\ 連載「クイズを味わう」 /
「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。
毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!
今回のクイズはこちら。

所属するクイズサークルで出題するために、私が数年前に作成した早押し問題です。
東京ディズニーランドで「カリブの海賊」に乗ったことがある方なら、序盤にボートがレストランの横を通るのを覚えている方も多いのではないでしょうか。私自身、小さい頃に「やけにリアルなセットだな〜」と思って眺めていたレストランが実は本物であることを後々知り、たいそうびっくりした経験がこの問題を作るきっかけになりました。

ここからは、そんな驚きをクイズの形で「うまく共有する」にはどうすればいいか、という観点で考えてみます。
ディズニー好きの方ならご存じかもしれませんが、このレストランは「ブルーバイユー・レストラン」という名前です。
つまり問題文の前半は、
ボートに乗り込むとすぐ右手に「ブルーバイユー・レストラン」が見えてくる、
と言い換えることもできます。
こうした場合、「カリブの海賊」から見えるレストランが「ブルーバイユー・レストラン」という名前であることを知っている人が早く答えられる問題になります。「カリブの海賊」もしくは「ブルーバイユー・レストラン」について深い知識がある人が正解しやすい、という点ではよい問題です。
しかし、この問題で私が解答者に一番伝えたかったのは、「アトラクションの中に本物のレストランがある」という面白さ。
単に「ブルーバイユー・レストラン」という固有名詞を入れるだけでは、初めてこの事実を知る人はあの光景を想像しづらいでしょう。出題直後に口頭で補足するという手もありますが、できることならクイズだけで表現したいものです。
では、両方の要素を入れてみてはどうでしょうか。
ボートに乗り込むとすぐ右手に「ブルーバイユー・レストラン」という実際に食事を楽しめるレストランが見えてくる、
こうすれば「ブルーバイユー・レストラン」の名前を知っている人は早く押せつつ、私が感じた面白さも伝わりやすくなります。しかし、要素が増えたことで、個人的には問題の焦点が少しぼやけてしまう印象を受けました。
……などと試行錯誤の末、一番伝えたい情報がまっすぐ伝わる、最初に提示したような形を採用することにしました。
固有名詞には、物事の輪郭を一気にくっきりさせる効果があります。一方で、あえて説明的な表現にすることで、受け手に情景をイメージしてもらいながら、徐々に対象をはっきりさせるようなコミュニケーションもあるでしょう。
今回の問題で伝わってほしかったのは「カリブの海賊のレストラン」のことであって、「ブルーバイユー・レストラン」でなくてもいい。クイズを作るとき、そんなふうに言葉のはたらきについて考えることがあります。
(文・大塚澄佳)
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