。
しかし改めて考えてみると、なぜ「サバ」を読むなのでしょう? サバは確かに身近な魚ですが、同じ魚のイワシやサンマが使われないのはなぜなのでしょうか?
サバは鮮度が落ちるのがとても早い魚
サバは鮮度が落ちるのがとても早い魚です。外見は新鮮なように見えても、腐り始めていることもあることから「サバの生き腐れ」という言葉もあるほどです。
そのうえサバは数もたくさん獲れるため、サバを売買する魚市場ではすばやく大量のサバを数える必要がありました。急いで数える必要があったため、当然その数の正確さは失われますし、数をごまかすのも簡単でした。
そんなわけで「サバを読む」には数をごまかすという意味がついたのです。
なお、魚市場のことを「いさば」というからという説や、サバを数えるときには2尾を1刺しとしたため実際の数と差がでたからなどの説もあります。
「読む」はもともと数えるという意味
「サバ」の話をする前に、そもそもなんで「読む」なのかについて考えてみましょう。
「読む」は普通「本を読む」などのように、文字を見てその意味や内容を理解する、という意味で使われます。しかし、もともとの意味は「数を数える」という意味です。いまでも選挙の票を数えたり予測したりすることを「票読み」といいますね。
というわけで「サバを読む」の「読む」は単純に「数える」ことを意味しているのです。これでずいぶんわかりやすくなりましたね。
おまけ:サバが傷みやすい理由
サバの筋肉中にはヒスチジンというアミノ酸が大量に含まれています。このヒスチジンはサバが死んでしまったあと短時間のうちに酵素によって分解され、ヒスタミンというアレルギー物質に変化してしまいます。
そのため保存技術が発達していなかった昔は、アレルギー性の人が食べると蕁麻疹(じんましん)が出るなど食中毒にかかることが多かったのです。
技術が発達した現代ではサバをおいしく安全にたべることができます。また、脳の働きを活性化するといわれているDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含有していることも分かっています。
数をごまかすなどという悪知恵をはたらかせるまえに、サバをたくさん食べてみてはいかかでしょうか。
参考文献
- 『デジタル大辞泉』
- 『精選版 日本国語大辞典』